第5話 RE:Contact-4 初戦闘ニ勝利セヨ



「あぁ〜!? 何だ? テメェ〜!?」


「……見かけねェ、格好だなぁ? お前何処どこりょうからきたんだ〜?」


「ヒャッハー! 大人しくしてろよ獣女ケモノオンナァ〜!? オレらはちょ〜と、この頭の可笑しい格好をしたぁ……おにいちゃん・・・・・・とぉ、チョッピリばかし話してくるからよぉぉぉ〜ッ!?」


「……」



 ……何とか、オレ自身の勇気を奮い立たせ――「追い詰められた人」と「悪党A・B・C」が居るとこまで駆けつけたんだが……。


 ……ホント良かった。まだコイツらに”同情心”を持たずにいれて・・・・・・・……!


 ……だが、”早とちり”で失敗した事もオレの人生には、多くあったんだ……。

 ……ここは本当に「悪党ABC」が本当に「悪党ABC」なのか……慎重に”確認”して決めてかなきゃな……!


 そう……! ここは「ロバート・ダ◯ニー・Jアイ◯ンマンr」とか、「ジョニー・◯ップジャック・ス○ロウ」だとか、「アー◯ルド・シュ◯ルツT-8○0ェネッガー」だとか……!


 そして、「ビッ◯・ボスネイキッド・ス◯ーク」……! 最も好きなゲームキャラクターである……あの人のように……ッ!



「……先程は怒鳴ってすまない。

 だが、オレの勘違い・・・・・・であって欲しいんだが……アンタら、そこの樹にグッタリともたれ掛かってる……女性? ……にぃ〜何を――しようと――してた――のかな?

 まさか、”殺す”だとか……笑えない物騒なジョーク・・・・・・・を言うつもりはないよな?」


「「「……ギャ〜ハァハハハァハハハハァハァハァッ!」」」


「ッ!? なッ、何だよ!?

 そんな一昔前のコントみたいに、顔を見合わせた後……一斉に笑い出すとかって……!? 何が、可笑しいんだよッ!?」



 ……まさかと思うが、「バレッド王国共通言語 マスタリー」でも、オレがさっき言った言葉が「変な言葉」として伝わっちまってるのかッ!?

 以前、興味本位で「外国の落語家による寄席よせ」を動画で見た事があるけど……その際にあった”主人husband”と”囚人Prisoner”の似た発音・・・・でも意味の違う言葉・・・・・・・を説明しただけで、会場が”爆笑の渦”に巻き込まれていたからなぁ……。

 ……そのまさかまさかだが……さっきの会話の中で、オレ……共通言語じゃあ――恥ずかしい事・・・・・・でも言っちまっていたのかぁッ!?



 「ヒィ〜ヒィィィ〜おいっ、兄ちゃん!? オレらを笑い殺す気か!?」


 「……はっ?」


 ――ヤバッ、やっぱりなのかぁ……ッ!?


 「”ジョーク”だが何だか知らねェがぁ、この状況を見て……オレらが穏便おんびんな”オ・ハ・ナ・シ”でもしてるとでも思ったのかぁ? お兄ちゃんッ!?」


 「……」


 「ヒャッハ〜ッ! こんなオレ達がいまだ居続ける、この物騒ぶっそうなご時世だってのに〜そんな頭パープリンな野郎・・・・・・・・・が居るなんて……珍し過ぎて腹がよじれるぜ〜ッ! ヒャッハァハァハァ〜ッ!」


 「「だよな〜ッ!」」


 「「「ギャ〜ハァハハハァハハハハァハァハァッ!」」」


 「……」


 「おっ? どうしたんだい、お兄ちゃん? そんなうつむいちまって〜!? オレ達の事が改めて怖いと思って……玉金でもなくなっちまったのかぁ〜えェェ〜? お兄ちゃんッ!?」



 ……アァァ〜ヤッベェッ……。今、かろうじて俯けたおかげで誤魔化せてるだろうけど……。


 ……初めてだよ……こんなにコケにされた・・・・・・・・・・のは……ッ!


 マジで、初めてだよ……ッ!

 今も、表情筋が悲鳴を上げんばかりに引きつっている事も……! 人生で、こんな激情に駆られたのも……ッ!  もう良い……もうフリフリントロックピスピストルでも良い……! ブッ放してェ……!

 今すぐにでもブッ殺してやる・・・・・・・……ッ! コイツらブッ殺してやるゥゥゥッ!



 「ヒャッハ〜ッ! 何も言い返せないでやんのッ!

 フランダのアニキ! ザカリーのアニキッ! 早くコイツもそこの獣女同様にヤッちまって、身包みぐるいじまいましょうよッ!」


 「おうッ、そうだなヒャルバ! アニキッ! 早くヤッちまいましょうよッ!

 こんな”背がデカイだけのデクの坊”! オレ達三人で掛かればヤッちまえますよッ!」


 「……待て、お前ら。コイツを見て……少しも奇妙・・・・・だとは思わなかったのか?」


 「「はっ?」」


 「第一……この近隣の村どころか、城下町でチラ見した程度だが……他国でも、あんな服を着た奴を見・・・・・・・・・・た事もない・・・・・


 「……はぁ」


 「……ひゃあ、確かに……」


 「そして第二に……今の会話から、この王国での時世を知って・・・・・・・・・・いる素振りが全くなか・・・・・・・・・・った・・……」


 「……ひゃっか?」


 「……変な格好だけで、”ただの馬鹿な村人”なんじゃあないのか?」


 「だから、そこが奇妙だっていってるだろ?」


 「「?」」


 「ハァ……おい、お前」


 「……ア゛ッ? 何だよ……ッ!?」


 「トルガ村……城塞都市マケット……サヴィオス教国……ディナトース帝国……。これらの地名や国名に、聞き覚えはあるか?」


 「はっ? トルガ村? マケット?

 何だよ……そんな海賊が居そうな名前○ルトゥーガの村って……」


 「……じゃあ、王国と教国との情勢じょうせいはどうなってるか説明できるか?」


 「……チッ」


 ――何だよ急にッ!? 異世界に来たばっか・・・・・・・・・のオレが――国名どころか、”国際情勢”なんて大それた事すら知るわけ……アッ!?


 「……ほらな? ここが奇妙なんだよ。

 もしも、第一の事が違う元々、外国出身のなら……今言った地名を知らないなんて事は、ほぼあり得ないだろうし……。

 もしも、第二の事が違う元々、辺境出身のなら……いくら辺境でも、この近辺のトルガ村・・・・・・・・・とかじゃあ――珍しく情報が中々公開されなかった”マケット”を出入りしてるらしい、”変わりモンの行商人”が居るんだ……。

 少なくとも、王国と教国が休戦状態・・・・・・・・・・な事・・ぐらい知ってて当然のハズだぜ……?」


 「……ッ!?」


 「つまり……だ。疑うのがバカらしいが……こう考えるしかない……!

 お前……何処の大陸から来たん・・・・・・・・・・……?

 まさか、数百年前から音沙汰おとさたのない……「”北東の魔大陸”から来ました」……なんて言わないだろうな?」


 「えぇぇッ!? じゃあコイツ……”魔族”だって言うのかッ!?」


 「ヒャッハッ!? 本当ですかいッ!? 」

 

 「全く、お前らは……あんなヤバイ盗賊供に惨敗しつつも、今日まで生き残れたのは……”ダ・レ・の・お・か・げ”だと思ってるんだ? バカ野郎供が……!」


 「……」



 ……えぇぇぇぇ!?

