氷結

嗚呼、こんな記憶なんて無くなってしまえば良いのに!

さすればこの様な思いしなくても良かったのに!

二度と思い出したくもない。

記憶封じなんて出来ないものだろうか?

フラッシュバックする度に卒倒してしまいそうになる。

あまりにも酷過ぎて…。

忘れられないくらい、あまりにもいとおし過ぎて。

…でも、色々なことが遭って傷つけば傷つく程、人はそれだけ強くなれるし、それだけ優しくなれるのだ。

みんな見えない十字架を引き摺って歩いているのだ。

素知らぬ顔をしてみんな苦しい思いをして生き続けている。

そんなものなのだ。人間ってものは。

そう言う生き物なのだ。

過去の事を綺麗さっぱり忘れて生きる事が出来ない、不器用な生き物なのだ。

例えその記憶が薄れたとしても、忘れられない思いはいつまでも生き続ける。

その人にとって良い事、悪い事に関わらず。

それがその人の血となり肉となり、その人を形作る。

「性格」「物腰」「表情」等と名を変えて。

もし、自分にとって忌わしい記憶を一滴も残さず、全て一気に凍結することが

出来たとしたら。

人は人として生きて行けるのだろうか?

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