第2章 MAXコーヒーが繋いだ輝石

第44話 左手には花束、右手には約束を、走り出した妄想はもう止まらない。そんなコス(徹)カラが始まる。

 「お揃いね私達 これでお揃いねあぁ幸せ あなたの白い衣装シャツも今は…」


 「なぜ…なぜなの…なぜなのよぉーーーーーーー」

 ぱぁーーん(銃声)

 

 「酸素に触れた赤はやがて黒に近付き示す 2人はもう永遠とわに一つにはなれないという事実を」

 

 「凍てついた銀瑠璃の星々 燃え上がる滅びの煌めきよ 無くした楽園の夢を見る 私を導け 星屑の幻灯The Light of StarDust



 はい。ぼくたちわたしたちはカラオケパ○ラでコスカラをしております。


 ハニトーで有名な店ですね。主に上野と秋葉原にあります。


 大部屋含めて数部屋借り切っての暴挙…もといコスカラです。


 主催?そんなの一人しかいないでしょう。


 今俺と一緒にお揃いの白い衣装シャツを着ていた女ですよ。


 俺は銃で撃たれましたよ。なぜなのよーってスタダ子に。


 スタダ子演じる友紀さんに。友紀さんがあらまりに声似せてるよ。流石元演劇部。


 ちなみに着替え用の部屋を男性女性で一部屋ずつ用意してある。


 暴挙といったのはその辺も含めてだ。


 一体いくらかかったんでしょうね。


 俺と友紀さんが正式に恋人として付き合うと報告を入れたら、何かお祝いしなくちゃって感じで真理恵さんが企画し、今日はその本番というわけである。


 本日13時から数部屋貸し切ってます。主賓である二人はお金はいいからと、その代わりらぶらぶいちゃいちゃっぷりを披露してちょうだいという事だ。


 一体人の前で何を求めているのやら。


 朝5時まで借り切ってます。本当にいくらかかってるのやら。


 注:31歳くらいの頃サンホラライブ後に二人で徹カラした時、朝は死人でした。


 「あ、じゃぁ着替えてきます。」


 俺と友紀さんと真理恵さんは着替えにそれぞれ男性更衣室・女性更衣室へ向かう。


 その間に他の人が歌う。


 曖昧3センチ そりゃぷにってコトかい? ちょっ!

 らっぴんぐが制服…だぁぁ不利ってこたない ぷ。

 がんばっちゃ やっちゃっちゃ

そんときゃーっち&Release ぎョッ

 汗(Fuu)々(Fuu)の谷間に Darlin’ darlin’ F R E E Z E!!



 みゅいみゅいさんと白米さんがこなたとかがみになってヤってます。


 

 移動したためにフリまでは見れないけど、まぁ完コピだろうな。

 ○9も完璧だったし。

 えーりん♪えーりん♪も完璧だったし。

 あの二人の魂を見たよ。

 これ絶対普通に楽しんでるだけだよ。

 

 というかいいのだろうか。

 コスカラとはいえ、両手に華状態ですよ。

 五木さんは嫁貸し出して平気なの?


 あ、演劇時代に慣れてるしそれはそれと割り切ってるから平気ですかそうですか。 

 演じてる時は別物とは言うのかもしれないけれど。

 逆の立場だと複雑。


 それはそれで、別の発見が出来たり、良い写真撮れるから良いって?

 まぁ人それぞれですかね。


 というかね。13時入りして既に22時なわけですよ。

 テンションおかしいのですよ。


 酒は色々と問題起こすかもしれないので、ノーアルコールでやっているのに。

 深夜のテンションには早いし……

 これが雰囲酔いというやつだろうか。



 「Hiverまこたんきたー」

 「薫の姫君まりえたんきたー」

 「紫陽花の姫君ゆきたんきたー」


 この有様である。

 こんな自分が陛下のコスをするんだなんて。

 ちゃんとほっぺにタトゥシールも貼ってます。


 たんとかいう年齢じゃないだろ全員。あ、これ言葉に出すとボコられるやつだ。


 「――♪」

 曲が鳴り始めると全員顔つきが変わる。

 元演劇部はそのかつての癖と役に対するプライドから、みゅいみゅいさん達は完コピ目指すプライドから。

 

 「生まれて来る朝と 死んで行く夜の物語Roman…」 「Laurant」

 「「「嗚呼…僕達のこの寂0302さは 良く似た色を0302宝石Pierre」」」



 ちなみに大塚さんと若本さんのセリフは五木さんが担当している。

 結構似てるし、さらには姫君の双子ダンスもKAORIさんとYUUKIさんそっくりだ。

 あれ?意外と陛下ボイス楽しいな。

 持ち込みでヘッドセットマイクもあるし、フライングⅤも持ち込んでる。

 ライブバージョンですよ。エアギターですがね。


 「右腕には菫の姫君…(C'est mademoiselle マドモアゼルviolette, ヴィオレット qu'il est dans キエレ ダン le bras droit...)ルブア ドロワ

 「そ0302(し)て…(Et...)

