29話『復讐者達』


~建国記念日12時 ピーチ、スー、ドラゴン~





王様:「今日。この日」

  :「今年もまた無事に建国を祝えて、予は大変喜ばしい」

  :「今日が良き日になるよう、心から願っている」

  :「また、この日に相応しい大事な発表がある」





ピーチ:「始まったね♪」

スー:「ああ」





王様:「衝撃的な内容だが、皆よく聞いてほしい」

  :「我々王国は、長くゴブリンとの戦いに明け暮れていた」

  :「それは予が知る限り、王国建国以前から続いているそうだ」

  :「しかし、この戦いももう終わることになるであろう」

  :「ここにゴブリン一大攻勢を宣言する!」





ピーチ:「え?」

スー:「?」

ドラゴン:「??」






王様:「兵の皆は一時の休暇を楽しんでくれただろうか?」

  :「既に、予が敵の計略を事前に掴み、首脳部を殲滅することに成功した」

  :「大臣あれを前に」






ピーチ:「首脳部?噓でしょやめて」

スー:「噓だろ?」

ドラゴン:「なんじゃ?」





大臣は、5人の使いの者を王様の前に立たせた。

手にはそれぞれが、料理皿を持っている。

皿の上には、レストランでよく見かける銀色の丸い蓋がかぶさってあった。





ピーチ:「やめて。考えたくない」

   :「やめて。やめて。やめて」



王様:「蓋を開けよ」






ピーチ:「やめてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」





王様の合図と共に蓋が開いた。

そこには5人の生首があった。

3賢者に緑子。そして勇者。

鮮血が今も滴っていた。





ピーチ:「あぁ」

ドラゴン:「なめるなよ」





王様:「衝撃的な内容とはこのことである!」

  :「予も未だに信じられない」

  :「なんとこの機に及んで、勇者はゴブリン国と手を組み、国を裏切ろうとしてたのだ!!」






ドラゴン:「なめるんじゃねーぞ小僧-----------!」

スー:「何度目だ?何度俺を裏切れば気が済むんだ!!」




ドラゴンは吠えた。





王様:「どんな手段で、勇者を惑わしたかは予も分からん」

  :「だが、今一歩のところで計画を知り、逆手に取り敵首脳部をおびき寄せ、阻止することができた」

  :「これがその証拠の首。ゴブリン国の神官、3賢者及び緑子。裏切りを企てた大罪人、勇者である」

  :「我々の敵は、こんな小賢しい真似をする」

  :「慈悲一つ掛ける価値もない蛮族である」

  :「我が国民よ。今こそゴブリン殲滅に立ち上がるのだ!」  





スーはピーチの様子がおかしいことに気が付いた。



スー:「ピーチ?」



ピーチは空中にゆっくりと浮遊し、叫び始めた。



ピーチ:「あー」

   :「あーーーーー」

   :「あ〃あ〃ぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」




王国の方向に身体を向け、

ゆっくりと右手を伸ばした。

叫び声と共に右手から閃光が走った。





ピーチの右手は吹っ飛び、

空中から落ちてきた。




スー:「大丈夫か?ピーチ」

  :「おい。しっかりしろ。おい」






ピーチは目を覚まさなかった。

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