第2話 青い液体を・・・
「え?」
「貴女はこの薬を何で試したのですか?まぁ。マルス帝国なら実験用の奴隷はいたかもしれませんが?」
試す?この薬を?
「もしかして、何も試さずに使用しているのですか?それなら、『貴女はヒトゴ・・』っ。」
少女はクストに頭を押さえられ、床に押さえつけられていました。
「おいクソ餓鬼、俺の番に何を言おうとしたんだ?さっきから訳の分からん言葉を使って、きちんと人の言葉を話せ。」
「わたしが悪いとでも?わたしが調べただけでも、この薬を使って王都だけで25人の珍しい色の獣人や希少種の獣人がマルス帝国に連れて行かれたというのに?」
そんなにもマルス帝国の奴隷として連れて行かれたのですか。
「そして、その数だけこの薬を服用して呪いを二重掛けされた人がいるということも。わたしが悪いと?これを作り出した人を責めるべきでは?」
「使ったヤツが悪いに決まっているじゃないか。」
少女は頭を床に押さえつけられていながらも笑った。それは、子供がする笑みではなく、すべてを否定するが如く冷めた笑みだった。
「やはり、話にならない。第6師団長さんがいないときに来ればよかったけど、こっちも時間がないから、いいですよね。」
少女は押さえつけられている、クストの手を取り、意図も簡単に頭から外した。やはり、人族ではないの?
「この薬は差し上げます。団長さんの大好きな番が作り出したものですよ。飲めますよね。」
少女は青い液体が入った瓶をクストに手渡した。いけない。私は二人の元へ行き小瓶を取り上げようとしたけれども間に合わず、クストが飲んでしまった。
クストは青い液体を飲んだ瞬間、ことが切れたかのように倒れた。近づき揺さぶり起こしても何も反応がない。息はしているけれど、ただそれだけ。どうしてこんなことが、この得体の知れない少女が・・・少女が私を見ている。何も表情が無く。ただ見ている。この少女が恐ろしい。
「静かになりましたね。これが現状です。貴女が作り出した薬と称したものはこんな恐ろしい物なのですよ。」
「わ、私にどうしろというのですか。」
「ああ、別に脅しているわけではないのですよ。あの薬を使用している人物が知りたかったのと貴女の作った物で苦しんでいる人がいることを知って欲しかったのですよ。それと、どうして此処がわかったのかと言えばあの薬を視ることで、製造者と作成者を知ることが出来たのです。あの薬を作った製造者はこの世にいないようでしたので、作成者を訪ねてきたのです。ユーフィア・ウォルスというあの薬を作成した人を。」
「製造者がこの世にいない?」
どういうこと?みる?みるだけでそんなことまで分かるって意味がわからない。
「本当に気づかずに作ったのですか?貴女のその能力が有ってこそ、ここまでの呪い擬きを作って平気でいられるのです。世界に与えられた力を用いて作り上げた物が普通の魔導師に作れるはずないじゃないですか。だから、あのようなものを作り上げるには術師の命を削っているみたいですよ。」
「世界に与えられた力?命を削る?」
一体何の話をしているのかわからない。
「そうです。貴女の」
バキッ。
何かが破壊される音で少女の言葉が遮られた。
ドアが壊され、窓が壊され、甲冑を身に纏った者達が部屋の中に入って来た。その者達は少女を取囲み、抜き身の剣を差し向ける。
「ナヴァル公爵夫人。お怪我等はございませんか。」
声を掛けた者を見ますとクストの部下のかたでした。ということはこの人たちは第6師団の方々なのでしょう。
「ええ。私は大丈夫です。」
「団長はどうされたのでしょうか。気付け薬でも目が覚めないようなのですが」
クストの様子を見ていた別の人に問われました。ど、どのように説明をすればいいのでしょうか。
「正直に答えて上げればいいのです。私が作り出した薬でこうなったと。」
「だまれ!」
少女の答えに囲っている人たちが一歩動き威圧してます。
「その、団長さんはそのまま眠り続けながら死んで行きますから。苦しむことはないですよ。」
「それは、困りますね。」
少女の言葉に答える声は
「ルジオーネさん。」
いつもこの屋敷を訪ねて来てくれるときは第6師団の軍服なのですが、甲冑を身に纏って部屋に入ってきました。
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