第45話 徹カラの後は銭湯で戦闘だよね。ナニのための戦いか。

 「カオスだな。」


 目覚めた最初のセリフがそれだった。

 左肩にはもたれ掛って眠っている友紀さん、それは良い。

 少し顔を左右に動かし見やると…

 そんな友紀さんの膝枕で寝ている真理恵さん。

 なぜか俺の右肩に寄り添って寝ている五木さん。

 どういう事だ?

 向かいの席ではまた注文していたのか、ハニトーをあ~んしあう白米さんとみゅいみゅいさんの姿が…


 「カオスだ…」


 大事な事どころか驚愕な事なので2度言いました。


 「あ、そっちの4人の爛れた写真は収めてありますので今度送りますね。」

 とは白米さんの言。


 まぁ18禁的な事がないだけマシだよと自分にツッコんだ。


 時計を見ると4時半。着替える時間含めるとギリである。

 

 それから五木さんを起こし、BLを回避し。

 友紀さんを起こし、膝枕している真理恵さんを起こしてもらう。


 男性と女性に分かれてさっさと着替え、5時寸前で部屋を出られる状態となる。

 

 「あなたたちはそのままなんですね。」


 普段着ですしと返されると仕方がないが。

 みゅいみゅいさんはロリですよ。ロリータですよ。

 この人ツイてるんですよ。ってそれは偏見か。


 白米さんは燕尾服ですよ。ってこれもまぁ偏見になってしまうか。


 「レイヤーは大抵どこかに闇と欲望を抱えてるものです。」

 友紀さんにそう言われてしまうともう何も言えない。


 


 徹夜だったため、このまま運転して帰るのも危険なため、大江戸温泉に…ってわざわざお台場行くのかよ。


 となるので、池之端にある黒湯に行くことに。

 上野公園の脇を行くと森鴎外の水月ホテルがあり、そこをもう少し進んで左に曲がると右側にあります。


 車は京成上野駅手前の地下にぶっこんでおります。

 あの上野のやらしい劇場はまだ健在です。リアルBL的な映画館ね。(現在はないはず。)

 もちろんロリータなみゅいみゅいさんが男湯に入るのは、脱ぐまで男だと信じて貰える可能性が低いので中性な服に着替えて貰いました。

 

 

 「不公平ですよね。」

 五木さんが言ってきたのはもちろん下半身の話。


 なんとこの4人の男性陣で一番大きいのは性別を超越したみゅいみゅいさんなのだ。

 

 「いえ、3人は普通だと思いますよ。約一名が異質なのです。」

 白米さんはしんみり言ってきた。

 3人共俗に言う日本人標準サイズよりは大きい。

 

 「でも本人は大きいの気にしてるんで、あまり突っ込まないでくれると助かります。」

 突っ込まないでの辺りに何か日本語的違和感を感じるが、それこそツッコミしてはいけないのだろう。

 後ろ姿だけだとくびれこそないものの美少女だしな。とはいえ身体は細い。


 「銭湯とはいえ、大衆の前ではみんな堂々と出してますね。」

 

 「そこは隠す方がおかしいんですよ。温泉地のホテルで隠してる人あまりいないでしょ?」

 確かに…隠す方が気にし過ぎなのかもしれない、大小別にして。

 朝はお爺さん率が高いな、というかお爺さん達も立派だな。

 ナニがとはもう言わない。

 

 

☆☆☆


 「あーさっぱりしたー」

 頭と身体を洗いすっきりする。

 メイクでと徹夜で肌を虐めていたしな。

 いかにスキンケアをしていても、日常からしているわけではないので、そこはやはり肌にとってみればストレスである。


 「ふいいいぃぃぃ。」

 おっさんくさい入り方しないっ

 

 「やっぱり友情は裸の付き合いをしてこそだよなぁ。」


 最近このメンバーだと敬語が抜けつつある。それだけ仲が良いのと、信頼を置けているというのがあるかもしれない。


 「女湯に声が届かない範囲で聞きたいのですが、告白はどちらから?」

 白米さんが真面目なトーンで聞いてくる。


 そう言われてみるとお互いに気を許していた感もあるので、学生が屋上や体育館裏でやるような告白シーンがあったわけではない。

 強いて言えばバレンタインの時のが友紀さんからの最初の告白だったように思える。


 「…友紀さんからバレンタインの時に。返事は後で良いと言われて……ホワイトデーの時に好きだと。」


 「うーん、やはりまこPさんはヘタレでしたか。」

 なんでそうなる…と言い返すことは出来なかった。まったくもってその通り、トラウマを盾に自分から行くことは決してなかった。

 バレンタインの事がなければきっとホワイトデーで好きだという事もなかったと思う。


 「せめてプロポーズはまこPさんからしてあげないとねー」

 みゅいみゅいさんにさらっと言われたが、それは気が早くはないかな?

 ちなみにみゅいみゅいさんは顔には、スキンケア用のパックみたいのが貼られている。

 ちょっと怖い。オバQか。


 「ウチは告白もプロポーズも僕からでしたけどね。一応先輩と男の両方のプライドもあったかも知れないけど。」

 五木さんかっけー。あの性格だから真理恵さんが突進したものかと思ってたけど。


 「今まで言う機会はなかったけど、彼女が演劇部の仮入部に来た時に一目惚れしたんですよ。その結果の暴走がタイタニックごっこでの胸鷲掴みですけどね。」

 鷲掴みの件は聞いた気がするけど、一目惚れは確かに初耳だ。

 

 「嫁に言わせると、あれで火が付いた。気付いたら惹かれてた、あれは運命だった。と、言われましてね。」

 友達兼先輩後輩兼夫婦って感じがする2人だしね。若干五木さんが尻に敷かれてる感じはするけど。


 「まこPさんはいつプロポーズするんです?」


 そういえば俺の告白が微妙にプロポーズ染みていた気はするんだが。

 思い出してみよう。あの時の自分が友紀さんに言った言葉を…

 

 「これから支えになりたい、良い想い出で上書きする、好きだ、愛してる。結婚を前提に付き合ってほしい。」

 「「「お~~~~」」」

 3人が歓喜の声を挙げる。ちょ、女湯に聞こえるって。 


 「それ既に言っちゃってるじゃないですか。」

 確かに結婚前提と言ってるよね。


 「プロポーズとまでは言わないかもしれないけど、ほとんど一緒だよねー。」

 にししっと笑いながら言わないで貰えます?思い出して考えると同じにしか聞こえないし。


 「それでOKされたから付き合いが始まったわけですよね。嫁がネタにしてきそうだなー。」

 あなたの嫁さんは何でもネタにしますけどね。



 男性陣は気付いていない。お爺さん達が静かな事に。

 お爺さん達が静かという事は、男風呂の声はこの4人しか発していない事に。

 そして意外と銭湯の声は漏れるという事に。


  

――――――――――――――――――――――――――


 コスカラからの旅はまだ続いてました。


 普通に考えてコスカラで着替えを何度もしてって衣装多いですよね。

 電車で行くのは困難です、つまり車です。

 徹夜でろくに休んでもないのに車の運転は色々良くないです。

 秋葉原から1時間~2時間以内とはいえ、危険です。

 そのためさっぱりするならどこか、そうだ銭湯行こう!

 

 ちなみに池之端の黒湯は地元の人に愛されてます。

 それこそ最後に行ったのは2010年くらいじゃないでしょうかね。

 

 さて、ここまでで多分想定してるでしょうけど、次は女湯編です。

 百合プレイはないのであしからず。  

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