 何だコイツら……ツノも生えてないのに、オレが”魔族”って……。

 想像以上に話が斜め上にこじれちゃってるんですけどぉぉぉ……ッ!?


 いやでも……”感謝する”のは非常にシャクさわるが……。

 すぐに”フリピス”をブッ放すのはやめよう。その前に……”情報取集”だ。


 ……こんな下衆供相手にするのは、本ッ当ッにッ! ――癪だが……。

 それでも、さっきまでペラペラと、”見当違いな推理”で情報を喋ってくれた・・・・・・・・・んだ。

 オレがやり込んで来たどんなゲームも、<最終的なゲームクリア>まで辿たどり着くには……「重要人物」だの、「必須のアイテム」だの、「ラスボスの場所」だの……どんな事にも”情報が必要”な事が付きまとっていたしな……。


 だったら、英雄Heroを目指すオレがゲームの主人公・・・・・・・……”勇者”とかだったりするなら……! 今度はオレが聞き出す番……!

 俺だって、”知恵が回る事”を見せてやるよ……ッ!


 

 「……フッフッフッ……」


 「「「ッ?」」」


 「フフフフフフフッ……」


 「「「……」」」


 「……ハァァァァァハッハッハッハッハッハッハァァァァッ!」


 ――ど〜よッ! この”三段笑い”はッ! 立派な魔族に聞こえるだろうッ!? アニメやゲームを見まくって、物真似モノマネしまくった成果だッ!


 「「「ッ!?」」」


 「……バレてしまっては仕方ないなぁ……?」


 「なっ、や……やっぱり……アニキの読み通り……魔族だって言うのか……ッ!?」


 「……久しぶりだなぁ、下等なウジ虫供よ……ッ!

 そうとも、われは魔族……! 余りにも愚劣ぐれつな君達が目障めざわりな物だから……近々滅ちかじかほろぼすために、お忍びでこの辺りに来てたのさ……!」


 

 後……やっぱコイツら聞くのは止めだ、止め。

 気持ちやっぱ、悪党か的な問題ら聞きたくないもあるけど……それ以前に、そこそこしゃべりまくってくれていたし……話途中に”近辺に村がある”って、言ってたしな。

 だから……何とかコイツらを追っ払った・・・・・後に、そこの村から色々と情報を聞く方が――後々の気分も良いだろうしな。



 「ヒャバババババババッ!? アッ……アニキィィッ! 逃げやしょうッ!

 アニキだってガキの頃聞いたでしょう!? 魔族は、得体の知れない化物バケモノに変身しては、火を吹いたり・・・・・・……人を食い殺す・・・・・・って……ッ!」



 ――良し、ビビってるビビってるッ! このままおどし続けてやれば……奴らが勝手に逃げ出して――戦闘ナシ・・・・に、あの人を助けられるかもしれねェぞッ!

 ……改めて思ったけど、銃の試し撃ちもなく……全く、戦闘慣れもしていない時に――手強てごわかろう”兵士らしい”人間様相手に戦うなんて、ゴメンだからなッ!



 「……そういえば、しばらくこの森を放浪ほうろうしていた性か……腹が減っていたなぁ……。

 では、そのアイディアを頂戴ちょうだいして……お前らをひねり潰し……じっくり美味しく焼き上げた後に……喰らってやろうかァッ!?」


 ……ついでに、それらしく”嫌らしい表情”と”舌舐したなめずり”もしておいて……っと。


 「ヒィィィィ……ッ! アニキッ! アニキィィッ! 早く撤退てったいしましょうッ!

 こんな得体えたいの知れない奴を相手にして喰われる可能性も考えれば、割りに合いませんよッ! そこの獣女をエサに、サッサと逃ましょうッ!」


 ……ヨシヨシ、逃げろ逃げろッ! そのまま逃げちまえ……ッ!


 「……」



 ――な、何だよッ!? ”ザカリー”……だったか? そんな「お前……ホントに魔族なのか?」……って、睨みやがって! サッサと逃げろよッ! に……睨み殺すぞコラァッ!



 「……おい、フランダ」


 「アババババ……」


 「フランダッ!」


 「バババババ……ヴァイッ!?」


 「……アイツを撃て」


 「……へッ?」


 「……アイツを撃てッ!」


 「しょ、正気ですかいッ!? アニキィッ!? だ……だってアイツはぁ……魔族なんじゃあ……ッ!?」


 「あぁ……そうだな……。

 本当に、火も吹けるし……変身も出来る魔法に長けた・・・・・・”魔族様”なら……。お前が使える最下位級魔法・・・・・・の”ファラ”なんて……指先一本・・・・で、はじいて見せるだろうよ……」


 「ッ!?」



 ――ハァッ!? そんな”設定”知る訳ねェだろッ!?

 つ〜か、人差し指どころか……魔法を弾き返す・・・・・・・なんて芸当、全く出来る気がしないんですけどォォォッ!?



 「で……でもッ! モノホン本物の魔族だったら……ッ!?」


 「お前がそんなふるえる程に恐れてるのは分かるよ……今にも逃げ出したい気持ちも……」


 「あ……アニキィ! 分かってんのなら……ッ!」


 「……けどな? もうオレらは敗残兵……。

 王都に逃げ帰れば笑い者にされ、さげすまれるだけの存在なんだよ……。命辛々いのちからがら逃げ出して……あの盗賊供の情報を王国軍に伝えようともな……」


 「「……」」


 「そんな誰にも相手にされず……”お先真っ暗”なオレ達が、このまま”目の前のカモ”も狩らずに野垂れ死に・・・・・しちまっていいのか?

 あの盗賊供を討ち取れなかった”くやしさ”も胸にくすぶらせたまま、野垂れ死んでいいのかッ!? オレ達に魔族だと騙していやが・・・・・・・・・・”腰ヌケ野郎”に、笑われながら逃げられてもよぉ……!?」


 「「……ッ!」」



 ……なんか、途中「お涙頂戴なみだちょうだいな事情」が、アイツらにもあるような気もしたが……。ヤバイ状況になったなぁ……オイッ!?


 ……君のような勘のいいガキは嫌いだよ……だったか?


 オレは錬金術師れんきんじゅつしじゃあないけど――正に今そんな気分だよッ!?

 何だよ!? あの”ザカリー”って奴ッ!? オレの折角せっかくの演技が台無しじゃあねェかよッ!? 下手に勘付かんづかず、そのままお仲間二人と仲良くダマされててくれよッ!?

 さっきの話で、お仲間二人に俺に対しての「る気」をき付けてるんじゃあなくてさぁッ!? 有名RPGドラゴ○クエスト序盤の雑魚・・・・・モンスターである”スライム”を、”ゴーレム”とか”悪○の騎士”とかの強敵中ボスなんかにするんじゃあなくてさぁッ!?


 ……ハァ、けど……ここでわめさわいでも変わる訳じゃあねェよな……。


 ……改めて考えろ……ッ! この先、オレが動けばどうなる・・・・・・・・・・のか・・を……ッ!

