異世界戦争〜冬戦争の白い悪魔〜

さいのす

イントロダクション とあるインタビュアーとの会話

「今日はお越しいただきありがとうございます」

ぼくが声をかけると、ぼくの腰ほどしかない背丈の老人は小さく会釈した。

「ん」

大きなクッションのある安楽椅子を勧めると、老人はどこか所在なさげな面持ちでそこに腰掛けた。

彼の娘だろうか、中年のハーフリングが横から膝掛けをかけると、老人はそれにも小さく頷くように会釈した。

ぼくが彼の前にあるテーブルに携帯型の魔導録音機をおくと、彼は珍しげに目を見開いた。

「こんなちっちぇんだなあ」

「最近もう一回り小さいのが出たんですよ」

ぼくがそう言うと、老人はへえ、と嘆息した。

その姿は人の良いハーフリングの老人そのものだが、しかし、彼の顎は中心から左の目、そのまま耳にかけて大きな傷跡で歪んでいびつになっていた。

それは紛れもなく彼が”あの戦争”を戦ってきた勇敢な戦士であることを物語っていた。


「───そいで、せんせどごがら話すべが」

朴訥とした老人がぼくの方を見た。

しわ深い目の奥を覗き込む。その黒い瞳の奥はまだ見えない。

「では」

横に座った中年女性が少しこちらに目配せをする。

ぼくはその意を察して小さく頷くと、女性は老人の背中を軽く2度叩いてから外へ出た。

「────あなたの、初めて戦場に出たときの話からお願いします」

ぼくは小さく息を飲み、魔導録音機のスイッチを入れた。

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