第11話 可愛いって30歳に言っても良いよね。
真人ははつい驚いて大声を挙げてしまい、他のお客様に迷惑をかけてしまった。頭を下げて謝罪をする。
でも大声を出してしまうのも仕方がない。
目の前の彼女は昨年から良いなーと思ってたレイヤーさん、ゆきりんだったのだ。
そして同時に2ヶ月前公園で会った事のあのMAXコーヒーの人だったのだ。
「あ、大きな声だしてごめんなさい。まさかゆきりんさんだったなんて驚きで。」
そう言うのが精一杯だった。
「私もごめんなさい。本当はさっき駅前で声をかけられた時に気付いてたんです。絶対の確証がなかったので言えませんでした。」
確かに潰れた頭を見ればレイヤーだと想像される、人によってはその日に会った人の事ならちょっとしたことで思い出すのは容易かもしれない。
繋がる要因は多かった。あまり好き好んで買う人がいないMAXコーヒーだってキーアイテムだったかも知れない。
店員さんは空気を読む必要がないので注文した食事を次々に運んでくる。
「冷めても仕方ないですし食べますか。」
実際朝食べてからお茶とコーヒーしか飲んでいないため空腹だった。
ピッチャーサイズのコーラ、飲みきれるかな……ネタなんてやるんじゃなかったと後悔した真人であったが最終的には飲み切る。
「あ、あまり見られると恥ずかしいのですが……」
料理が小さな口に運ばれていくのだが、その姿を見てい可愛いと思ってしまった。
友紀さんをゆきりんさんだと意識してしまったからだろうか。ちょっと動悸止まれ。あ、止まってもまずいのか。どっちだ。
という小ネタが出来るくらい焦っていた。多分顔は赤くなっていたのではないかと思う真人。
「食べてる姿が可愛いなって。」
真人が韓国ドラマの俳優が平然と口に出しそうなセリフを真顔で言う。
言った本人はクサイセリフを言った事にまだ気づいていない。
「ほへぇっ」
驚いた友紀は噴出しそうになり、辛うじて声だけに留まった。
噴出さなくて良かったと思う友紀と、今更ながらにクサイセリフに気付いた真人、2人とも顔が真っ赤だった。
このテーブルは中学生カップル専用だろうか。店員の一人がお盆を胸に抱きしめ暖かく見守っている。
「ああああぁ、他意はないんですよ。思った事がついぽろっと出ちゃったというかなんというか。」
「オンドゥル○ッタンディスカー」
テンパった友紀は思わずオンドゥル語を口にだしていた。
真人は裏切っていない。
「はは、恥ずかしい事を言うからです。そ、そういう事言う人嫌いです。栞コスしていただけに。」
テンパっていた友紀の言葉のツッコミは中々に冴えていた。。
真人はショックを受けた振りをして項垂れる。
「えぇえぇ、そんなに落ち込まないでください。べべ、別に嫌いというわけでは、栞ネタですし。」
わかってるけどちょっとショックだったのは事実だろう。
冗談であっても嫌いという言葉に衝撃を受ける程度には惹かれているのだろう。
「いちごサンデー追加するんで許してください。」
真人は対女子戦闘心得、女子にはとりあえず甘いもの作戦を決行した。
全ての女子に有効ではないが、車の中でいちごやメロンが好きだと言っていたのを思い出したのである。
「私は名雪ではありませんが、いただけるならいただきます。では、ぽちっとな。」
友紀は店員のコールボタンを押した。
びっ○りドンキーは一つ一つの料理や飲みものはびっくりするくらい大きい。
この小さな身体のどこに消えていくというのだろうか、不思議だなと真人は思う。
注:ちなみにいちごサンデーというメニューはドンキーにはありません。本作オリジナルです。
「結構食べましたね。そして結構時間経ちましたね。」
駐車場を出たのが17時過ぎ、安全運転を心掛けていたとはいえ19時前にはびっくりド○キーに入店していた。
時計を見ると21時になろうとしている。
他愛のない会話と食事とあのコーラとの戦いで約2時間。
楽しい時はあっという間なのだろう。
「あ、ちょっとお花摘みに行ってきます。」
☆☆☆☆☆
トイレで用を済まし、出ようとしたところで電話が鳴った。
着信欄の名前を確認して通話ボタンを押した。
「もしもし?」
「もしもし、あ、繋がって良かった。友紀さんお久しぶりです。少し大丈夫ですか?」
「……少しなら。」
トイレだし長居は失礼である。
「今日コスプレ広場で旦那とその仲間達で合わせをしてたんだけど……」
そこで一呼吸置いて続いた。
「合わせメンバーの一人が友紀さんの名刺を持ってたんだ……友紀さん、コス復帰したんだね。」
その声は少し震えていた。
「あ、うん、昨年の冬からコ○ケだけだけど。」
「……私のせいでごめんね。やっと吹っ切れたんだね。私が言えた立場じゃないけど、前向きになれて良かった。」
「……貴女のせいじゃないよ。だからもうそんな自分を責めないで。」
2人とも声が震えていた。
「ううん。私があいつを紹介したばかりに……友紀さんは酷い目にあった。男性恐怖症に。」
「だからそうなに自分を責めないでって。確かにあの人は許さないし許せないけど、三依ちゃんのせいじゃない。」
友紀の目からはうっすら涙が流れていた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
トイレで電話するなとか言われそうですが、かける方は相手がどこにいるかわかりませんし。
個室3つあるしちょっとだけならと電話に出た友紀さん。
というか世間狭いよ。ゆきりんさん(友紀)、真理恵さん(三依)と知り合いでしたというね。
訂正という事もあり今更ですが、本名である友紀と三依ちゃんに訂正しました。
そして何やら過去にあったようです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます