前科有りの勇者さま!

やーまん

プロローグ

初めまして。

ぼちぼち書いていくんで良かったら読んでやってください。

誤字とかあったりここはこうした方がいいとかあったらどんどん言ってください。

よろしくお願いします。





ウゥゥゥゥーーー!

「そこのバイク達!とまりなさい!!!」

 静かな深夜の街にサイレンの音と拡声器で大きくなったお巡りさんの声が響く。

「うるせぇんだよ!マッポがっ!!」

 跨るバイクをふかして走りながら、金髪でリーゼントの少年、芹晃由奈が蛇行運転で並走しパトカーに向かい声を荒げる。

「とまれっつてんだろーがっ!!轢き殺すぞ!!」

 由奈の言動でお巡りさんの口調も荒くなる。

「お前!芹晃か!!いい加減にしろぉ!!」

「やべぇ、坂本だ!」

 由奈はパトカーに乗っているのが生活安全課の坂本だと気付き、並走を止め先頭にいる総長 二階堂優鬼の元へ逃げていく。

「優鬼さん!やべぇっす!坂本っすよ!」

 先頭を走る優鬼に追いついた由奈が後ろの事について話す。

「坂本だって!?まじかよ!!めんどくせぇなぁ」

「どーするっすか!?」

「はぁ、、、お前らはさきにいつもの所に行ってろ、俺が坂本をまいてくるよ」

 皆にそう言いながら優鬼は例のごとくケツ持ちをしに後方へさがりパトカーを抑えると、優鬼以外のメンバーは蜘蛛の子を散らすように散り散りに走っていく。

「またお前か!二階堂!!お前だけは絶対捕まえてやるぞ!!愚麗賦は今日で解散だ!」

 総長である二階堂優鬼さえ捕まえれば、愚麗賦連合は実質解散になる事を知っている坂本はより一層気合が入る。

「んな簡単に捕まるかよ ばーかっ!」

 他のメンバーが見えなくなった事を確認した優鬼は蛇行運転でパトカーを抑えるのを止め急加速を始める。

「坂本ー!またなー!!」

 車が追いつけないほどの急加速をしパトカーをちぎったつもりの優鬼だったが、

「今回は逃がさんと言っただろー!」

 警察とは思えない運転で優鬼に追いつき、血走った目をしながら坂本は叫ぶ。

「ぶつけるぞー!!とまれー!!」

「おいおい、、、族狩りヤ○ザかよ、、、」

 ヤ○ザに追われた時の事を思い出しながら優鬼は呟く。

「あの頃は忍さんも郷司もいたっけかな、忍さん、、どこいっちまったんだよ、」

 当時対立していた蛇飛惡華軍団の総長と波止場でチキンレースをし、ノーブレーキで海に突っ込みそのまま行方不明になった初代総長黒霧島忍と2代目総長の座を掛けて闘った幼馴染の嶺郷司の事を思い出す。

「そーいえば郷司が年少に入ってからそろそろ1年かー。来年出てきた時俺が2代目になったって聞いたら怒るだろーなぁ」

 初代総長が失踪し、2代目を掛けて郷司とタイマンをしたのだが、決着がつく前に警察に割り込まれ、2人とも捕まってしまった。

 その後優鬼は鑑別所だけで済んだのだが、郷司は余罪が見つかりそのまま年少へ、一ヶ月経ち優鬼の出所後、自然な流れで優鬼は2代目総長になっていたのだ。

「おう!優鬼ちゃんやんけ!」

 セダンのヤン車がパトカーから逃げている事をお構いなしに優鬼に話しかける。

 物思いにふけっけいた優鬼はハッとし、話しかけてきた車を見ると、

「竜司さんじゃないですか!!お疲れ様です!!」

 ヤン車を運転していたのは、初代愚麗賦連合時代に優鬼の面倒を見てくれていた大阪出身の岡崎竜司だ。

 今もOBとして2代目愚麗賦連合の面倒を見てくれている

「今日は波止場いくんか?」

「はい!坂本をまいたあと波止場でガチる予定です!」

「郷ちゃん事で話あるから、後で俺もいくわ!」

「郷司の事ですか?わかりました!」

「後ろのパッツン、坂本やろ?頑張って逃げやー まあちょいてつどーたるわ」

 そう言いながら離れて行った竜司は、去り際にパトカーのタイヤあたりになにか投げると、タイヤが破裂する音と共にパトカーが突然進路を変え、壁に向かい突っ込んでいった。

「相変わらずイケイケだなぁ、由奈達はもう着いているにいるかな?」

 優鬼は別方向に走っていった岡崎に頭を軽くさげ、ぼそっとつぶやき、いつもの場所に向かうのであった。


 





