お兄ちゃんはベッドの下に隠さない

「お・に・い・ちゃ・ん…… これは何ですかねー? いやーお兄ちゃんの部屋にこんなものがあるとはねー」


 私は今、お兄ちゃんを尋問している。

 ブツはまあそういう本だ、持っていること自体はまあ健全な男子として問題ないだろう……

 しかし……しかし、だ。

「へー、お兄ちゃんこういうのが好みなんですかー」


 私の持っている本は天井裏から手に入れた物だ、お兄ちゃんも私を警戒してベッドの下などというベタな場所には隠していなかった。

 押し入れをガサ入れしなければ気付かなかったところだ。


 そして私の持っている本に載っている写真……


「いやーこの人の胸、大きいですねー……お兄ちゃんがこういった趣味があるとは……」


 そう、この本に載っている写真、全員胸が大分大きい、そういう趣旨の雑誌なのだろうが今の私には大事な問題だ。


「お兄ちゃん、多少セクシーな本をもっていることを怒ってるわけじゃないですよ、ただ女の子を胸で判断するようなお兄ちゃんの思慮の浅さが問題だといっているのです!」


 お兄ちゃんは何も言わない、それでも顔を真っ赤にしているのでさすがに恥ずかしいのだろう。


「いやーこの趣味がバレると面白そうですねー」


 なんだろう、お兄ちゃんをこうして問い詰めるのに快感を覚えている自分がいる。

 いやいや、私は攻めではないはず、お兄ちゃんが攻めで私は受けだ、そう思っていたのだが……


「へー、なになに『この夏一番のおっぱい!』ですか、なんとも胸の大きさで人を判断しそうな短絡思考の極みですね」


 ヤバイ……お兄ちゃんの性癖を責め立てるの、めっちゃ気持ちいい。

 なんだか私のいけない本性が顔を出してきている。


「いやー、お兄ちゃんがこんな性癖の持ち主だったとは……私が何を言いたいか分かりますか……?」


 ややあってお兄ちゃんは『貧乳もいいと思います』と答えてくれた。

 誘導尋問? やだなあ、まっとうな「導き」ですよ。


 そう! お兄ちゃんが巨乳の女に気を取られないようにです!

 どうせお兄ちゃんのことだから胸を押し当てられたくらいで何でもするかもしれません!

 そんなお兄ちゃんのセキュリティホールを私は修正してあげたのです! まったく! どこにも! 一片たりとも問題はありません。


 そうは言っても不安なので今日はお兄ちゃんのところへDVDプレーヤーとディスプレイを置いておきました。

 中身は私のサービスシーンです! 大盤振る舞いなのでお兄ちゃんもきっと心を入れ替えて胸が控えめな妹の魅力に目覚めてくれるでしょう!


 そう独りごちてベッドに倒れ込む私、お兄ちゃんは何をヤッてますかね? ふへへ……


 妹は幸せそうに意識をシャットダウンした。


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