ラヴレター

ジュン

第1話

僕は、文章を書くのが下手だ。僕には、好きなひとがいる。同じクラスの女子だ。僕は彼女に、ラヴレターを書こうと思っている。けれど、どう書いていいものかわからない。学校の帰りに書店に寄り『ラヴレターの書き方、教えます。』という本を立ち読みしたりしていた。僕は、家に帰ると、ラヴレターを実際に書いてみた。でも、スマートな文章が書けない。何度も何度も書いてはまるめて捨てた。

「だめだ。僕には書けない」

次の日、僕は彼女にラヴレターを渡した。

「なにこれ」

「ラヴレター」

「なにも書いてないじゃない」

「そう。おまえのこと好きすぎて頭んなか真っ白で。だから、真っ白い頭からは白紙のラヴレターしか生み出せなかったんだよ」

「それだけ雄弁なら、なにか書けるんじゃない」

彼女は、からかうように笑うと、僕を抱きしめた。僕も彼女を抱きしめた。言葉にならない言葉がふたりを結んだ。


終わり

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ラヴレター ジュン @mizukubo

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