『小さなお話し』 その113

やましん(テンパー)

『妖怪退治警備員 処典』その1

『このお話は、フィクションであります。この世のなかとは、まったく関係ございません。) 





『不思議が池の女神さま』、つまり、幸子さんのことは、つとに有名なおはなしになりました。(ほんとか?)


 かなりの人が、見学にやって来ます。


 そこで、『不思議が池管理組合』は、新しい道を作り、綺麗な駐車場や、参拝所をも整備しました。


 売店も設置して、幸子さんグッズなんかも、販売していましたし、幸子さんが出現した時とされる、秘蔵ビデオも、かなりお高いのですが、限定販売されておりました。


 もちろん、一番の売りは、『不思議が池おきらくまんじゅう』の支店で、山の麓の本店から、土日だけ、出店しにきていました。

 

 赤い、大きな傘の、お店なのです。


 しかも、お池でしか、買えないという、スペシャル・バージョンで、ものすごく、美味しいと、評判でした。


 もっとも、この、一般参道は、朝8時から、夕方5時までで、あとは、閉鎖されています。


 幸子さんの、正規の(昔からの)受け付け時間は、深夜2時の前後です。


 本気のある参拝者は、この時間に、正規のおきらくまんじゅうを持参し、決められた参道から上がり、決まったあの場所から、決まった作法で、おまんじゅうを池に投げ込まなければなりません。


 それでも、最近は、幸子さんが現れるかどうかは、かなり、怪しいのです。


 と、言いますのも、最近は、本気ではない、冷やかしの若者が増えてしまったからです。


 彼らは、冷やかし、遊び半分でやって来ますが、幸子さんが出てこないとか言っては、騒音と、大量なゴミを残し、また、お池に棄てて帰るのです。


 もっとも、女王さまから、やましんの監視を命ぜられたことも、影響していました。


 しかし、その、どちらでもない人もいました。


 『妖怪退治警備員』も、そうです。


 彼らは、謎の財団に属する警備会社の社員の、そのまた、一部のエリートで、妖怪退治が仕事です。

  

『処典』(ところ てん)は、そのなかでも、最高の力がある、リーダーにして、すでに、伝説の存在でありました。


 トップ妖怪処分人であります。


 その会社は、ある日、『不思議が池』の存在が気に入らない、つまり、その背後にいる、あの『マツムラ・グループ』と対立している、最高出資者であり、陰の存在であるなにものか、から、幸子さんの処分を指示されたのでした。


 あまりに、大物であることから、ことは、慎重を要しましたし、並みの処分人には、歯が立たないことは、明白でしたから。


              つづく



・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 



幸子さん


『やましんさん、いまでも、手に負えてないのに、また、新作ですか?』


やましん


『まあ、幸子さんが主人公の作品は、久しぶりですからね。』


幸子さん


『やったあ〰️〰️〰️❗と、言いたいですが、ダイジョブかなあ。なんかさ。やたら、心配だなあ〰️〰️〰️〰️』   

 

やましん


『まあ、おきらくに、やりましょう。』


幸子さん


『ますます、あやしいなあ。女王さまの、許可はとりましたか。』


やましん


『事後承認済み。』


幸子さん


『は?』



     ……………………………

 


 





 

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