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その日は一時間目から体育だった。

僕は学校を休むという旨の電話を担任に入れ、制服に着替えた。彼女が体育の授業に出ている間に家の鍵を盗み出した僕は、彼女の家の合鍵を作った。その盗み出した鍵はさりげなく彼女の自転車のかごに入れ、僕は急いで学校を後にした。


普通なら罪の意識に囚われているところだろうが、僕はもう狂っていた。

僕の頭にはもう、彼女のこと以外は何もなかったのだ。


翌日、僕は綿密な計画を立てるため、そして自分の欲望のため、彼女の家の扉を開けた。

玄関は質素にまとめられていた。変えのローファーの他には、おしゃれなサンダルと使い慣れているようなスニーカーがあった。女子高生の一人暮らしには、この家はむしろ大きすぎるくらいだ。あまり贅沢はできないのだろう。


家の中を舐めるように見る。

小さな炬燵机、綺麗なキッチン、積まれた旅行雑誌。彼女の部屋はいつも整頓されていて、見る人が見たら誰も住んでいないと勘違いしそうなくらい家具が少ない。

いつも窓の外から見ている風景が、実際にはこうなのかと、感動はあまりしなかったが妙に感慨深かった。

あのぬいぐるみの位置を確認する。大丈夫、この日のために裁縫をずっと練習してきた。スマホのライトで中から縫い合わせることはもう可能である。

今日はまだ下見だが、次に来た時はお前の背中を切り裂いて、お前に僕が成り代わってやるから、楽しみにしているといい。


家の中を一通り見終わったあと、僕はついにリュックの中に忍ばせていた盗聴器と小型監視カメラに手を伸ばした。

今日は下見なので一つずつしか持ってきていないが、果てには十個位は取り付けたいと思っている。

監視カメラを壁にかかった時計に取り付け、盗聴器をコンセントの中に忍ばせる。

さて、決行は明日だ。

今日は帰って、彼女の声を聞きながら綿密な計画をたてよう。

そう思い、ドアに手をかけた時だった。


「あら、いたの。」


はっと後ろを振り返る。

そこには、僕が愛してやまない、スラリとした体型の彼女がいた。

今日は平日だ。彼女がここにいるはずがない。なぜなら彼女は今この時間、いつもと同じように授業を受けているはずだからだ。

じゃあ、一体なぜ?


「ちょっと予定が狂っちゃったかな。家に入ってきたからもう終わったものかと思っちゃったよ、杉田君。」


彼女がいつも通りの笑顔でニコリと笑う。

その目を見た瞬間、僕は何故か、本能的に、僕の命がここで終わることを悟った。


「残念。梱包する手間が省けると思ったのに」


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