16話:『王の策謀』



王様は焦っていた。



勇者の活躍が凄まじいからである。

国内の名声という名声は勇者に注がれており、

王様には向いていない。



王様:「どうしたものか、、、」



歴代の王が誰も成し遂げなかった偉業、

人間による人類統一。



私は勇者の名声に埋もれてしまうのではないだろうか。





そこに、良いアイディアが生まれる。





そうだ。死んでもらおう。







~勇者~





勇者は王様に呼ばれていた。

身支度をし、謁見に向かう。



王様:「ドラゴン討伐に向かってほしい」

勇者:「ドラゴンですか!」

王様:「ゴブリン国の近くの山頂に住んでいると言われている」

  :「ゴブリンにとってドラゴンは象徴であり、我が国にそのことが抑止力になっているのも拭いきれない」

  :「私は、その象徴を破壊したい」

  :「どうだ、おまえでは倒せぬか?」

勇者:「仰せの通りに」



膝をついて令を受けた。



王様:「ドラゴン討伐に向かうにあたり、当然ゴブリン勢力圏に入ることになる」

  :「従って少数精鋭で向かわなくてはいけない」

  :「少なければ少ないだけ良い」

  :「おまえの強さは人の次元を超えているから大丈夫だが」

  :「他の兵達は行ったところでドラゴンに殺されるのが関の山だろう」

  :「そこで、1人で行ってもらえないだろうか?」

  :「もっとも、兵が欲しければ希望通り用意するが」

勇者:「1人で行きます。兵は皆王様の大事な宝物。無駄な兵などいません」

  :「王様の言う通り、ドラゴン討伐に向かって生き残れる兵は私以外いないでしょう」


  :「喜んで承ります」





勇者は良い人だった。

疑いもせずに、令を受けた。

人類の為になると思っていた。



それに、

ゴブリンをもう、なるべく殺したくなかったので、

幾分楽に感じた。





・・・



王様の策謀は上手く行った。

死ぬのもよし、

成功するもよし。


人間が1人でドラゴンを倒せるわけがないじゃないか、、、。

万が一が起きたら、王の手腕を上手く宣伝すれば良いこと。


我ながら良い策を思いついたものだ。





・・・









勇者:「いざ出発!」


孤独な旅は始まった。

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