 避ければ、魔族じゃあない事がバレて戦闘開始は必至ひっし……ッ!

 もしくは、オレの”眠れる可能性”に賭けて……魔法を弾く事にトライしたら、大怪我は必至……ッ! 後……無論ながらも、”逃げる事”は大論外……っと……!

 ……ウン、どっちにしろ――”退路をたれた”訳か……!


 ……ハァ……クソッ! クソォォッ!

 ”ゲームの格闘技”や”格闘教本”を、見様見真似で練習していただけのオレだぞ!?

 この19年間の生涯しょうがい、全く記憶に無い程……日課の筋トレ以外、喧嘩もした事がない・・・・・・・・・オレがだぞ……ッ!?

 ……勝てるか……? ……勝てるのか……ッ!?

 ……いや……英雄Heroになりたいのなら……!

 怪我がどうのこうのとか……考えてる場合じゃあねェぞォォォ……オレェ……ッ!


 ……それにオレは平穏に暮らしたい殺人吉良○影鬼じゃあないつもりだが……結局、戦わざるを得ない・・・・・・・・って事だよ……な? ……ハァァ……! はらァくくれ……オレェ……!

 成るんだろうッ!? 未だ気絶してるであろう、あの人の英雄Heroに……ッ!



 「……何やら、私を倒す事が英雄譚えいゆうたんになるとでも思ってるようだが……。

 勘違いしているんじゃあないぞ? クズ野郎共・・・・・が……ッ!」


 「「「……ア゛ッ!?」」」


 「オレ・・が魔族であるかどうか以前の問題だろ? そんな事?

 ……何だよ? 女でもない癖に、負けたからって”悲劇のヒロイン”でも演じてんのか? 笑われるのが怖いからって……罪もない人達を殺し続けて……何、奪い続けてきたんだよ……ッ!?

 何、自分達が悪くないみたいに……! 平気で”強盗”や”殺人”を正当化してやがんだよ・・・・・・・・・・ッ!? クソ供がァァァァァァァァァァァッ!?」



 ……ヤバッ!? 何アイツらをあおるような事を言っちまってんだよォォッ!? オレェェェッ!?

 

 言った言葉通り、アイツらの”身勝手さ”から悪党確定……ッ!

 それと同時に――”並々ならぬ怒り”が、体の奥底からき上がって来ていたのは感じていたけども……ッ!

 

 い……怒りの余り、テンパったのか言ってんじゃあねェよ!?

 オレェェェェェッ!?



 「……お前馬鹿か?」


 「あ゛ッ!?」


 「そこの獣女含め……オレらのような”負け犬”や”はぐれ者”が、真面マトモに生きていけないこの王国で……。真面に生きていけない・・・・・・・・・・オレら・・・がお前の言う通り……”強盗”や”殺人”をせず、どうやって”生きれば”いいって言うんだ?」


 「はッ!? そんなん知るかよッ!? クソ野郎共がッ!

 失敗も真面に受け止めらず、野盗やとうに成り下がってるようなテメェらが生きてる事自体・・・・・・・迷惑なんだよ・・・・・・ッ!」


 「……そう言う所生きてるのが迷惑を見れば、オレらからもテメェが”クソ野郎悪党”に見えるぞ……? オレらは死ねッ・・・・・・・! ……とでも言うのか?」


 「……ウッ!」



 ア゛ァァァァ……! クソッ! やっぱりいからない方が無理だッ!

 「オレらは”真っ当”です」……って思いながら喋ってる感じが、気にわねェェッ! それが当然だ・・・・・・なんて思ってる感じに言ってるのが、気に食わねェェェェェッ!


 ……けど、何だろう……羅生門らしょうもんだったか……? 芥川あくたがわ龍之介りゅうのすけの……。

 この世界の常識はまだ分かんないオレだが……この感じ……何なんだろうな……?

 中学か高校で読み流していただけのあの内容が……今、この感じ双方に悪があるなんじゃあないかと思っちまうな……。


 時間には関与しない『絶対的な敵』などいない……。

 なぜなら、敵はいつも同じ”人間”だからだ……


 ”ザ・○ス”が言っていた事も……コレに繋がったりするのか……?


 ……だけど、それでもやっぱり……! あの人を”囲っていた光景”が……。

 オレが最も嫌いな事の一つ・・・・・・・・・である、「イジメをしている現場」と重なった以上……ッ!



 「ヒャッハ〜ッ! ……と言う訳だニイちゃ〜ん!

 そう簡単にオレらは野垂れ死たくないんだから……大人しく死んでくれやァァァァァッ!」


 〜 ザッザッザッザッザッザッ……! 〜


 「おい待て! ヒャルバッ!? 勝手な抜け駆けは……!」


 「アニキ達は、警戒し過ぎなんですよォォ〜!

 このご時世! 武器どころか、よろいも着ていないこの間抜け野郎に……これ以上、警戒する要素が何処にアリやしょうかねェェェェェッ!?」


 〜 ブゥゥンッ! 〜


 「……(全く……相変わらずのデタラメな振り方だが……動かないようじゃあ、終わったな・・・・・……!)」


 「……」


 〜 ……スカッ! 〜


 「……ハッ?」


 「……ど、どうした? 遅すぎるぜ……!

 (あ……危ねェェェェェェェッ!? 何度も「オレは出来るッ!」……って、自己暗示気味に、オレを鼓舞コブし続けた余り、ボ〜ッとしてたけど……何とかかわせたァァァァァァッ!)」


 「ハ……ハッ! ”マグレ”でけられたからって、調子に乗るなぁぁぁ!」


 〜 ブゥゥンッ! ブゥゥンッ! 〜


 「……ハッ! ヨッ!」


 〜 ブゥゥンッ! ブゥゥンッ! ブゥゥンッ!〜


 「……おおっとッ! ヨッ! ハッ!

 (……アレ? 思ってたよりも……躱せる・・・ッ!?)」


 「……ハッ!? おいッ! フランダッ!」


 「……えッ?」


 「何、ボサッとしてるんだッ!? サッサとあの”詐欺野郎”に魔法を撃てッ!」


 「えぇぇ!? この状況・・・・で、魔法を撃つんですかッ!?」


 「ヒャルバの馬鹿に、気を取られてる今がチャンスだろッ!? 早く撃てッ!」


 「無理ですってッ!? どうやるんですかッ!?

 ヒャルバとあの野郎が、こちとらから見て重なるように戦闘し続・・・・・・・・・・けてる・・・この状況でェッ!? ヒャルバの奴に当たっちまいますよォォッ!?」


  〜 ブゥゥンッ! ブゥゥンッ! ブゥゥンッ! ブゥゥンッ!〜


 「…… ヨッ! ハッ! ホッ……とッ!」


 「クソッ! クソッ! クソッ! クソッ! クソォォォッ!? 何で当たらねェんだよォォォォォッ!?」


 「……ホッ……とッ! さぁ? ハッ! 盗賊家業で……ヨッ! ロクすっぽ訓練もしてないだろうから……ソッ! 腕がにぶ……ハッ! ったんじゃあ……ホイッと! ないの? ……オッ……シィねェ〜?」



 ……大分、躱す事にも慣れてきたな……! けど……何だ?

