異世界戦争〜冬戦争の白い悪魔〜
さいのす
イントロダクション とあるインタビュアーとの会話
「今日はお越しいただきありがとうございます」
ぼくが声をかけると、ぼくの腰ほどしかない背丈の老人は小さく会釈した。
「ん」
大きなクッションのある安楽椅子を勧めると、老人はどこか所在なさげな面持ちでそこに腰掛けた。
彼の娘だろうか、中年のハーフリングが横から膝掛けをかけると、老人はそれにも小さく頷くように会釈した。
ぼくが彼の前にあるテーブルに携帯型の魔導録音機をおくと、彼は珍しげに目を見開いた。
「こんなちっちぇんだなあ」
「最近もう一回り小さいのが出たんですよ」
ぼくがそう言うと、老人はへえ、と嘆息した。
その姿は人の良いハーフリングの老人そのものだが、しかし、彼の顎は中心から左の目、そのまま耳にかけて大きな傷跡で歪んでいびつになっていた。
それは紛れもなく彼が”あの戦争”を戦ってきた勇敢な戦士であることを物語っていた。
「───そいで、せんせどごがら話すべが」
朴訥とした老人がぼくの方を見た。
しわ深い目の奥を覗き込む。その黒い瞳の奥はまだ見えない。
「では」
横に座った中年女性が少しこちらに目配せをする。
ぼくはその意を察して小さく頷くと、女性は老人の背中を軽く2度叩いてから外へ出た。
「────あなたの、初めて戦場に出たときの話からお願いします」
ぼくは小さく息を飲み、魔導録音機のスイッチを入れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます