4話:『西の魔女』
私の名前はピーチ。
魔女だ。
森の中で1人、優雅に暮らしている。
お父さんとお母さんは、とうの昔に死んでしまった。
なのでただ一人。。。
散歩は日課。
家に籠りっきりだと錆びついちゃうからね。
今日も家の周囲を回っている。
今日は珍しいものを見つけた。
行倒れの人間だった。
顔に生傷があるわけでもないのに、
包帯をグルグル巻きにしているのはなんでだろ?
優しいお姉さんは、
看病をすることにしたぞ!
・・・
見つけた日から、今日で丁度一ヶ月。
まだ目を覚まさない。
看病ごっこも飽きてきたし、
そろそろ捨ててこようかな?
少年は夢を見ていた。
とても長い夢だ。
育てられた3人の父親が次々に死んでいく。
切られた。
首が飛んだ。
弓で射られた。
僕は逃げた。
逃げついた先で、また同じ光景が繰り返される。
育てられた3人の父親が次々に死んでいく。
切られた。
首が飛んだ。
弓で射られた。
僕は逃げた。
逃げついた先で、また同じ光景が繰り返される。
育てられた3人の父親が次々に死んでいく。
切られた。
首が飛んだ。
弓で射られた。
僕は逃げた。
逃げついた先で、また同じ光景が繰り返される。
どこへ逃げても、最初に戻る。
切られ、首が飛び、射られる。
無限のリピート。
少年の人格は破綻する。
繰り返される度に、徐々に。
悲しみが、憎しみに。
涙が、怒りに。
自分の非力さが、勇者への憎悪に変わる。
「復讐だ、、、、」
夢はそこで消えた。
ピーチ:「ゴミ捨て完了!」「あばよ、達者でな!」
ピーチは粗大ごみを捨てた。ドサッ!
粗大ごみに、君と過ごした日々は忘れないよと涙ぐんだ。
お別れの言葉を口にする。
すると、
粗大ごみが動き出した。
スー:「いてぇ。何がどうなってるんだ」
ピーチ:「ありり、生きてたのか」
少年と魔女はこうして出会った。
スーは魔女と名乗る女の子を見つめていた。
見た目は18歳くらい、自分よりも年齢は上に見える。
しかし、大人にも見えない。
服装は正に魔法使いそのもの。昔絵本で読んで貰ったような、
黒いローブにとんがり帽子。
箒で空飛んでいたことには驚いた。
スー:「助けてくれたことには感謝する。けど、俺には行くところがあるから、、、すぐに出て行くよ」
ピーチは少年を見ていた。
明らかに人間なのに、ゴブリンだと言う。
聞いてみると、数奇な人生。
目の下の深いクマは、それが原因なのかな?
こんな丁度良い暇つぶし道具を
なぜ、みすみす逃がさなきゃいけないのか返答に困っていた。
ピーチ:「復讐か、、、。辛かったんだね。分かるよ、男にはやらなきゃいけないことってあるもんね」
:「でもさ、君強いの?」
スーは大袈裟に分かる、分かるよという魔女を怪しんでいた。
これ以上、話すことはないだろうと別れを告げた。
スー:「それじゃあ行くよ」
外に出てみると、一体のゴーレムが立っていた。
襲ってくる気配はなかった。
ピーチ:「試してあげるよそいつで。君の思いの強さというものを」
スーは弱かった。
数秒でやられた。
思いの強さと力の強さは別ものであった。
ピーチ:「私が手伝ってやるさ。勇者とやらを倒せるようにね」
不敵な笑みを浮かべながら、
倒れているスーに向かって言った。
・
・・・
・・・・・
一年後
ピーチ:「準備は出来たのかい?」
スー:「ああ。厳しい稽古も終わった。後は行くだけさ」
ピーチ:「寂しくなっちゃうね、、、」
ピーチは一年間の思い出に振り返っていた。
自分の思いつくままにした、稽古という名のいたずらも今日で終わり。
今日で最後か、、、。
スー:「それじゃあな。色々あったけれど、ありがとな」
ピーチ:「それじゃあね。いつか帰ってくるから。涙」
スー:「え?」
ピーチ:「え?」
ピーチは家に別れを告げた。
旅について行く気満々だったようだ、、、。
ピーチ:「それ、まだ着けていく気なのかい」
スー:「うるせぇ。包帯は俺のアイデンティティだ」
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