第11話「殺鬼」

「ぎゃあああっ!」


 青い毛むくじゃらの巨人が振り下ろす、棍棒の鈍重な攻撃をかわすと肩口から袈裟斬りに一閃――


 続けて、俺がどれだけすばやく連続攻撃を繰り出せるかを試す。


「二閃、三閃、四閃、五閃、六閃、七閃――」


 俺は冷静に数えながら侍刀サムライソードを振るい続けた。薄暗いダンジョンに煌く白刃、肉を斬り刻む手応え。

 気が付くとブルートロールだったものは、青色の血だまりと肉片に変わっていた。


 大きな図体をして見掛け倒しだ。動きが遅すぎるし、弱すぎる。

 次だ次……。


 無駄な力を抜いて、ブラブラと侍刀サムライソードの抜き身を握り締めて、タッタッと軽快に迷宮の狭い通路を駆け抜ける。

 彷徨う刃の目の前に今度は、石のハンマーを抱えた土色の大鬼が立ちはだかる。


 巨大な角の生えた、アースオーガという人型モンスター。

 相手に不足なし。


 俺は裂帛の叫びを上げると、駆け抜ける勢いのまま白刃を煌めかせた。


「くらぇい!」

「きゃぁぁあああっ!」


 甲高い悲鳴をあげて、オーガは逃げようとする。なんだ臆病だな、不意打ちされて慌てたせいか、アースオーガは後ろを向いてしまった。

 無防備な背中を見せるとは、愚かな化物。


 袈裟斬り、返し切り、袈裟斬り、返し切り、袈裟斬り、返し切り……。


 今度は返し技の訓練。俺が上段から下段、下段から上段へと×の字に侍刀サムライソードを振るう度に、土色の体液が飛び散った。

 最初は時代劇の殺陣を真似ていたが、途中からはもう型も何もあったものではない。心の赴くまま、力任せに斬りまくって硬い肉を斬り刻み続ける。


 臆して背中を見せた敵など、まるで案山子カカシだ!

