白雪物語ー季節ー
あれは一体 何だったのか いつだったのか
分からない だがこれだけは 君に言いたい
俺は君が 君のことが どうしても
忘れられない
花が散り 葉を茂らせた 梅の樹で
君は何を 見ていたのだろう 玉のように
清らかで 汚れを知らない その瞳で
内気で 人見知りして はにかむ君は
夕日に染まる 桜の花 そのものだった
初めてあった その日から
落ちて弾ける露みたいに
消え入りそうな君の姿
目に焼き付いて離れない
燦燦と 照り輝いた 日の下で
君は水と戯れていた 河原で
はしゃぐ あどけない 子供のように
陽気に顔を染めて 微笑む君は
夜空を飾る 花火の光 そのものだった
いつも無表情だったのに
やっと
無邪気に映る君の顔
愛おしくてたまらない
限られた 許されている 時の中を
君は静かに 揺れていた 非常に笑う
凩に弄ばれる 木々のように
紅い目で 俺の顔を 見つめる君に
俺はただ 見守ることしか 出来なかった
時は流れる延々と
嗚呼死神よ
俺とあの人をそこまでに
引き裂こうとするのだ
ある寒い 雪が散らつく 暁に
君はそっと 眠りについた 庭先に
舞い降りては 消えてゆく 雪花のように
もう二度と 目を開けはしない 真白な君が
何故か俺には 美しく光り ぼやけて見えた
あれは一体 何だったのか いつだったのか
分からない だがこれだけは 君に言いたい
俺は 君のことが どうしても
忘れられない
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