 「左腕には紫陽花の姫君…( C'est mademoiselle マドモアゼルhortense, オルタンス qu'il est dans キエレ ダンle bras gauche...)ルブア ゴーシュ


 「嗚呼…僕の代わりに廻っておくれ…其の世界には──」

 「僕が生まれてくるに至る物語Romanはあるのだろうか?」



 「さぁ、行っておいで」

 「「はい、御主人様(Oui, monsieur)ウィ むしゅー」」


 注:うぃむしゅーの下りはライブで陛下が教えてくれました。畏まりましたご主人様と。 


 「我等は彷徨える 追憶に揺れる風車Moulin a vent」」

 「廻り行く何の地平にも 詩を灯すで0302ょう……」



 「此れは──」

 「生まれて来る前に 死んで行く僕の物語Roman… 「「Laurant」」

 「嗚呼…僕達はもう逢えなくても 現在を生きて行く憧憬Roman

  「──詠い(「探0302」)続けよう → 君が迷わぬように……」



 『朝と夜』の狭間… 『焔』は揺らめき…

 『宝石』を掴む… 『腕』を伸ば0302

 『風車』が廻れば… 『星屑』は煌めき…

 『天使』が別れ0302… 『美0302き』幻想を…

 『葡萄酒』の陶酔ゆめに… 『賢者』も忌避する…

 『伝言』の真意… 『地平線』は識る…



 右手の死を 左手の生を

 傾かざる冬の天秤


 「Roman...」

 

 あ、最後の五木さんかっけー

 じまんぐパートは自分でやってるけどね。


 右手に真理恵たん、左手に友紀たん

 傾かざる冬の天秤…なんて…

 これ、コスカラの配役じゃないとぶち殺される話だよな。


 何今まで童貞拗らせて女子苦手とか言ってたくせにこの有様ってやつですよ。

 元々2人ともトラウマ発動しなかった例外ではあったけどね。

 友紀さんに至っては彼女になったわけだし…

 あ、これ浮気でもなければ二股でもないので。誤解なさらないでください。

 誰に言い訳してるんだって話だけど。

 

 コスカラの曲別にやってたら時間ないので巻きで。


 と、こんな感じで結構絡み多い系の曲でここまできてるわけですよ。

 

 なんで説明口調で丁寧語になってるかというと、心の中で色々と言い訳みたいな事が頭を過ぎった時にこうなりません?

 俺はなる。


 友紀さんの絡みもこれまでの凍結期間を埋めるかのように積極的なのですよ。

 これまでの青春を一気に取り戻そうというのかな。


 真理恵さんはそんな友紀さんの後押しと俺をおちょくるためにノってくるんですよ。


 この後、俺は冥王になって、μな友紀さんとφな真理恵さんとで冥王+壊れたマリオネットのライブバージョン(音源は持参)やるし。


 さらには俺はシャイたんになって友紀さんがライラになってイベリア祭り。


 恋人を射ち堕とした日のシャイたんライラバージョン…恋人に射ち堕とされた日もやったよ。あれ、正規な歌詞ないから自分で起こしたしね。ネットも駆使したけど。テンポ-3でキーも+1がちょうど良い、確か。


 澪音の世界なんて替え歌で友紀の世界ですよ。これもキーは+1~3くらい。

 まぁ友紀さんの世界になら囚われても良いですけどね。


 そんなこんなで夜中2時を超えて一部おねむです。

 俺もおねむです。


 肩にこっくりこっくりきたライラ友紀さんがもたれてきてます。

 俺も眠いのでそのまま力を抜いてうとうとです。

 あ、だめだ…ちょっと休ま…… 



 「よし!シャッターチャンスだ!全員構えーーーからの連射激写ひゃっはー」

 真理恵が声をあげると全員がカメラを構え連写する。

 夢の中に旅立った真人と友紀はそのラブラブすやすやっぷりを激写されているのである。

 幸せそうに寄り添い眠る。シャイたんなまこたんと、ライラな友紀と。


 カラオケなのでそれなりに大音量なのだが、二人は仲良く夢の中。

 他の4人は残り時間が勿体ないと次の曲へ。

 

 夢の中へから夢冒険へ。夢縛りかって… 


 ここまであまり歌ってなかった五木さんの熱唱。


 「探し物はなんですか~ 見つけにくいモノですか~」

 「東の館も、西の館も 探したけれど見つからないのに。」

 「まだまだ探す気ですか それよりも西屋上へ行きませんか。」

 「企業ブースへ コスプレ広場へ 行ってみたいと思いませんか~うふっふ~♪」


 注:この替え歌は2005年前後、マジで歌ってました自分。あの頃のコミケ、夢の中へのイントロが館内にかかってたんです。


 この日のために用意した煌びやかなハニトーの残骸だけが、その様子を祝福するのかおちょくるのかのようにひっそりと佇んで見守っていた。


 「残念だったねぇ」


 五木さんのじまんぐ声が響いた。


―――――――――――――――――――――――――――――


 今話は申し訳なさ感が。

 コスカラ自体はともかく、歌ってるとこはいろいろまずいんじゃないかと。

 Romanでは朝夜と美しきものが好きなのです。

 YUUKI信者とまでは言わないけど。

 Romanをマロンとしなかったのは褒めてー。

 冥王といえばともよちゃんですよね、子ミーシャ。

 あの頃10歳で気付けば声優って凄いですな。


 次話からは通常運転に戻るので。


 あいつら付き合うってよ→お、やっとか。じゃぁ何か祝福しようぜ→全員に共通することは?

 →コスプレ→じゃぁコスカラ+徹カラすっか。そんなノリです。


 1章は出会えた・再会できた・人を好きになる事が出来たそんな奇跡

 2章はそこから進んで指輪的な意味含めた輝石

 物語を通してMAXコーヒーが二人を繋げた軌跡を。


 誰が上手い事言えっちゅーた。

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