第11話 受け入れられないもの

さて、何とか乗り切ったね。もう、忙しすぎて疲れたよ。今日は、休みだけど食堂には行こうかな。でも、暫くはお布団でゴロゴロしてたいなぁー。


ノイルは、お布団で少しだけ悩むと声がする。


「ノイル様、おはようございます。」


あ、居るの忘れてた。うーん、起きないと……。


「おはよう、ちゃんと起きるね。」


「無理に、起きなくても良いですよ。」


クノンは、優しく笑うと窓を開ける。ノイルは、あくびをして着替える為にベッドから降りる。一応、仕事では無いが、騎士団の寮なので騎士服である。


「あ、ノイル様。もう、お一人で着替えないでください。朝食は、食堂でなさいますか?」


クノンは、少しだけ困ったように言うと聞く。


「うん、食堂で食べるよ。クノンは?」


「え?わ、私は後で食べます。」


嘘だ。クノンは、視線を合わせない。ノイルは、少しだけ考えてから笑う。そして、クノンに頼む。


「ねえ、クノン。少しだけ、お願いがあるんだ。」


すると、クノンはキョトンとする。


「はい?」


「午前中は、騎士団に居るからお使いして。」


そう言うと、手紙を2枚書いて渡す。1つは、育ての親に。もう1つは、精霊王にである。


「え、ノイル様!?そっ、その精霊王様には……」


「お願い。やっぱり、駄目?なら、僕のお友達にお願いするよ。ごめんね、嫌な事を頼んで。」


ノイルは、子供っぽい雰囲気で頼む。


そして、しょんぼりしたように、周りの精霊を見る。そして、極め付けに気弱に謝る。


すると、サッと青ざめるクノン。


「い、行きます。そのかわり、王城内に居てくださいね?直ぐに、出来るだけ直ぐに戻りますので。」


そう言うと、礼をして部屋から出た。


『君も、人が悪い…。呼べば、私が来るのにわざわざ行かせるとはね。素直に、ここで食べさせてやれば良いのに。クノンを、守るためかな我が友よ。』


「まあね、ここは彼にとって息苦しい場所だし。それに、僕も心が追いつかなくってね。いきなり、貴族だ!権力だ!身分差だ!ってさ。まだ、貴族である僕を僕が受け入れられないんだ。だから……」


すると、精霊王オリジンは優しい微笑む。


『もう、喋らないで……辛いよね?』


次の瞬間、ノイルは崩れるように倒れた。しかし、精霊王が床に崩れる前に受け止めた。具合が悪いのか、顔色が悪く熱が出ているようだ。


『やっぱり、無茶はしない約束だったのに……』


精霊王は、やれやれとノイルをベッドの上に乗せると、人の姿になって執事服を着る。


「まったく、適度に休まないから。まあ、もともと君は休む事が下手だからね。今まで、強制的に休ませて来たけど。本当に、悪い癖だし治しなよ。」


すると、ノイルは苦笑して寝返りをする。


「君は、いつだって無茶をする。私は、怖いよ。君は、いつだって自滅の星を辿ってる。自己犠牲、それを簡単にしてしまう。友よ、お願いだから無理はしないで。でないと、君が壊れてしまう。」


「……それは、無理かも。ある人が、言ってた。僕は…… 呪いを受けて、堕ちる運命の賢者だって。何となく、嘘を言っているようには見えなかった。」


ノイルは、少しだけ考えて目を閉じる。少しして、寝息が聞こえる。オリジンは、苦々しく呟く。


「多分、それは間違ってないよ。君は、言わば人柱だから。世界が、荒めば影響を受けてしまう。だからこそ、解放したいのに…私は、無力だ。ごめん、知らなかったんだ。精霊王の、契約の意味を。」


暫くして、オリジンは姿を消した。


「おーい、ノイル?ノイ…ノイル!ロイン!」


ファイは、驚きノイルを見て真剣になる。


「うん、分かった。」


ロインは、ノイルに近づくとホッとする。


「多分、環境に慣れてきて、溜めていた疲れが出ちゃったみたい。暫くは、休んだ方が良さそうです。一応、彼の騎士団と公爵家には報告ですね。」


「公爵家には、やめて欲しいんだけど。」


ノイルは、起き上がろうとして怒られる。


「こらこら、ちゃんと寝てろ。クノンは?」


「僕の、頼まれ事をしてる。」


すると、3人は深いため息を吐き出して言う。


「もっと、護衛をつけろ!」


「余り、無茶しないでください!」


「何故、公爵家には知られたく無いのです?」


すると、ノイルは苦笑してから言う。


「何かと、接触してきそう。それは、不味いんだ。彼が、殺される。それは、何か嫌なんだ。」


熱で、頭がボンヤリしているのか本心を溢す。


「それって、弟のカインの事ですか?」


3人は、驚きノイルを見る。


「あー、ごめん。少しだけ、疲れたから寝るね。」


ノイルは、ハッとして上着を脱ぐ。


「……取り敢えず、騎士団には報告する。それと、朝食だけど食欲は……無さそうだな。うーん、何が消化に良いものを貰ってくる。また、来るから。」


そう言うと、3人は急ぐように部屋から出た。ノイルは、やらかしたと顔を顰めて呟く。


「あー、もう。最悪、無理だよ!これは、早く動かないと不味いなぁ…。やばい、どうしよう。」


「困っている所、申し訳ないのですが。ノイル様、熱が有りますね?何故、言わないんですか!」


クノンは、真剣な表情で怒る。


「えっと、大丈夫かな?って思って。」


「ノイル様、そんなに私が信用できませんか?」


ノイルは、謝るがクノンは真剣に怒っている。すると、3人が入って来て説教を受けるノイルを見る。


「あー、朝食をもって来た。」


エウロスも、心配そうに入って来る。


「ノイル、大丈夫なの?」


「だ、大丈夫です。」


すると、4人から信用されてない視線を感じる。ノイルも、流石に自分が悪いので何も言えない。


「じゃあ、朝食を此処に置いとくな。」


ファイ達は、仕事に行ってしまった。


「それで、ノイル?」


「はい……。」


ノイルは、全力で視線を逸らす。


「君、少しだけ罰を受けようか。そうだね、一週間くらい王城から仕事に行くって言うのはどう?」


「うわぁー、無理!無理ぃ!絶対、無理!」


ゾッとして、ノイルは悲鳴じみた声を出す。


「陛下も、喜ぶと思うよ。寧ろ、ずっと王城に居ても良いって言うかも。いや、確実に言うよね。」


「えっ、遠慮します。」


国王陛下は、昔から僕を自分の息子のように優しくしてくれた。しかし、甘やかし魔なのだ。対する、ノイルは甘える事を苦手としていた。


「ん?別に、遠慮はいらないよ。歓迎するし。」


やばい、エウロス殿下が静かに激怒している。


「そうですね、私もその方が良いかと。」


クノンも、怒ったように同意する。


「大丈夫、体調が良くなってから誘うから。」


素晴らしい、笑顔でトドメを刺しに来る殿下。


「う、嘘ぉーん!うぅ……。」


ノイルは、ベッドで泣き言を言うのだった。


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