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完全に自信喪失だ。
でも、俺、そんなに悪いことした?
ただ、和のことが好きで……。
友達でもいいから、和の傍にいたいだけなのに……。
どうすれば和はわかってくれるのかな。
和が俺の手を擦り抜けて走り去る。
黙って行くなんて、まだビンタされた方がマシだ。
これって……。
もしかして?
俺……『友達』認定すら取り消されたのかな?
この俺が、女子に嫌われて木っ端微塵に振られた?
そんなあああ……。
トボトボと歩いていると、ばったり北条に会った。
「光月君、一人なの?」
「ああ、一人だよ」
「だったら、一緒に帰っていい?」
「いいけど……」
「いいの? 嬉しい!」
和に『大嫌い』って言われた俺は、かなりへこんでいる。
正直、もうどーでもよかった。
北条がギュッて腕にしがみつき、俺の隣でペラペラ喋っている。北条の話なんて聞いていないくせに、「ああ」とか「うん」とか、適当に相槌を打つ。
俺の気持ちは、遠くに行ってしまった和を追い続けているのに。傍にいるのは北条だ。
「ねぇ、光月君聞いてる?」
「あーーなんだっけ。ごめん、北条やっぱり俺一人で帰るよ」
「どうして? そんなに私のことが嫌い?」
それ、俺が和に聞いたセリフと同じだよ。人に『嫌い』と言われたら、魂が抜けるくらい傷付くんだよな。
「いや……。嫌いじゃないよ。ただ……」
「ただ……?」
恋愛感情はない。
俺が好きなのは、和だけだから。
「俺は北条とは付き合えない。俺は林のことが好きだから」
「……光月君が林さんのことを? あんなガリ勉のどこがいいの? 勉強しか興味がないのよ」
「どこがいいんだろう? 俺もよくわからないんだ。でも俺はガリ勉でもアイツが好きだよ。だから北条とは付き合えない」
「そう。私の誘いを断るなんて、光月君が初めてよ。私よりも林さんを選ぶなんて、光月君の美的感覚を疑うわ。あなたをきっと振り向かせてみせる。さようなら」
北条がプイッとそっぽを向いた。
後悔なら、今してる。
嫌がる和に無理矢理迫って、困らせて嫌われたんだから。
あんなことをするなんて、大バカ者だ。
北条は俺から離れた。
離れたと同時に、数名の男子が北条に駆け寄りすぐに囲まれた。
北条は美人だし人気者だし、俺と付き合わなくても取り巻きはたくさんいる。
和は……。
またひとりぼっちだ……。
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