 せいぜい俺の試し斬りの的になってもらおう、連続で斬り続けて、床に倒れ伏すことすら許さない。


 最後に力の限り真一文字に振り下ろす、アースオーガの身体を真っ二つに断ち割った。

 ビシャっと、大量のアースオーガの体液をこの身に浴びる。


 俺は口元に付いた土色の体液を、ぺろりと舐めた。

 モンスターの生き血の苦い味、いまはそれすら心地良い。


「クククッ、クハハハハッ! 我・最強・也!」


 誰も見てないので、俺は大見得切って勝ち誇ってみた。本当は言うほど最強ではないことを自覚はしている、だがこれが侍剣士の力とはいえる。

 地下三階の段階で、上位職にいきなりクラスチェンジしたらそりゃ最強になる。


 身体は、まるで超重力から解き放たれた戦闘民族のように軽い。

 少なくとも一対一であれば、俺とまともに戦えるモンスターはこの階層には存在しない。


 もちろん、大部屋に突撃して四方を囲まれてタコ殴りにされてはその限りではないので、あまり勝ち誇ってもいられないのだが。

 人の形をした者を一方的に斬り刻む手応えの愉悦は、思ったよりも激しい。激情におぼれず、もっとクールに戦わないといけない。


 敵を倒すのが楽しすぎて仕方がないのも問題だな。

 俺は、快楽殺人者になるつもりはないのだが……。


「それも、またいいか」


 どうせここには、俺と倒すべき敵しか存在しない。

 ふと下を見ると、アースオーガの死体に土色のスライムが群がっている。


 迷宮の掃除屋。スカベンジャースライム。こいつらが死体を喰らうおかげで、迷宮の死体がずっとあるってことはない。

 だが俺の視界に入ったら殺す。俺がスライムに刀を突き刺すと、港に打ち捨てられたクラゲのような土色の物体がドロッと崩れてただの水溜りに変わった。


 視界に入る生き物は、全て斬って、斬って、斬りまくって殺すこと。

 これが俺の唯一の生きる道だ。


 ありがたいことに、倒すべきモンスターはいくらでもいる。

 ちょっと進めばまた新しいモンスター。


 目の前に立ちはだかる、鎌首を持ち上げた蛇のような触手生物を頭から真っ二つにしながら、俺はなんと素晴らしい世界に来たのだろうと感謝していた。


 そう感謝だ、この世界への招待が神か悪魔か、誰が成し得た技なのかは知らない。

 だが俺は、戦いの園に招かれたことに、明確なる敵を前に一太刀浴びせられる自分の腕に、ただただ感謝する。


 ここは、なんと純粋シンプルで美しい世界だろうか。

 倒すべき化物がいくらでも湧いて出て、斬り殺すために俺がいる。


 耳が痛いほどの静寂、仄暗い迷宮を俺は一人で歩き続ける。

 モンスターを斬り殺す機械マシーンと化した俺の存在は、単純シンプルだ。


 これが欲しかった。


 侍刀サムライソードを斬り下ろし、また斬り上げる。白刃が走るたびに、化物どもの肉は斬り裂け、血飛沫が飛び、骨が砕ける。

 力の限り刀を振り上げ、振り下ろす。この単純な動作は、敬虔なる祈りにも似る。


 この強度が欲しかったんだ。


 もっと殺そう、もっと屠ろう、もっと斬ってみせよう。

 化物どもの血に汚れた俺は、虐殺迷宮ジェノサイドの神に感謝の祈りを捧げる。血の供物を、肉の供物をもっと積み上げるのだ。


 ここには、俺の望むものの全てがある。

 心臓はドクドクと高鳴って破裂しそうなのに、頭は驚くほど冷め切っている。


 脳内麻薬は出っぱなしで、耳から溢れだしてきそうだ。

 そろそろ止めなきゃと思うのに、殺戮の愉悦を求める手の震えが止まらない。


 剣豪小説とかで、血に飢えるなんて大げさな表現があるが、本当リアルだった。

 生きるのが生き物の本能だというなら、殺戮することもまた生き物の本能だ。


 このままこの大いなる歓喜の渦に飲まれて、モンスターたちのカラフルな血と肉に埋もれて死んでしまっても構わない。

 限界まで戦い続けて力尽きた俺は、身体中の息を吐き切ってしまうと、ついにはその場に昏倒した。


 もう一歩も歩けないと思った俺の横には、先ほど斬り殺した巨大毒虫ワームの死体が転がっている。


「そういや、ワームって食えたな……」


 赤と緑が混じりあった、グロテスクな巨大毒虫の断面を見て、この肉が食えると思う人は居ないだろう。

 だが食える。ジェノリアの知識は嘘をつかない。


 俺は、目の前の肉片にかぶりついた。

 ジュワッと口の中に、巨大毒虫の味が広がる。本来なら虫特有の猛烈な臭みがあるはずなのに、全く気にならなかった。


「美味い」


