第53話 アルフェリズこそこそ噂話(設定資料

 本編とは関係ないわけではないですが読まなくても問題ない、作中で語れなかった設定です。

 設定マニアなので書くたびに色々と考えています。突込み歓迎。

 こういうのも知りたいというのがあれば、書いてくれれば加筆します(考えている範囲で


 あと一話、近日中に追加します。8割がた書けています。



・アルフェリズ

 本作の舞台であるこの町のモデルはポルトガルの首都リスボンです。

 坂が多くトラムが走っているカラフルな街です。こんな感じです(去年取材してきました。


https://twitter.com/snowflowerpalac/status/1290238124132405248


 画像が貼れないのでお手数ですがこちらに見に来てください。


 他の町の名前や一部キャラの名前もポルトガル語由来です。


 アルフェリズは海や川に近い水運の要衝ですが、魔獣が多く出る場所でもあり冒険者が多く集う街でもあります。

 近隣の村や町とは路面汽車や馬車で接続されて衛星都市群を形成しています。



恩恵タレント

 10歳ころに発現する特殊な才能です。保有者は30人に一人程の割合です。

 武器の扱い、魔法の使用などの戦闘的なものから、治癒術、隠密などの能力まで幅広い種類があり、冒険者ギルドで測定できます。


 冒険者の世界は実力主義で、一介の冒険者から騎士や貴族に成り上がったり、魔獣討伐で英雄になったりする話は決して珍しくありません。

 このため、恩恵タレントを持つものは憧れの対象になり、10歳になったら多くの子供が恩恵を測定に冒険者ギルドを訪れます。


 一方で恩恵タレントを持つもの、特に戦闘の才能を持つ者は、神から戦う使命を与えられたものとして冒険者として魔獣と戦うことが求められます。

 性格が戦闘向きでない者もいるため、そういう者は恩恵タレントの存在を隠すケースもあります。


・魔法使い

 テレーザのような魔法の恩恵を持つ者が使う魔法は、マナと呼ばれる物質に呪文により干渉し様々な超常現象を生み出すものです。

 これは練成術とは違う系列です。


 魔法使いの魔法は自然現象の様に見えても実際は異なります。

 バフォメットの炎やヴェパルの靄をライエルが風で止められなかったのは、あれらが自然現象ではないからです(まったく効果がないわけではありませんが)


 魔法の素質は運動神経の様に個人差があり、テレーザの様に魔力の収束に時間がかかる代わりに天井知らずに強力な威力の術を使えるものもいますし、逆に魔力の収束は早い代わりにどう頑張っても威力は頭打ちになる者もいます。

 支援魔法に適性があるものもいれば攻撃魔法に適性があるものもいます。


 この素質の差はかなり絶対的なもので、テレーザは一時期威力を抑えても詠唱を速くしようと訓練していますが、殆ど成果が上がらず断念しています。

 この例えがいいか分かりませんが、イ〇ローは〇井になれないし、松〇が〇チローのなれないようなものです。


 魔法使いは射程距離や支援能力、魔法の火力など様々な優位性を持っていますが、一方で魔力の収束のために詠唱や結印などの間が必ず必要となります。

 


・練成術師

 練成術師は、触媒を介して地水火風天の5系統のいずれかの自然現象を練成する恩恵を持つものです。

 ちなみに、天系統は光や闇に関する系統です。


 簡単な所では風を吹かせる、火を燃やすなどの単なる自然現象の操作ですが、触媒を介した上位の術になると、ある程度マナに干渉するため魔法に近い性質となり、作中で出てきたように雷撃や浄化の風を使ったりもできます。