 この躱すのが”ドッチボール感覚”に似てきて……楽しくなってきてつい、”おちょくちまった”けど……怒ってる? 怒ってる性で、動きが単調になって・・・・・・・・・きてる……!?



 「ちょ、調子に乗るなァァァッ! このッ、デクの坊ガァァァァァッ!」


 〜 ブォォォンッ! 〜


 ……おっ!? 予想外の大振り……! ……あっ、勢い余って背中を向けた・・・・・・? これなら……ッ!


 「オラァッ!」


 〜 ドンッ! 〜


 ……踏み込みからの”喧嘩ケンカキック”で、距離を稼いだ後……!


 「どわぁぁぁッ!? とっとっとっとっとッ!?」


 ――良いゼェ……ッ! そう転ばず、踏み止まってくれたのは……実に良いッ!


 〜 ザッザッザッ……バッ! 〜


 「……テメェェェッ! このヒャルバ様に、一発蹴りを噛ませたからって何も変わら……ッ!?」



 そう振り返って……! そんなバイザー目を覆う部分もない、”洗面器みたいなヘルメット”で防御すらされてない……見るだけ鬱陶うっとおしい顔面に……ッ!



 〜 グンッ……ブゥゥゥンッ! 〜


 ――”ジャンプパンチ”でェ……! ブン殴るッ!


 〜 ……ゴッ、シャアァァァッ! 〜


 「アビャァァァシィィィィッ!?」


 〜 ゴロンッゴロンッ、バタァァァンッ! 〜


 「「ッ!? ヒャルバァァァァァッ!?」」


 〜 ゴロンッ、シュタッ! 〜


 「ハァ…ハァ……マジかよ……! マジで……ヤれたのか……? オレはッ!?」



 ――ジャンプパンチ後の受け身前転から起き上がった後、自身の直ぐそば白目を剥いて大の字に・・・・・・・・・・伸びている・・・・・”ヒャルバ”とか言う男を見たオレは……今も震える、殴り抜いた自身の右拳みぎこぶしを見ながら……そうつぶやいていた……。

 いや……だって、バカっぽいコイツのステータスでもこうだったんぞッ!?



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 氏名:~Unanalyzabl鑑定不能e~

<Code Name> 兵士H

 年齢:~Unanalyzable~

 性別:男性

 職業:~Unanalyzable~第六部隊~敗戦兵~

 属性:無



<レベル:15>

 HP:366/400(VIT:+10)

 MP:10/10

 DE:6.0(~Unanalyzable~ +6.0)


 能力値

 STR:6.0

 PER:3.0

 VIT:10.0

 AGI:2.0

 INT:1.0

 LUC:10.0(チキンソウル -10.0)

 MAG:0.0



[ Intelligence ]

 カス Lev.1


[ Luke ]

 チキンソウル Lev.Max



 Ex:~Unanalyzable~

 所持金: 800Br

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 ……ツッコミどころのある”スキル表記”があったけど、それは置いといて……

 <レベル15>ッ! <レベル15>だぞッ!?

 オレよりも14レベルも高い格上・・・・・・・・・・だったんだぞッ!?

 木陰から様子をうかがってた際に、何気なく「スキャン」のスキルを発動させて、はかったんだから間違いないだぞッ!?


 他の能力を比較するのをハブいても、”STR攻撃力:6.0”……って、オレの2倍・・の力持ってたし、他も”フランダ”って奴は「レベル14」ッ! アイツらのリーダー格っぽい”ザカリー”で、最高の「レベル16」だったんだからなッ!? そりゃあ、躊躇ためらうわッ!


 けど……今もこう「スキャン」発動させて、「HP:6/400(VIT:+10)」……と、”ヒャルバ”の体力が表示されているのを見て確信した。

 イケる……! イケるぞ……ッ! アイツらをブッ飛ばして……あの人を助け出せる……ッ! オレは……あの人の英雄Heroに成れる……ッ!



 〜 メラァァァァァァンッ! 〜


 「おわッ!?」


 〜ボカァァンッ! メラメラメラ……〜


 「チキショウッ! よくもヒャルバをッ!」


 「おいッ! 落ち着いて狙えッ!

 そこら辺の岩を燃やしても、ヒャルバのかたきは取れねェぞッ!?」


 「うるせェェェッ! 今のは当たったハズの玉だぞッ!?

 なんなんだよクソ野郎ッ!? ヒャルバを殴り飛ばした拳を見て……ボケッとしてやがった癖に、オレの「ファラ」を避けるだなんてよォォッ!?」


 ……伸びちゃいるが、まだ生きてるんだけどな……?

 まぁ、助ける気は一切ないが……。


 〜 メラァァァァァァンッ!  ボカァァンッ! メラメラメラ…… 〜


 「オラァッ!

 そんな見え見えな場所に隠れてないで出てきやがれッ! クソ野郎ッ!」


 「……ハァハァハァハァ……」



 ……イヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤッ! 威力おかしいだろッ!?

 さっきチラッと確認した”外した岩”もッ! 今背中を預けてる、咄嗟とっさに”隠れた岩”もッ! ドロドロに溶けて赤熱・・・・・・・・・・してる・・・ってッ!?

 ”グレネードランチャー”かよッ!? 最下位級(?)……って一番ショボそうな魔法で!?

 あんな、岩をも溶かせる温度900~1300度で燃える”ナパーム弾”的なヤツを、ポンポン撃てるなんて冗談キツ過ぎるぜッ!?



 〜 メラァァァァァァンッ!  ボカァァンッ! メラメラメラ…… 〜


 「オラァッ! さっさと出てきやがれッ! クソがァッ!」


 「おいッ! フランダッ! 無駄撃ちするなッ! 後、一発しか撃てない・・・・・・・・だろッ!?」



 ――後”一発”? 確か……あいつの魔力は「MP:200/200」で、今まで撃ったのは”3発”……。

 つまりは、あの「ファラ」って、魔法は一発撃つのに「MP:50」も必要なのか……?

 ……RPG序盤じょばんで使える魔法と考えると――意外と燃費が悪いな……納得な威力でもあるが……。



 「うるせェよッ! ザカリーッ! テメェは悔しくないのかッ!? あんな腰抜け野郎に翻弄ほんろうされてッ!?」


 「落ち着けッ! フランダッ!

 お前の気持ちは分かるが、落ち着かなきゃ本当にアイツに翻弄されかねんかもしれないぞッ!?」


 「じゃあどうしろってんだよッ!?」


 「……オレが引きずり出してくる。

 お前は……引きずり出した所を撃て。そうすれば確実に当たるだろ……なっ?」


 「……チッ、だったら早くしろよ……」



 ――ヤベッ!? 早く何かしら手を打たないと、オレが火達磨ひだるまにされちまう……ッ!?

 ……チラッと見たが……あのザカリーって奴、直ぐにでも撃ちたいのか……魔法を出したまま構え・・・・・・・・・・やがるな……。

 どうする……? 石でも投げつけて、あの魔法を誘爆ゆうばくでも出来れば勝算はありそうだけど……。



 〜 ……ザッ、ザッ、ザッ、ザッ…… 〜


 ――ッ!? 近づいてきてるッ!? ヤベェヤベェヤベェヤベェヤベェッ!?

 もっ、もう迷ってる暇はねェッ! ヤルしかねェ! 当ててやるしかねェッ!