 俺は、モンスターの生の肉汁で汚れた口元を拭って、また食べ始めた。

 美味いと思ったのは脂肪分と水分が多いからだ、すでに嗅覚などいかれてしまって味なんか本当は分かったものではない。


 今の俺には、身体を再び活動させるための水分と滋味さえあれば何でも良かった。

 ワームの肉は軟らかく食べごたえがあって、どこにでも存在する。血に飢えた俺にとってはご馳走だった。


 ワームの肉を食いまくって一息つくと。

 理性を取り戻した俺は、毒虫を食ったのだからと解毒ポーションを作った。


初級ロー レス 解除リアク」。


 フラスコに溜まった橙色の液体を一気にあおる。

 すっごい苦い。


「うげっ……。なんだか、こっちの方が毒みたいだな」


 ワームはおそらく口の周りに生えた牙に毒腺があるので、胴体の肉には毒はないのではないか。

 解毒ポーションは、もう飲まなくていいのかもしれない。


「毒虫の生肉が美味くて、解毒ポーションが不味いとはな」


 完全に味覚がイカれてしまっているのかもしれない。今の俺ならアフリカの荒野にだって住めるかもな。

 そう思うと、なんだか可笑しかった。


 すっかりジェノリアにハマってしまったってことだから、こんなに嬉しいことはない。

 もう昔の『真城ワタル』とかいう誰かの意志に引きずられて生きる、くだらない人間を演じなくて良い。


 腐れ切った外皮が綺麗に剥けて、俺は新しい俺になったと感じた。

 俺は獣だ、敵を殺して喰らうだけの生き物だ。


「さあ、もう一度!」


 ポーションでヘルスとスタミナを全快してから、俺は再び立ち上がって歩を進める。

 シュリーカーと呼ばれる、揺れるカーテンのような緑色の不定形生物が俺の目の前からやってくる。


 ビラビラのカーテンに開いている穴から毒のつぶてを飛ばしてくる。

 これも一種の毒魔法だ。


「うああああっ!」


 飛んでくる毒弾をさっと横に避けると、敵が伸ばしてくる青色の触手に向かって斬りかかった。


     ※※※


 どれほど殺し、どれほど食らっただろう。

 耐え難いほどに猛烈な眠気に襲われた俺は、またスイッチのある扉の奥にある安全地帯に転がり込んで、先ほど汲んでおいた泉の水をがぶ飲みしてから、泥のように眠った。


 門のスイッチは、知能のある生物なら開けて入ってくることもあるが、ここらへんの下等な生物なら開けられない。

 それでも警戒しなければと思いつつ、グッスリと眠ってしまったのは不覚だった。


「俺もまだまだか……」


 だが、ぐっすり寝たおかげで体力が回復して、身体がさらに硬く丈夫になっているのを感じる。

 ここまでパワーアップすれば、三階のボスに挑んでもいいかもしれない。


「このままずっと三階で無双したい気分でもあるんだけどな」


 三階は罠が少なく、モンスターが多彩で楽しいのだが、そういうわけにはいかない。

 俺の目標は効率的に強くなることなので、浅い階で止まってはいられない。


 なんだかもう死ぬのなんか、たいして怖くなくなっている。

 でも俺が死ぬともう殺せないので、安全マージンは取りつつも適度な緊張感があるところで遊びたいものだ。


 よし、覚悟は決まった。三階のボスに挑もう。


 三階のボスは、殺鬼マーダートロール

 一階、二階と罠を利用したハメ技で来たが、ここから先は真剣勝負だ。


 俺はさきほど殺しまくって出現しまくっている宝箱から使えるアイテムを選別してリュックサックに詰めながら、出来る限り敏捷性アジリティー強さストレングスを高めるポーションを作っては飲み干す。

 ドーピングを重ねて、全力でボス戦に臨むのだ。


 三階は、あれほどモンスターに溢れていたのに、ボスの部屋の周りには一匹も寄りついていない。


 マーダートロール、極めて凶暴で狡知こうちに長けるトロール族の突然変異種は、近づく生物を全て殺傷してしまうのでそう呼ばれる。

 ゲームにはそんな説明はないのだが、ジェノリアの隠れ設定を資料集で読んだことがある。


 先手必勝、木製の扉を蹴破って中に入ると、そこには俺と同じほどの長さのロングソードを構えた男が待ち構えていた。

 隙がない、これまでのブルートロールやアースオーガのような人型モンスターとはわけが違う。


 緑色の肌をした殺鬼。

 つるりとした禿頭に痩せこけた頬、赤く血走った眼には知性の光を宿している。


 体格はさほどではないのに、やや斜め上に切っ先を向けた構えは剣術を知っているもののそれで、腕、肩、胴体、太ももの要所を鋼鉄製の装備で固めたモンスターはいかにも手強そうだった。

