第14話 真の勇者
アジトのボスは倒したが、体中に血が...
生活魔法のクリーンでもかけてここら辺をきれいにしていかないとさすがに吐き気がしてくる。
生活魔法とはその名の通り、生活に役立つだけの魔法だ。
魔力消費量も少なく、魔法の才がないものでも少し努力すれば使えるようになる魔法だが、クリーンだけは特別で光属性の魔法の才がある者しか取得できない。
威力は低く、攻撃としては使えないが、火をおこしたかったり、水を確保したいときにはとても便利だ。
「クリーン!」
部屋に散らばっていた血や自分にかかっていた血があっという間に消えていく。
倒れている女性たちを保護しようと思ったとき...
『称号≪真の勇者≫の効果によりあなたは好きなスキルを一つだけ取得できます。今のクロウ様におすすめのスキルを四つほど表示しますので、それを参考にして選んでみてください』
――――――――――――
・『四属性魔法A級』
・『光闇魔法S級』
・『神速』
・『空間魔法』
――――――――――――
ん?!なんだ?一つスキル取得できるのか?
しかし、この四つ今自分が欲しいスキル全部そろってるじゃん。
四属性魔法は火、水、土、風の四属性使えるようになるし、光魔法と闇魔法はS級だからすべての光と闇属性使えるようになるし、神速は一日五回のみという制限があるが、発動してから10分間俊敏が200%上昇するスキルだし、空間魔法は空間そのものを操るから相手の防御関係なく攻撃できるんだよなぁ、亜空間倉庫も使えるようになるし、悩みどころだな。
まぁ、まだ決められないしとりあえず女性全員を保護して、そのあとどうするかは話し合いで決めるか。
盗賊の奴らに犯されていた人たちを連れて鉄の扉の場所に行く。
犯されていた人たちは全員心ここにあらずといった感じで何も言わずについてくる。
スキルで鉄の扉を消して中にいた人たちを解放する。
そして俺のことに気が付くと中にいた女性たちは警戒ばっかしていて疲れたのかほとんどの人が安心してその場で寝てしまった。
女性を外まで運ぶのは時間がかかりそうだったので外にいたアウロラをアジトの中に入れて女性たちが起きるのを待つことにした。
アウロラがその女性たちを初めて見た時は、女性たちがされていたことを想像して怖くなったのか、俺の体に顔をうずめて少しの間泣き、そのあとそのままアウロラは寝てしまった。
みんなが寝ている間クロウは何していたかというと、先ほどの、取得できるスキルのことについて考えていた。
この人たちの心をいやすことはできないだろうか。
と思い、欲しかった四つのスキルの中の『光闇魔法S級』を選び、盗賊たちに捕らわれていた女性たち全員に精神的ダメージを回復する魔法、『メンタルリカバリー』をかけた。
すると、意識がもうろうとしていた女性たちも意識を取り戻し俺が「盗賊の奴らは倒した」というと安心したかのようにそのまま眠りについた。
それから2時間ほどたって全員が目を覚まし、怖かったと、その場で泣く人も、助かったという状況をいまだに飲み込めてない人も、俺に感謝してお礼を言ってくる人もいた。
闇魔法S級を使えるようになったので女性たちに「盗賊たちにされたことの記憶を消せることができるが、どうする?」と聞いたが、女性たちは全員意見が一緒で「記憶は消せても事実は消えないからそのままでいいよ」と言われた。
それを聞いた俺は、女性たちは心配だが、ここまで明るくなってくれたなら光魔法を覚えて正解だったな、と思った
盗賊に捕まっていた女性たちを連れてギルドへ報告に行き、女性たちはいったんギルドで預かることになり、もともと住んでいたところに戻るか、このままセクレト王国で暮らすかはお任せする、ということになり、攫われていた女性の7割が地元に帰るといい、残りの3割の人たちはセクレト王国に残るということに決定した。
ギルドに報告も終わり、ギルドから出ていこうとしたとき、後ろから聞き覚えのある声がした。
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