 英雄Heroに……英雄Heroになれェ……! オレェェェェェェッ!



 「ウオォォォォォォォォォォォォォォッ!」


 「ッ!? なっ、何だッ!?」



 ――隠れた岩の傍に落ちていた”石コロ”を拾いつつ、雄叫おたけび一発ッ!

 岩の影から飛び出し、”エアソフトの擬似手榴弾グレネード”がボロボロになるまで鍛え続けた、投球フォームを瞬時に取ると、全力で生成されていた”炎の塊ファラ”に向けて投げ付けるゥッ!



 〜 ビュゥゥゥンッ! ……ゴッ! 〜



 ……Noooooooッ!?

 ……しかし、唐突な気合の入れ過ぎで緊張したのか……。

 全力で投げつけた石コロは、目標をわずかにれ……発動したフランダとか言う奴の・・・・・・・・・・顔面に命中・・・・・したんだよ……ッ!



 「ッ!? フランダッ! 大丈夫かッ!?」


 ――頼むッ! 倒れろ! 倒れてくれッ!


 「アゥゥゥゥグググググゥゥ……ファ、ファナを……ファられたが……。

 だ、大丈夫だ……ザカリーッ!」


 ……嘘だろ!? 全力投球で投げたんだぞッ!? しかも顔面にッ!?

 気絶しても可笑おかしく無いだろッ!?


 「……この野郎ッ! 何が狙いだったか知らないが……よくもフランダをォォォ……ッ!」


 〜 ガクン……ドサッ! 〜



 アァァ……終わった……! 誘爆させられなかった……。

 当てた衝撃で魔法は消せた・・・・・・らしいけど……どっちみち終わりだぁ……!

 傍にヒャルバとかいう奴が使っていた”ボロボロの剣”が落ちているけど……流石に色々と鍛えてたオレでも、格闘技の真似事ばかり・・・・・・・・・・やっていたモンだから……西洋剣術はモチロン――剣道すらかじっていなかった……。



 「……ハッ! 何があったが分からんが、やっと大人しく死ぬ気になったか……!」



 ……つまり、他の異世界転生・転移ラノベのなんかの主人公のように、即座に剣とかを手に取り、勇者の如く、勇敢かつ颯爽さっそうと対処出来る自信なんて……これっぽっちもねェよ・・・・・・・・・・ッ!?

 元々ヘタレだしッ!? だから自己暗示してたワケだしッ! それにモブだったワケだしッ!?

 だから無理ッ! 剣を使って防げたとしても、それで終わりッ! それだからか……暴投した時から抜け掛かっていた膝が完全にヘタれて、両手を頭に抱えたまま崩れ落ちちまったよ……!



 「……それで良いんだよ。

 そうゆう風に、最初から大人しく……! 頭、カチ割れやがれェェェェッ!」



 ……「あぁ……これが走馬灯そうまとうなのか……?」……なんて、スローモーに渾身こんしんの力を込めて振り上がる、”ザカリー”とかの言う奴の剣をボンヤリと眺めていたオレだが……その先端付近を見た瞬間、”奇妙な事”に気づく。


 奴の剣の先端で……火の玉が燃えていた・・・・・・・・・のだ……!?


 えっ!? 火魔法!? 火炎剣ッ!? オレを倒すのにそんなに本気ッ!?

 ……なんて、普通は迷いそうだったが……何故か不思議と頭は冴えてい・・・・・・・・・・

 斬られそうな瞬間だというのに……オレにはあの火の玉が「打ち損ねたファールボール」の様に見え、同時に「魔法は消えたのではなく、石が当たった拍子ひょうしに”上に投げられた”」……という事を理解していた……。

 そして……そこからのオレの行動は……自身でも信じられないぐらいに、素早かった・・・・・



 〜 ブゥゥゥン……ゴロンッ! 〜


 「ハッ!?」



 ――まるで誰かに操られたかのように……オレは瞬時に団子虫ダンゴムシの如く身を縮めると、同時に、振り下ろした剣をスレスレに躱していたのだ……ッ!

 そして、先程まで身を隠していた”岩の陰”へと転がっていた……。

 すると、入ったと同時に――自身の拳よりも少し大きい石コロを瞬時に掴み上げ……! 



 〜 ガッ、バッ! 〜


 「オラァァァァァァァァァァァァッ!」


 「ッ!?」



 ――岩を駆け上って大ジャンプッ! 自分より頭一つ分ぐらい低いザカリーの身長より、約1.5倍ぐらいの高さまでび上がっていたのだ!

 「信じられない……!?」 オレがこんな事が出来るなんて……!? という、の両方で驚愕きょうがくの声を上げる事もなく、岩を掴んだ右手を大きく振りかぶって……!



 〜 ……ガンッ、シャアァァァッ! バタンッ! 〜



 再びの”ジャンプパンチ”で、ザカリーとか言う奴の顔面をブン殴るッ!

 しかし――咄嗟に両手で剣を逆手に持ち、剣のつかで顔面をガードしたみたいだが……それもお構いなしにブン殴ったッ!

 ……というか態々、石を持って殴り抜いたのはこの防がれる事を予測してか? ……なんてオレの口は動く事もなく、殴った奴が頭から地面にダイブするよう、盛大にもんどり打つ中……



 〜 ……ゴロンッ、ザッザッザッザッザッ……! 〜



 体の方は殴り抜いた後の受け身を取るためにローリング前転した後、走り出す……!

 勿論、向かう先は先程の”火の玉”を発動させた”フランダ”とか言う男の元で……!



 「えぇぇぇ!? ちょぉッ!? ザカ……オブウェェェ!?」



 ……すれ違い様に、鎧のない鳩尾みぞおち付近目掛け、助走を活かした”右ボディブロー”を叩き込む。そして、両手を腹に抱えて倒れ込む前に、背後に回り込むと……



  〜 ……ガシッ、グンッ! ズルッズルズルッズル…… 〜


 「おっ、おいッ……!? 何をする……ッ!?」



 今にも地面でのた打ち回りそうな、青ざめた顔をしているフランダとか言う奴の戯言に構わず……。オレは、奴を”羽交い締め”にすると……そのままある場所・・・・へと引き摺って行った……。



  〜 ……ズルッズルズルッズル……バッ! 〜



 ……そして、”火の玉の落下地点”にフランダとか言う奴を引き摺って来た後……オレは素早くローリングをして、その場から離脱りだつしていた。

 そうして……状況を把握出来ず、未だ狼狽うろたえていた奴に、ピッチャーフライ・・・・・・・・の如く落ちてきた”火の玉”をキャッチさせたのだッ!



 〜 メラァァァン……ボカァァンッ! メラメラメラ……グラッ、バタンッ! 〜



 ……グロッ!? 流石さすが、”グレポングレネードランチャーモドきの破壊力”があるだけか……。

 無防備に受け止めた頭は、首の根本に焼けげた僅かな肉片を残すだけで、爆炎に喰われていた・・・・・・・・・……!