 侍刀サムライソードで鋼は斬れない、だから鎧で守る隙間を狙って攻撃しなければならないわけだ。


「よくぞここまでキタナ、冒険者」

「喋った……」


 俺は絶句する、これまでモンスターは物言わぬ化物だった。

 狡知に長けるという設定はしっかりと理解していたはずだが、まさか話ができるなんて思っても見なかった。


「ナンダ、話せるモンスターを見るのは初めてかね。知性があれば、人間の言語を操るコトはそう難しくない」

「賢いんだな」


 向こうからは、今すぐ襲いかかってくるような凶暴な殺気は感じない。どうやら、話す気になっているらしい。

 驚きのあまり、機先を制されないように呼吸を整えながら、相手に返事して決意を固め直す。


「頭が良いダケではないぞ、俺はツヨイ。人を殺すコトは、動物に近いモンスターを殺すのとはワケが違う。実戦で冒険者ドモを斬り殺すたびに俺は学び、ツヨクなった」

「どれぐらい人を殺した」


「サア、百辺りで数えるのをヤメタ」

「たくさん殺ってるんだな」


 百人の冒険者を殺したと言うのは、ハッタリだろうと思う。

 実際に百人斬りしたわけではなくコイツにとってのたくさんが、百なのだろう。


 そうでなければ、三階のボスとしては強すぎる。

 相手のハッタリに呑まれるな、コイツは狡知に長けたモンスターだったはずだ。


「近頃は冒険者も少なく、退屈してタノで長話をしてしまった。サテ、殺ろうか」


 そうマーダートロールが口にした瞬間、ブワッと猛烈な殺気が俺に襲いかかってきた。まだ敵は動いていない。

 俺は殺気に誘われるように、斬りつけてしまった。


 ガキッと音を立てて、マーダートロールのロングソードが俺の斬撃を受け止める。

 当たり前だ、うかつに斬りこんだだけではこうなる。


 お互いにつばぜり合いを繰り広げながら、俺が浮足立ったのを理解しているかのように、緑色の顔をした鬼面の男はニヤッと笑ってみせた。

 凶暴な笑いは、攻撃の意志だ。


「うらぁぁぁっ!」


 俺は、再び裂帛の気合とともに、後ろに飛んで距離を取るともう一度、侍刀サムライソードを真っ直ぐに斬り下ろした。

 もちろん、そんな攻撃は受け止められる。


 すぐ後ろにバックステップして、もう一度斬り込む。

 今度は、横に一閃ッ!


 ガキッと音を立てて、敵は俺の斬撃を鋼の小手で受け止めた。

 やるな、だがもう一度!


