絶対零度

此処は絶対零度の世界

足を踏み入れた総てのものが即座に凍り付く

生存の許されない氷結の世界

寒さを意識する前に神経が刹那で伝達力を失い

筋肉が重たい鉛と変化する

心臓自身も束縛され

送り出された熱い血液も拘束される

麻痺した肺から漏れた最期の吐息が瞬時に細氷となり

輝きながら零れ落ちる

例え氷晶の舞う中で

細胞が一つずつ機能を止め

匂いも音も声も光も失い

手脚が朽ち

この身が氷像と化したとしても

それでも

形にすることの出来ないこの想いだけは

絶対に凍らない

凍らせない

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