 ……FPS一人称TPS三人称のシューティングゲームにもハマり込み、グロ目なホラーゲームもそこそこたしなんでいた所為せいなのか……。

 不思議と殺人・・による”悲愴感ひそうかん”に打ちひしがれるとか、盛大な吐き気をもよおす……とかの”お約束”的な事は起こらなかった。

 只々ただただ……「敵一体を撃破」……的にしか考えてなかった。



 「まさか……オレの知らない間に、オレは人間をやめちまった・・・・・・・・・のかッ!?」



 ――ローリング後、起こしていなかった体を起こしながら……好きだったラノベの一つを思い出していた……。

 それは――異世界転移して、異形いぎょうと成り人間としての感情をほ・・・・・・・・・・ぼ失った・・・・骸骨魔王アイ○ズ様……みたいな事が、自分にも起こったのか……ッ! ……なんて、考えが頭をぎる。


 まぁ良いや……今考えても、答えなんて出ないしな……。


 それになんで、さっきの「ピッチャーフライ」みたいに――魔法に”重力の概念がいねん”があるのか知らんが……何とか助かった以上、今は「今後の戦法に使えるかもしれない」ということだけに頭にとどめておこう……。だがしかし、それよりも……。



 「結局、銃……使わなかったよな……」



 ――何とも言えない”さびしさ”を前に、思わずボヤきが出てしまう。

 いやだって、骨董オンボロ銃とは言え……生前(?)じゃあ、現代では中々お目に掛かれない「フリントロック・ピストル」さんですよ?


 撃つのが久しく、「戦闘になったから直ぐ使えッ!」……って、状況でもなくなった以上……スキルの確認も兼ねて・・・・・・・・・・、出してみたくなるのが当然じゃあないですか〜! 特に……自称とは言え、<ガンマニア>なオレにとってはッ! ……良しッ! そうとなれば……ッ!



 「ガンズクリエイトッ! フリントロック・ピストルッ!」


 〜 ……ポワァァァァァァ……バシュンッ! 〜



 ――眼前に右腕を伸ばしながら、そう叫ぶ。

 すると、右手が徐々に”赤く”かがやき出し始め……少しすると、オレが思わず目を逸らしてしまう程の閃光を発した。……このファンタジーな展開に驚きつつも、恐る恐る自身の右手に視線を戻すと……そこには、「フリントロック・ピストル」を”しっかりと掴んだ右手”があった……!



 「……おぉぉ! スゲェ……ッ!」



 ――思わず感嘆かんたんが漏れる。

 だが、そこから右手首を回転させ、銃を舐め回すように鑑賞かんしょうするだけじゃあ……ダメだ。これは実弾射撃場に来たら、どんな銃だろうと確実・・・・・・・・・・にやる事・・・・なんだが……。



 「……火皿には、装填そうてん済みなのか……」



 ――まずした事……それは、フリフリントロックピス・ピストルの右側面にある”火蓋ひぶた”を開く事だ。そこのフタされていた”火皿ひざら”に、点火薬用の”黒色火薬”が装填されてるかを、確認・・した。



 「弾は……弾も詰め込まれてるのか……!」



 ――続いて、銃身バレル下部に収納されていた”槊杖さくじょう”という、弾込め用の棒を引っ張り出し、銃口から突っ込んで弾が装填されているかの有無を確かめた……。

 結果は勿論――棒越ぼうごしにだが、ちゃんと鉛玉なまりだまの球状の感触かんしょくを確認する事が出来た。

 ……と、こんな感じにどんなに完璧な状態に整備され・・・・・・・・・・た銃・・でも、確実に撃てるかどうか必ず「動作確認」をするモノなのだ。


 ……毎回、射撃場で言われてウザいと思っていたモノの……あんじょう、一度サボった際に暴発して怪我しかけた・・・・・・・・・・後からは、射撃場に行く度に言われずとも点検するよう……このクセがついていたと言うワケだ。

 ……とまぁ、この銃を調べた現状の結論からは、「ガンクリガンズクリエイト」で出した銃は、「即座に撃つ事が出来る!」……と言う事が判ったワケだ。



 「……ウッ、ウゥゥゥン……」


 「ッ!? あッ、ヤベェ……忘れてた!」



 ――久しぶりに触れた銃に夢中になり過ぎてたのか……すっかり、本来の目的を忘れ掛ける所だった……! 済まない、名も知れぬ人よ……放置プレイしてて、スマン……ッ!



 「さっき、腹とかを蹴られてたからな……待ってろ、今すぐ治療を……!」


 〜 ……ザッ……ザッ……ザッ…… 〜


 「ッ!?」


 〜 グルンッ! チャキッ! 〜


 「……何…のつもり……だ……?」


 「さぁな? だが……”悪足掻わるあがきはやめとけ”……って事は忠告ちゅうこくしておくぜ?」



 ……全く、ビックリしたぜ……!

 「マジかよ、ザカリー!?」……って、”クサイ台詞セリフ”が飛び出そうだったよ……!

 まさか、石で顔面をブン殴ったってのに……起き上ってくる・・・・・・・だなんてな……!?

 ……異世界人、頑丈がんじょう過ぎだろ……って、苦情を上げたいけど……。

 背後へと振り返り、右片手で銃を構えるオレから約2〜3m先――奴の顔面は真っ赤にれ、チラチラ見える歯は、”すきっ歯”を軽く通り越してボロボロだ。


 ブン殴った際に何本か折れたのだろう……。歯が折れた所から血もダラダラと流れていて……そう、簡単に想像出来た。

 しかし……偶然にも、背後から忍び寄る足音・・・・・・・・・・を聞き取れたのはラッキーだった。……くやしいが、次からは敵を倒した後も”周囲の警戒をおこたらない”事を、反省しておかないとな……。



 「この…野郎……ッ! よくも……ヒャルバと……フランダを……ッ!」


 ――いや、だからヒャルバさんは生きてるって……。

 フランダの野郎は、どう足掻あがいてもご愁傷様しゅうしょうさまだけど……。


 「……お前ら、言ってたよな? 「生きたいから、オレらを殺す」……って」


 「……ア゛ァァ?」


 「……クソで馬鹿な野党共だろうお前らにも、特別……! 分かり易く言ってやるよ……?

 お前らを倒す理由……それはな? さっきの言葉を、そっくりそのまま返し・・・・・・・・・・するって事・・・・・だよ……ッ!」


 「ッ!? だから……だからって……二人を……ッ!?」


 「自業自得じごうじとくだろ?

 何時からお前らは、「狩られる側」にならない・・・・と思っていたんだ?

 その言葉を口にして、一体何人の「犠牲者」になさけを掛けてきたんだってんだッ!? ア゛ァァァァッ!?」


 「……ッ!?」


 ……ホント、偉そうに被害者面ひがいしゃヅラしてんじゃあねェよ……クソがッ!


 「それとな……テメェに言われるのが癪過ぎるから、先に言わせてもらうが……。オレの後ろで伸びている奴を”助ける理由”……」


 「……助ける…理由……?」


 ……何だろう……人に銃口を向けたのは、エアガンしかなかったからか……腕が……震える……?


 「オレは……オレはもう――逃げたくないんだよ・・・・・・・・・……ッ!

 苦しんでいたり……困っていたりする人を……”力がない事”を理由に逃げるのは……ッ!」


 ――震える声と照準を、銃のグリップを握り直す事で納めつつ……オレは言葉をつむぐ。紡いで……紡いで……叫ぶ……ッ!


 「だからもう……躊躇ちゅうちょはしない……ッ!