「むうっ!」


 俺がまた引いて、侍刀サムライソードを叩きつけると敵はうめき声を上げて、余裕の笑みを崩した。

 確かに鋼の防具は防御に優れている。しかし、硬皮鎧のこっちのほうがスピードには優っている。


 そうだスピードとフットワーク、敵の攻撃をなしても跳ね除けててもいい。とにかく手数を多くして、斬り続けるのが侍の本来の戦い方だ。

 ヒットアンドアウェイ。俺を叩き割ろうと走る重たいロングソードの刃を、薄皮一枚のところで辛うじて避ける。


 ブンッブンッと、マーダートロールが振り回す剣が俺の身体のスレスレを通り過ぎ、空を切る。

 敵の攻撃の間合いはすでに見切った。俺はもう一度、絶叫しながら斬撃を繰り出した。


「ぐぉぉぁぁぁらぁぁ!」


 強烈な一刀を、袈裟斬りに叩きつける。

 もちろん、敵の鋼の鎧は斬撃を通さない。しかし、衝撃は殺せない。


 その威力に敵の体勢は崩れる。

 手が痺れても構わず、もう一度今度は逆側に袈裟斬り。


 敵の足が、打撃の衝撃でよろめいた。

 そこで俺は切っ先をおもいっきり喉口に突きつけた。


 そこは鋼に守られていない。喉には刃が通る。

 俺の渾身の突きは、マーダートロールの喉を深くえぐった。


「ごふっ」


 敵が苦し紛れに振ったロングソードが、俺の胴を浅く斬り裂いたが、そこまでだった。

 マーダートロールは、血を吐いた。赤黒いそれが、モンスターの体液ではなく本当の血だと俺には感じられた。


 ダラっと、マーダートロールの四肢から力が抜けて、手からロングソードがこぼれ落ちた。


「ハァハァ……」


 俺は、トドメを刺すことも忘れて、喉に刃を貫き通したままで、しばらく止まってしまった。

 それはほんの刹那だったのかもしれない、だがとても長く感じた一瞬だった。


 俺は無言で喉から侍刀サムライソードを引き抜くと、ドサッとマーダートロールの身体は地面に転げ落ちた。

 言葉を話せる、知性ある生き物を殺した感触。


 なるほどな、マーダートロールが言っていた人を殺すたびに強くなったとはこのことかもしれない。

 単に叫びまわる逃げたり攻撃したりしてくる、動物と変わらない化物を殺すのとは感覚が全然違った。


 喉を突かれた刹那、自らが殺されたことすら理解したマーダートロール。

 その濁った赤く血走った瞳から命の光が消えていく瞬間を、俺は五感でたっぷりと感じた。


 深く深く、身体から魂が抜けてしまうのではないかと思うほど強い溜息が身体を抜けていく、思わずその場に倒れそうになって、侍刀サムライソードを地に突き立てた。

 俺は、ついに殺ってしまった。


 知性のある生き物を殺した。これで何も感じなければ、俺はもはや凶暴なモンスターと何も変わらない。

 人ではないが、人と同じ言語を解する。しかも、一度は喋った相手を殺した感触が手に残る。


 殺人のショックを与えることが、もしかしたらジェノリア三階の最大の罠だったのかもしれない。


「殺す覚悟とか言うけどな」


 そんなものはなかった。死ぬか生きるかだ、必死に殺っただけだ。

 ただ、殺したあとに残る実感があった。


 ……ああ、意志ある者を、殺ったんだなと。


 他のモンスターの体液は気にならなかったのに、俺はボスの部屋に湧いている泉の水で血に汚れた侍刀サムライソードを綺麗に洗う。


 マーダートロールの死体が身につけている鋼の装備は、店では売っていない耐久性の高いものだ。重さと防御力のバランスも取れている。

 死体から剥いで見たものの、敏捷性重視の俺の戦闘スタイルだと要らないなと思う。


 一瞬、瀬木に持って行ってやろうかと思うけど、頭を振る。

 何を弱気になっているんだ。戻らない覚悟で進んでいるのだろう、たかだか三階程度で地上に逃げ帰ってどうする。


 俺は、鋼の鎧一式をボスの部屋の前に転がしておくことにした。

 俺は使わないが、誰か後から来た奴が使うかもしれない。あるいは、また地上に戻りたくなったときに拾って帰ってもいいだろう。


「さてと、宝箱だがな……」


 入っていたのは、刀と言うにはうねる蛇のような変わった刃の形をした曲刀。曲がりくねった造形なので鞘には収まらず、持ち運ぶには布でも巻いて置くしかない。

 しかし、これは立派な侍用の刀なのだ。銘は霊刀『怨刹丸おんさつまる』。


 アンデッド特化といったほうが早いか。材質は聖銀でできており、魔法力を宿したくすんだ光沢のある刃は実態のない怨霊をも斬り裂ける。

 戦士用には、ボパールの剣という同質の性能の武器があるので霊刀レイブレードが出たのは運が良かったのか、それとも職業に合わせて出るようになっているのか。


「四階は、死霊のゾーンだったな」


 アンデッド溢れる死者の国だ。救済措置として、アンデッド系を殺すのに適した武器がここで手に入るようになっている。

 あとは、四階への扉を開ける『トロールの鍵』が入っている。


「ここで、補給しとかないと」


 俺はボスの部屋を漁り、また大鼠のモモ肉を見つけ出して腹に収めると、また水をたらふく飲み干してから部屋を退出した。

 すぐそばの四階への扉に鍵を差し込むと、そこに続く階段を降りていった。

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