 どの程度上位の術を使えるようになるかは恩恵の強さに寄ります。


 魔法使いに比べると、個人単位で様々な術を使えるため汎用性は高く、触媒を介して魔法を使うため消耗が少ないという強みがあります。

 一方で汎用性の高さは使い手にある程度の熟練を要求します。また火力では魔法使いや前衛に及ばないため中途半端なポジションとも言えます。


 触媒の性能で能力が影響を受けるため、ある程度いい得物を持たないといけないという点も地味に制約となっています。

 ちなみに触媒は安いものでも5000クラウン(50万円ほど)です。

 ライエルは剣を使っていましたが、必ずしも武器であるわけではなく様々な形態があります。



・前衛

 剣の加護、などともいわれる武器を使うための恩恵タレントを持つ者たちです。

 身体能力の強化がされること、剣の加護に対応した特殊な武器を使うことができます。


 前衛用に作られた武器は作中で少し出てきた魔法の装備に性質が近く、軽量化、火炎等の追加効果、単純な切れ味強化などの特性を付与されています


 剣の加護は一番所有者が多い恩恵です。

 武器を使って戦うという性質上、間合いは短めであり威力も魔法には及ばないため、かつては魔法使いの壁役でした。


 20年ほど前にアレクト―ル学園の魔法理論ロゴスの学者が、一番数が多い恩恵の持ち主をより生かすべき、と考えて、前衛の武装強化に着手。

 その結果前衛の武装の性能が飛躍的に上がり、壁役として魔法使いを守るポジションからパーティの主戦力に前衛を引き上げました。

 前衛の戦力の充実とともに魔獣狩りの効率も向上したため、ライエルやテレーザにとっては不利に働いたものの、大規模な視点から見るとよい変化であったと言えます。


 前衛の攻撃は距離は基本的に武器の間合いのみですが、日々改良が進む武器による一定の破壊力と魔力を消耗しないため経戦能力の高さを併せもっています。

 一方で、物理攻撃なのでバフォメット等の物理攻撃に耐性のある魔族には歯が立たないという欠点も持っています。


 また、最前線に立つため武装が強化されたものの犠牲者が多いポジションでもあります。

 ロイドが報酬にこだわり守備的に戦うライエルを非難したのもこういう背景があったりします。



・冒険者ギルド

 恩恵タレントをもち魔獣と戦う冒険者を支援する組織です。

 民間の独立した組織ですが、半分国営に近い存在です。


 依頼の仲介、冒険者のランク付けや依頼と危険の査定、新人冒険者の育成やパーティの仲間の紹介、治癒術等による回復支援をはじめとして、出先での宿の手配や、武装購入のための資金援助、原始的な保険の取り扱いまで様々な業務を行っています。


 主な収入は魔獣を討伐したときに魔獣が残すライフコアと呼ばれる魔力の結晶の売買で、冒険者からそれを受け取り独占的に売買しています。

 ライフコアは砕いてトラムの燃料にされたりランプの明かりにされたりします。


 このように優遇的な地位を与えられているのは、2つの理由があります。

 一つは、地方の村など経済的に豊かでない場所が冒険者への依頼料が払えず魔獣討伐ができず被害が生じたことがあったこと。

 もう一つは、経済的に苦境に陥いった冒険者による大規模な暴動が起きたことが有ったためです。

 このため、ライフコアの流通を独占させ代わりに依頼料を安定させて魔獣討伐を進め、冒険者にも一定の経済的な安定を与えることにより、暴動などの再発生を抑止したという経緯があります。



・詠唱について 


 テレーザの魔法は、書庫の本を探してその文を読みあげるというイメージで発動しています。

 【書架は南東・理性の七列・五十二頁21節。私は口述する】

 この詠唱の理性は17世紀の欧州の書架の分類の一つで、理性(哲学)、記憶(歴史)、創造(創作)の三分類から頂きました。

 なので記憶の8列とか詠唱している場合もあります。


 これまたどうでもいい話ですが、ヴェパルやバフォメットの詠唱の文字はジョージア語の文字です。

 英語で書いた文を返還したので、グーグル先生あたりに聞けば意味が分かります。

 お暇な方は試してみてください。



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