 この手に握る”力”を手にした以上……! オレはオレの”信じたい道”を突き進む……ッ!

 つまりだな……もう負けは確定しているこの状況で、お前がその剣で”最後の悪足掻き”をしようってモンなら……!

 殺す……ッ! お前の剣以上に”危険なコイツ”で、確実にテメェを仕留めてやるゥッ!」



 ……我ながら、カッコ悪い台詞セリフだな……と思った物だ。

 覚束無おぼつかない、キチンとした脈絡みゃくらくもない宣言だったが……”嘘偽りない本心”だ。

 これ銃召喚がオレのチート能力……”力”であるなら、もうオレは逃げ続ける人生には戻・・・・・・・・・・りたくない・・・・・……ッ!

 ……だからこそだ。だからこそ……アイツにも、今後の自分ためにも……ここで言ってやったんだ。

 「初めて人を射殺する」……震える腕に叱咤しったし、躊躇しな逃げない為にも……ッ!



 「笑わせるなよ? そんな棒でか!? 魔力の欠片も感じないその棒っきれ・・・・でかッ!?」


 「あぁ、そうさ。勝ったも同然さ。テメェの握っているそんな”ナマクラ”よりも……圧倒的に恐ろしい武器・・・・・・を、今テメェは向けられているんだからなぁ……?」


 「……クッソォォォッ! さっきから図に乗りやがってッ! どれだけオレをおちょくれば気が済むんだッ!? もう我慢ならん! ……殺してやる、二人の仇だ……! 絶対お前をブッ殺してやるゥゥゥッ!」



 ――いや、銃に関しては事実を言っただけだから。

 おちょくれば挑発すれば、何となく<攻撃を躱しやすくなる>……って、分かったからやってるけどさ……。


 けど……さっきまでは、「オレの正義感」と「自分がモブだって事実の臆病おくびょうさ」で揺れ動きまくっていたけど……。なんだろう……今は、何故か……!



 「ヘェ……「ブッ殺す」……ねェ?

 ところでアンタァ? それって毎回、相手を殺す前に・・・・言っているのか?」


 「あ゛ァァァッ!?」


 「それってなぁ……? とある世界じゃあ、「マンモーニ」……「ママっ子」って意味で……臆病者・・・呼ばわりされてるんだぜ? 知ってたか? まさかと思うが……今までお仲間二人に攻撃を任せてたのは……。

 オレが初めて殺す相手・・・・・・・・・・だったからのかぁ? ……マンモーニのザカリーちゃん?」


 〜 ……プルプルプルプルプルプル…… 〜


 ――自身の”チート能力”が分かり始めてきて……。


 「フンッ、どうしたんだい? ザカリーちゃん? そんな俯き、生まれたての小鹿こじかみたいにプルプル震えちまって?

 まさか、オレの事が”初めて怖い”と思って……玉金でもなくなっちまったのかぁ?

 えェェ〜? マンモーニのザカリーちゃぁぁん?」


 「ッ!? テメェェェェッ! それはフランダが言ってた事・・・・・・・・・・ぅぉぉ……ッ!」


 「……はて? 今、言った言葉の何処に”フランダ”……って、名前が書いてあった・・・・・・・・・んだ?」


  ……楽しくなって来た……!


 「……クッソォォォォォッ! ブッコロスッ!」


  〜 ……ザッ! ザッザッザッザッザッ……! 〜



 ――”不敵な笑み”を浮かべながらザカリーって奴を挑発するおちょくると……案の定、奴も先程までの冷静さは何処へやら、オレに向かって無策に突っ込んで来た。

 それに対してオレは、奴に冷静に照準を向けたまま微動だにせず動かないでいた……。

 ……恐怖心? くすぶるようにはまだ有る……。

 けど……それ以上に、オレの頭の中ではアニメなどの物語の主人公が、勝利目前に流れる音楽・・・・・・・・・・のような……ロックでノリの良い軽快な音楽が、漠然ばくぜんとしながらも流れ続けていた……!

 それがオレの恐怖心を緩和させ、逆にオレの闘争心をたかぶらせていた……ッ!


 ……”不適な笑み”が今も止まらねぇが……「処刑用BGM」だったか? こういうのって?



 「死ねェェェェエェェェェェェッ!」



 〜 ザッザッザッザッザッ……ブォォォンッ! 〜



 ――再び、上段からの大振り。しかも、助走付きで威力も増してるだろうと来た……。

 当たったら間違いなく……オレは縦真っ二つの、”ボンレスハム”にでもなっちまうだろう……。……だけどな?



 〜 バッ! ……スカァァッ! 〜


 「……何ィッ!?」



 ……そんな上段の大振り、実戦経験ナシな素人の・・・・・・・・・・オレ・・だって……タイミングさえキッチリ測れば、こうやって”サイドステップ”して躱せない事もねェんだよッ! そしてェッ!



 「ウオォォォォォォォォッ!」


 〜 ブゥゥゥンッ! 〜



 ――左に”サイドステップ”して、剣を空振りした”奴の側面”をとらえた今ッ!

 俺に向けて振り直すにも隙が出来る今ッ! その無防備になった顔面に……ッ!



 「……ラァァァァァァッ!」


 ――”右回し蹴り”を……!


 〜 バッ、キャアァァァァッ!〜


 ――叩き込むッ!


 「オッ!? ブウェェェェェッ!?」


 〜 ゴロンッゴロンッゴロンッゴロンッ、ドカンッ!〜


 「ハァ……ハァ……ハァ……漏らすかと思った……」



 ……いや、マジで怖かったよ……。

 なんせ、言葉に出来ねェ程に鬼気迫ききせまる表情……って、言うか……。オレが憎くて仕方ない表情……って言うか……。うん、とにかく必死・・・・・・だったって事はよく伝わっていたよ……。けど、お前が伝えたい事には……一切同感できないな。


 さっきの格ゲー格闘ゲームなんかでありそうな、「回避からの強攻撃スウェイブロウ」がオレの答えだ。



 〜 ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ……チャキッ 〜


 「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……」


 

 ……ホント、異世界人の体力にはビックリだよ……。

 さっきの走りから、止まる最中に当たった性か……助走の勢いを殺しきれず、それが俺の回し蹴りと当たった事で「カウ相手の攻撃中に、自ンター身の攻撃を当てる事」みたいになってオレの予想以上の破壊力が出たらしい。なんたって、今ザカリー……って、もういっか……。


 奴は当たった衝撃で、オレが初めに”ジャンプパンチ”で殴り飛ばした以上に転がって行き……その軌道きどうの延長線上にあった”岩”に、盛大に後頭部を打ち付けて・・・・・・・・・しまっていたんだから……。


 今だって、ホラ……後頭部から盛大に出血して、足も満足に動かせず――何とか岩に寄り掛かるように座り込んでいるって言うのに……。

 気絶もせず、ひたい目掛けて銃口を突きつけるオレに対し、睨みを利かせてまだ反抗の意思を……って、オレが悪役みたいだ・・・・・・・・・なぁ・・!? オイッ!?



 「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……」



 ――まぁ、そんなこんなで「スキャン」で見ても「HP:44/363(VIT:+3)(出血中)」……って、”状態異常”付きの虫の息・・・な訳だ。

 今も、5秒に付き「HP:1」ずつ減って来ているから……後、三分の命・・・・……ってトコか……。って、何だよ……? 何でまたオレは悪役っぽい台詞・・・・・・・を思い浮かべてんだ!?