 静かな波止場に爆音と共に大勢のバイクが現れた。

「うぇーい!!いっちばーん!」

 先頭を走っていた由奈が皆に向かい自慢げに話す。

「あーはいはい。」

「由奈すごいねー」

「まじ神っすー」

 メンバーは気の抜けた褒め言葉を並べるが、

「当たり前だろ!なんせおれは、愚麗賦の連絡隊長なんだから!!」

 由奈は鼻をぐんぐん伸ばしながらドヤ顔をする。

「ただのパシリだろ、それより優鬼さん大丈夫かな?」

「ケツについてたパッツン、坂本だったろ?」

「大丈夫!優鬼さんだぜ?そんな事言ってるうちに、、、」

 由奈が指を口に当て、静かにするように促すと、

「お!バイクの音だ!」

「この音は、CBXか!!」

「って事は」

「優鬼さんだ!!」


「おーう!もう皆集まってるじゃねえか!」

「優鬼さん!大丈夫でしたか!?」

「さすが優鬼さんっすね!にしても今日の坂本、めっちゃ気合はいってたっすねー」

「いやー今日の坂本はマジでやばかった!!まじで轢き殺されるかとおもったよ!」

「よく撒けましたね!どこ走ってきたんですか?」

「竜司さんが手伝ってくれたんだよ。いやー相変わらずあの人はイケイケだよ。なんか郷司の事で話があるらしくてここに来るって言ってたわ」

「竜司さんこられるんっすか?」

「おう!もうくるんじゃねえか?」

 優鬼は自分のバイクに腰掛け、タバコに火をつけしばらくするとセダンが一台波止場に入ってきた。

 優鬼は走って駆け寄り、

「お疲れ様です竜司さん!さっきはありがとうございました!」

「おー、かまへんかまへん!!坂本のやつな?こないだ俺の可愛がっとる奴パクったからな?やから返しや!」

 竜司はガハハと笑いながら優鬼の肩を叩く。

「ちゃうやん、坂本のあほとかどうでもええねん。」

 高笑いしたかと思うと真剣な顔をした竜司は

「郷ちゃんの事や。」

「郷司ですか、確かあいつが入ってからそろそろ1年になりますよね。満期だからあと一年で出所じゃないんですか?」

「せやねん、俺もな?郷ちゃんやったら絶対満期やと思っててんけどな?」

「違うんですか?」

「ちゃうらしいねん。」

「まさか」

「せや。一昨日出てきたらしいねん。」

 竜司の言葉にメンバーがざわつく。

「やべぇっすよ優鬼さんっ!」

「いくら自然な流れだったとしても郷司さんが入ってる間に二代目が決まったとなったら、、、」

「いやでも二代目候補2人のうちの郷司さんがすぐに出てこないってなるともう一人の優鬼さんがなるしかないじゃないですか」

「それに郷司さんは満期の予定じゃなかったんですか?」

 ざわついている中、竜司が申し訳なさそうに両手を顔の前で合わせ、

「いやーみんなすまん!郷ちゃんが満期やってゆうたん俺やねん、、、あいつの事やから叩いたえげつないくらい埃でるって思ったんや、、、」

「ほんでや!俺な?悪い事したなおもてな?2人が喧嘩せんように間に入ろう思ってんねん!」

「間にですか?」

「せや!さくっと郷ちゃん見っけてな?なだめてから話させようおもてんねん!せやから今な?翔ちゃんに探してもらってんねん!」

「翔さんにですか?」

「そう翔ちゃん!さっきにそのこと言いに行ってんけど言うてる間に見つけてくれるやろ」

 ちょうど竜司の携帯が鳴り

「ほら来た翔ちゃん!!早いやろー?」

そういいながら離れていく竜司をみながら優鬼らが話す。

「ほんとに調子のいい人だよな」

「今はだいぶ落ち着いたほうだよ。初代の時、翔介さんと二人で愚麗賦の狂犬って有名だったんだぜ?」

 優鬼が2代目になってから入ってきた奴らに竜司の話をしていると

「え!?なんやて!?おぉわかったわ!!」

 電話を切った竜司が慌てた様子で優鬼に駆け寄り、

「やばいわ優鬼ちゃん、間に合わんかった、郷ちゃんここに向かってるやって、、、」

「郷司がここに!?」

「どうするんすか!優鬼さんっ!!」

「しかたねぇよ、こうなったらもう話すしかねぇだろ、」

「いやーすまん優鬼ちゃん!」

「いえ、大丈夫ですよ竜司さん、あいつもきっと話せば分かってくれますよ」

 優鬼が覚悟を決めたのを見計らったかのように、バイクの音が近づいてきたのだった。

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