世界を抱く少女
北のアブストラクト
第1話 世界の中心
世界。
世界は最近壊れ始めたらしい。
風を立て吹きゆく嵐も
音を立て崩れ行く氷も
怒号が飛び交う政府も
大きな音を立て飛び交う銃弾も
声を上げ生まれた子供も
声を上げ泣き崩れる少女も
全て世界の中で起きたこと
市民革命?
こんな時代から世界は物騒なのか
やばい。時間がない。とりあえず適当にマークするか。
くっそ。
チャイムってこんな音でかかったっけ
まあ
どうでもいいや。どうせいい結果なんて待ってちゃいない。
漫画でも買って帰るか。
ったく
うるせーな。
玄関で答え合わせすんじゃねえよ。
やっと終わったのに。気分悪い。
まあ、でも
社会の一問目はあってそうか
はあ
寒い
マフラー持ってくりゃ良かった。
寒い
急ぐか
やっと見えてきた。地味に遠いのなんなんだよ。
はあ
やっぱあったけえな
何買おう。
先週、高橋から借りた漫画面白かったな。名前なんだっけ。
あー
思い出せない。
思い出せない
思い出せない
簡単に忘れるな。いろんなものは。
じゃあ
これでいいや。
っていうか
いつも思うけど
こんな本読みたい奴いるのかよ
嫌われる勇気
嫌われるの嫌だろ
かっこつけんな。
はあ
帰るか
やっぱ寒いな
ん?
うわ。
雪じゃん
今降るんじゃねえよ
早く帰ろ
しょうがない
汚ねえけどここ通るか。
狭すぎんだよなこの道
泥くせえし
でも焼き肉の換気扇があるおかげで超いい匂いだけど
腹減るわ
はあ
ん?
なんだ
なんか当たったな
硬かった…?
何だろ
え?
誰
誰
誰
こわ
こわ
びっくりした
女の子…?
一応謝ったほうがいいか…
す…す…すいません…
…いや。何も言わねえのかよ…
なんだこの子
俺より年下くらいか…
顔は…まあ…ありだな…
何やってんだこんなとこで
「あの。」
は…?なんだよ急に…
「世界の中心って知ってますか」
なに
怖えよ
なに聞いてんだよ
いや…知らないです…
「世界の中心なんです。私。」
はぁ…?
何言ってんだ。こいつ。
世界の中心?
あ…なるほど…
返し方がわかんねえよ…
しっかし。寒そうだな。
それもそうか。見た感じセーラー服一枚だもんな。
あの…家とかは…?
何も言わないのかよ…
家がないのか…
あの…ここにいて大丈夫ですか…あの…寒…寒い…とか…ありません…か
「大丈夫です」
そうですか…それはよかった…
良かったじゃねえな。どう返したらいいんだ。
あったかいコーヒーとかあったっけな。
ちょっと待ってください…。
自販機どこだ
コーヒー渡したらすぐ帰ろう。
なんか怖いし
あ。あった。
120円かよ。
よし。
あの。これ良ければ…
「ありがとうございます」
じゃ…じゃあ…僕はこれで…
早く逃げよう。
やっぱいつも通りの道で帰ろう
何だ。あの子。
世界の中心?
そんなのあるわけないだろ
世界を抱く少女 北のアブストラクト @Fjtsnsk96
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