 

 ……けどまぁ、ダークヒーロー・・・・・・・とか?

 「正義じゃあさばけない悪を、捌く悪」……的な物は好きだったりするけど?

 とある”極道ゲーム”の主人公桐生○馬とか、そのライバル真島○郎なんかは大好きだし?



 「……そうそう、言い忘れてた事があったんだけどよぉ……?」


 「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……?」



 ――「口に出して言わなきゃ、誤解される」。

 それで今までの19年間、散々酷い目に合い、ラノベでも学んできたオレは――死に掛け・・・・であろうと、この勘違いをしていたコイツに言ってやる……。


 「……オレは魔族なんかじゃあない。”北東の魔大陸”なんてのも聞いた事もない……。ただの一般市民……いや、”旅人”みたいなモンだ」


 「ッ!? ハァ……ハァ……ハァ……旅、人ォッ!? ハァ……ハァ……その……実力で……ッ!?」


 ――おいおい、ラノベじゃあ”ド鉄板”な「自分は旅人or田舎者です」設定に、ケチ付けるつもりかよ……?


 「……褒めてんのか、けなしてんのか知らねェが……。とにかく、テメェに確実に言える事としてはさっきの旅人だって事と……」


 ……逃げるな……オレは……成るんだろッ!?


 「……テメェらみたいな理不尽をブチのめして・・・・・・・・・・……「英雄Heroになるため」に、オレはここに来たんだからなァッ! 分かったかッ!? クソ野郎ッ!」


 ……言い切れたぁぁ……!

 後は、コイツが何を言おうと……オレはコイツらに襲われていた”あの人”を助けるだけ……!


 「ハァ……ハァ……ハァ……フッ、英雄だと・・・・……?

 馬鹿馬鹿バカバカしい……ハァ……ハァ……結局は……ハァ……ハァ……オレらと……同じじゃあねェか・・・・・・・・……!

 オレらを殺して……オレらの…獲物を……ハァ……ハァ……奪いやがった……ッ!

 テメェは……英雄なんかじゃあねェ……! ハァ……ハァ……ただの……ハァ……人殺しだッ!」



 ……あぁ、分かったよ……さっきから感じてたこの違和感・・・・・……!

 アレだ。”海外の人達”と話しているような……多分、「価値観の違い」って奴なんだろうな……。だから……さっきから噛み合わなかったんだろうな……。


 「人殺しが”アタリマエ”で異世界ある世界」と「平和が”アタリマエ”地球である世界」……って感じに……。……アホ臭せェ……! オレの世界の”アタリマエ”……って奴が通用しないなら……!



 「……勝手に言ってろ、クソ野郎。

 ただ、決定的に違う事がもう一つ・・・・……出来たなぁ?」



 ……絶対に突き通してやるッ! なんだったら、このチート能力を使って……戦争(?)なんてやってるこの世界に、きる程の”平和”ってのをくれてやるよッ! ……だけどいい加減、コイツとの馬鹿げた問答もんどうも聞き飽きたよな……。

 ……オレは「フリピスのハンマー撃鉄」を、右手の親指で引き起こす。



 〜 チキキキッ、カチッ! 〜


 「確かに、テメェらから見れば……オレはテメェらの獲物を奪った・・・んだろうよ……? けどな? オレから言わせてもらえば、オレは助けたんだ・・・・・ッ!」


 「……助けた? あの獣女……獣人じゅうじんを……ッ!?」


 ……チッ! 人種差別? ”差別”してんのかッ!? またオレが嫌いな事・・・・を……ッ!


 「……へぇ、アイツ”獣人の女性”なのか……イイじゃん・・・・・?」


 ――異世界の代名詞の一つだろッ!? ファンタジーだろッ!?

 是非、お仲間にでもなって欲しいモンだねェッ!


 「ッ!? バカか……お前……ッ!?

 王国が……ハァ……ハァ……奴隷の・・・……対象・・に……!」


 〜 ドゲシャアァァァッ! 〜


 「ゴボォォォッ!?」


 「……もういい。

 それ以上、”不快な事”を言うんじゃあねェよ、クソ野郎……」



 ……ヤベッ、地味に情報が聞けそうだったのに、「奴隷の対象」って聞いた瞬間に……手が出ちまった・・・・・・・

 ……いや、実際出たのは右脚・・か。腹にメリ込んでるし……。

 それよりも、そろそろコイツの体力も”一桁台”に突入しそうだし、失血死されるよりも早く……トドメは差しておく・・・・・・・・・か……。



 「……まぁ、何だ。

 これが本当の最後に……って事で言っておこう……」


 「ハァ……ハァ……ハァ……?」


 「ありがとよ。オレが英雄Heroになるための、”チュートリアル練習台”になってくれて……」



 ――「悪党じゃあない」……って事を示すため、オレはあえてコイツに礼を言う。

 ……勿論、心を込めて感謝する相手じゃあないから、皮肉の感情・・・・・をたっぷり込めて言ってるけどな?



 「ハァ……ハァ……ハァ……チュート……リアル……?」


 「……意味は知らなくていい。ただ、”感謝されてる”とだけ思っとけ……」


 「ハァ……ハァ……ハァ……?」



 ……意識が朦朧もうろうとしてきてんだろうな……。

 受け答えも、もう満足にできてねェし……白目になり掛けて来てやがる……。

 ……”切腹”って感じでもなく、銃だけど……介錯かいしゃくはしてやるか……。



 「……”チェックチュートリメイトアルは終わり”だ……」


 ~ キンッ! シュボッ! ~


 「ハァハァハァハァハァ……ッ!?」


 ~ ズバンッッ! ~



 ……この世界で……初めて、”命”を刈り取った武器の産声・・・・・が……静かな森の中で、ひびき渡る……!





<異傭なるTips> 坊城ボウジョウ ススム(3)


 前話でも彼が語っていたように、彼には少なからず「英雄願望」がある。


 彼には友人が全くいなかった訳ではないが、ほとんどを”一人”で過ごす時間が多かったが故に……

 今の”趣味”や”サブカルチャー”をカジり回り、特に”ゲーム”や”ミリオタ軍事趣味”をこよなく愛す彼が居るのだ。


 そんな人との繋がりが希薄・・・・・・・・・だった彼でも、絶対に関わる事がない人の目の前を通り過ぎる際、ある事・・・に対して非常に強い”嫌悪感”と”義憤心”を抱くのだ……。

 しかし……それは、全て日本・・地球・・という”秩序ある社会”に、抑え縛られ――いつも・・・”通り過がらざるを得なかった”のだ……。


 だが……彼は諦めたくなかったのだ……!


 だからこそ――今日までに、彼は細々ながらも体を鍛え続けた……。

 だからこそ――独学ながらも現実の武術や、ゲームや漫画などの自身が”再現可能”な技を鍛錬たんれんし続けた……。

 だからこそ――今回のように、素人で無傷ながらも……”泥臭い勝利”を掴み取る事が出来たのだ……!


 ……いつか誰かを助けたい……!

 誰かのためになれる”英雄ヒーロー”になりたいと……願い、努力し続けて来たのだから……!

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