堕ちた勇者の千剣魔宮~その勇者は刃のダンジョンを身に纏う~(魔王に敗れ、心臓を奪われた勇者はダンジョン生成能力を得たが魔力消費を気にしてまさかの展開域0。だがそれが意外と強いようで?!)
#1 最小展開域のダンジョンマスター【1-2】
#1 最小展開域のダンジョンマスター【1-2】
「……なぁ、おい。あの目、魔人じゃないか?」
冒険者の1人が
その声に他の冒険者達が一斉に
「魔人? 魔人だって!?」
「今魔人って言ったか……!?」
「うそ、なんで魔人がいるのよ!」
「うわぁっ!」
周囲に
反射的に武器に手をかける冒険者達。
そして
その矢は
「待て!」
「やめろ!」
冒険者の数人が制止の声をあげるが間に合わない。
────
白いフードの青年は背中に差した2本の剣を抜き放ちながら
そのまま剣を
さらに続けざまに
次いで
そして白いフードの青年が着地するのとほぼ同時。
一瞬の静寂。
ひるがえった白のマントがふわりとおりる。
「待て待て待て! そう慌てるな諸君!」
キールが慌てて
「この魔人は無力化されている! この
いくぶん冷静さを取り戻した冒険者達だが、中にはキールの言葉を信用できない者が大半だった。
「さてさて、それではこの魔人が安全だという証拠をお見せしようか」
キールはそう言うと腰に差したきらびやかな剣を抜いた。
「……君、助かったよ。あとで礼をしよう」
キールは白いフードの青年に耳打ちしつつ、その背中を押して
白いフードの青年はそのままボウガン使いの冒険者に向かっていった。
「とっさの事とはいえ悪かったな。支給品からもっといいの選んでくれよ」
白いフードの青年はボウガン使いの肩をポンポンと叩くと、剣の回収を済ませてまた部屋の
「……あいつ何者だ?」
「熟練の冒険者じゃないのか?」
「でもステータスは一番低いって言われてたし、剣はどれもぼろぼろだったぞ」
何人かが白いフードの青年を
だが
冒険者の視線の先にはキールが突き立てた剣と、それに足を貫かれた魔人の姿。
キールは剣の切っ先で魔人の足の傷をぐちゃぐちゃとかき混ぜなら言う。
「ほうらこのとおり。この魔人はダンジョンを展開して抵抗はできない」
にやりと笑みを浮かべるキール。
「……ケケケ、人間ってのは残酷だなぁ。魔人と人間の違い、てやつが分からなくなるぜ」
キールの悪意に満ちた笑顔を見て、フードの中からささやいた。
「……同感だな」
それに白いフードの青年が同意する。
キールは剣の切っ先を抜くと、
「おおっと、諸君、慌てないでくれたまえよ。この
キールは冒険者達に念を押すと、
「さぁ、出るんだ」
キールの言葉を受け、魔人は狭い
出てきたのはボサボサの白いざんばら髪の少女。
乱雑に切られた髪は不揃いで、前髪の隙間から赤く発光した瞳が覗いていた。
首にはきつく締まった首輪がされており、首輪からは
先ほど受けた傷もあってその姿は痛々しいものだったが、冒険者の目には
あるのは敵意や
「
キールがそう言って意地悪く笑うと、周りの冒険者からもクスクスと笑い声が漏れた。
キールは魔人の少女の腕を乱暴に引いて前に立たせると、説明を始める。
「これの展開する魔宮はあらゆる魔人の中において最小。ゆえに他の魔人と戦う際に、
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