多感な年頃

脱力系人間

KYなわたしの行動記録

わたしという人間は、自分から見たわたしと、他者から見たわたしとで分かれる。それはごくごく普通のことであり、当たり前のことだ。家族から見たわたし。友人から見たわたし。学校の人から見たわたし。きっと、みんな違って見える。


読書家なわたしは休み時間にずっと本を読む。(友人と話すときもあるので断じてボッチではない)

ここで重要なのは、ずっと本を読んでいることで学校のクラスメイトや先生に『わたし』という人間が大人しい、落ち着いているという印象を持たれていることだ。しまいには、読書ガチ勢とまで言われてしまった。そうなのか?と問われれば否。皆さん残念、わたしはそこまで落ち着いた奴ではない。むしろ、友人の前ではかなりはっちゃけている。

(読書ガチ勢に関しては否定しないでおこう)

人見知りだから上手く喋れないだけだ。君たちと仲良くしたくないわけではない、と答えると思う。閑話休題。


中学生のとき、周りから落ち着いているという印象を受けていることは考えもしなかった。むしろ、あれだけ休み時間に友人とゲラゲラ笑ったり、アホな言動をしていたりしたのにみんなは全く気付いていなかったことに驚いた。嘘だろ!?と一瞬思ったものの、よくよく考えてみれば何百人といる生徒のうちのわたしの会話を聞いて、さらに、覚えている人のほうが少ないだろう、と納得した。わたしも覚えていられる自信は微塵もない。


友人から見たわたしはどうだろうか。明るいやつ?真面目?アホ?楽観主義者?ポジティブ野郎?.......考えるのが少し虚しい。

が、しかし。わたしが挙げたのはあくまでも友達はどう答えるかをわたしが推測したもの。つまり、友人がわたしをどう思っているのかは分からないのだ。

「あんたKYよねー」

「ん?KYって何?」

「空気が読めない。略してKY」

「あっ、なるほど!そういうことかー!!」

このように、ズバッと言ってくるわたしの友人はすごい。気の置けない仲とはまさにこれを示すのではないだろうか。これを言うと友人は呆れつつ嬉しそうだった。ちなみに、友人に言われるまでわたしはKYと呼ばれるような人間だと自覚していなかった。(自分がKYなのだと自覚しても、KYは無意識に発動する)

時にKY(わたし)は気まずさなどを考えずに発言する。

例えば、友人AとBが喧嘩したとき

「2人ともどうやって仲直りしたのー?」

「......今それを聞く?」

「......少しは考えやがれ」


例えば、友人のテストの点数が悪いとき

「はあ....」

「ねえ、Aよ。テストどうだった?」

「言うわけないでしょ」

とまあ、怒られる。そのときは何故だ。何故怒った?と理解できなかったが、Bが自分よりも良い点数を取り、且つ自慢するかのような口調で話してきたときに全てを悟った。これはイラつく。怒られても仕方ない。

怒られない程度に頑張っていこうと思いました。はい。

友人から見たわたしはざっとこんなものだと思う。


長い話ではあったがここからが本題だ。考えているうちになんとなく言いたくなってしまったことである。


あなたは一歩踏み出す勇気を出したことはあるか。


人生の選択などの規模でなくて良い。誰かに声をかける勇気を持ったことがあるか。



これはまだ、わたしが高校に入ったばかりのことだ。新しい環境に少しずつ慣れてきたころに席替えが行われた。後ろの席の子はいつも一人でいる子だった。よろしくね、と挨拶をすると頷いて返してくれる。


最初に疑問を持ったのは彼女が全く喋らないことだった。

「ねえねえ、この問題どう解くか分かる?」

分からなかった課題の問題について聞くと彼女はに書いて教えてくれた。何故紙に書いたかは疑問ではあったが、律儀だなあと思った。そのときは、喋るのが苦手なのだろうか、と思っていたのだ。

しかし、授業でも先生に当てられたとき、紙で伝えたり、ノートを直接見てもらったりとしているのを見て疑問が募った。好奇心が刺激されたと言っても良い。何故、いつも筆談なの?と聞いてみたかった。わたしは彼女の事情を知らない。

しかし、わたしのKYは発動されなかった。踏みとどまったのだ。口から言葉が出ていかないようにブレーキを踏んだ。あまりにも不躾な質問だったから。


わたしは彼女に「おはよう」の一言を未だにかけれていない。そこまでたくさん話をしたこともなかったし、単純に言えなかったからだ。KYなわたしは仲良くしたいクラスメイトに挨拶をすることすら出来ないのか。

何て情けないんだろう。わたしは周りの目を気にすることしか出来ないのか?自分のキャラじゃない、と言い訳をするのか?これで良いのか?


もう、次の席替えが終わり彼女とも席が離れてしまった。でも、勇気を持とう。

「おはよう」という一言の、ちっぽけだけど大きな勇気。




朝、緊張しつつも彼女におはようと言った。彼女はペコリと会釈をして返してくれた。そのとき不思議と、これから話す機会が増えていく予感がした。


まだ夏は始まったばかりだ。

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