婚約破棄しても宜しいでしょうか?婚約破棄してもいいですよね?どうしてしたらダメなのでしょうか

一ノ瀬 彩音

第1話 壱

朝比奈千鶴28歳と黒川裕司28歳は喫茶店の中で

真剣なお話をしているのです。


千鶴と裕司の前にはブラックコーヒーがありまして、

どちらも飲みかけで飲みきっていないのです。


真剣なお話し合いをしているのでブラックコーヒーを

飲んでいる場合じゃないのでしょう。


「裕司、婚約を破棄しても宜しいでしょうか?」


「ダメだ」


「どうしてダメなのでしょうか?」


「それは言えない」


「婚約を破棄してもいいですよね?」


「だからダメだって」


「どうしてダメなのかも教えてくれないじゃないの」


「その理由は言えない」


「でしたら婚約を破棄しても宜しいですよね?」


「ダメだ、許さない」


「では理由をお話下さい」


「出来ない、ごめん」


「理由も言えないのに婚約を破棄されるのを拒絶

されても私が困ります」


「言えないものは言えない」


千鶴は溜息をつきながら、呆れているのです。


心の中で千鶴はどうして裕司はダメというのかもわからないし、

ダメな理由もお話してくれないのではどうしようもありません。


本当にどうなっているのでしょう。


ここはもう一度改めて言うしかありません。


「裕司、ごめんなさい、婚約を破棄させてもらいますね」


「だからさ、ダメだって」


「いい加減にして下さいっ!!」


「ダメな理由も言わないでっ!!」


「ハッキリとダメな理由を言えばいいじゃないの」


「こわっ、千鶴って怒ると怖いな」


「裕司が怒らせるのがいけないのです」


私が怒ったせいで他のお客様が何事って感じで

こちらを見てくるのですけど、恥ずかしくて私は

俯いているのです。


こうなったのも裕司のせいです。


本当にどうしてくれるのよって感じです。


「本当にすまない、俺のせいで………………」


「そうですね」


「そのさ、千鶴の事がまだ大好きで別れたくない」


「そう言われましても裕司は私に酷い事をしたよね」


「そうだな」


「ごめんなさい、婚約を破棄するしかないの」


「そっか、そうだよな」


裕司は私に酷い事をしてきたのです。


酷い事とは裕司とお話している時に、感情的になると

裕司が私の頬を平手打ちしてきたのです。


その時に私はぜんぜん悪くないのにそういう事をされたのです。


「本当にごめんなさい」


「いやっ、気にするな、女性というのはデリケートだしな」


「わかっているのならどうして………………」


「俺さ、感情的になると頭に血が上りやすくてさ、本当にごめん」


「次にお付き合いする女性には酷い事をしてはなりませんよ」


「わかってるさ」


「では、さようなら」


「じゃあな」


2人とも腰を上げて席から立ち上がるとそのまま

それぞれが会計を済ませて喫茶店から出ると

2人の恋愛は終わりを告げるのです。


千鶴はしっかりとお話して婚約を破棄出来たので

問題はないでしょう。


千鶴も次の恋愛に向けて女子力を磨き続けるのでした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

婚約破棄しても宜しいでしょうか?婚約破棄してもいいですよね?どうしてしたらダメなのでしょうか 一ノ瀬 彩音 @takutaku2019

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