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それなのに……。
なんでだろう……。
和に対する想いは熱がさめるどころか、俺の想いは日増しに倍増していく。
和は学園一のがり勉。
二年生の二学期、一旦落ちた学年一位の座も、三学期には見事取り戻した強者だ。
外見は花のJKとはほど遠く、センスは少女というよりもおばさんっぽい。
美少女好きの俺のタイプじゃないけど、一度大変身を果たした和の激カワが、目に焼きついて記憶から離れない。
磨けば光るダイヤの原石かもしれないのに、和が磨くのは容姿ではなく頭脳だ。
せっかく女子に生まれたのに、美に興味がないなんて不思議でしょうがない。俺は男だが、毎朝髪のセットに二十分は費やす。
和はその時間すら惜しんで勉強してるんだから。
本当ならば、『友達』から『彼女』に恋のステップアップの大チャンスなのに、この俺が和とキスをしたのは、あの日の放課後に交わした一度きりだ。
しかもアレはノーカウントで、いまでは幻のキス、和の記憶からは抹消された忌まわしい黒歴史。
汚名を払拭したくて頑張ってはみたが、一年二ヶ月も経つのにまったく進歩はない。
ありえねぇよな?
なぜ? 夏休みなのに進歩がないのかって?
和は午前中は学校の強化ゼミにせっせと通い、午後は塾の夏季講習に通う。
即ち、友達と遊ぶ時間なんてないと断言する。ていうか俺、相手にされてないのかな?
超モテモテでイケメンの俺を放置するとは何事だ。
相手にしてくれないと、浮気してもしらないからな。……って、思いつつ、北条の一件で誤解され、和との友達関係が壊れかけた過去を深く反省し、他の女子と普通に遊ぶことすらできない俺。
アホだよな。
でも、そろそろ限界だよ。
自爆ではなく、恋のカウントダウンだ。
今朝の夢を正夢にしてやる。
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