4-2 大空を渡る
どこまでも続く青い大気を
だが今、双胴のそれを動かしているのは風の力ではなかった。
「――と、まあこんな感じよ。分かったかしら」
「うん。だいたい」
空の樹を
「じゃ、交代」
「え?」
ヒタクが間の抜けた声を上げると、少女は唇を
「え、じゃないわよ。え、じゃ。ずっと女の子に力仕事を任せる気?」
「ああ、うん。そうだね」
「よいせ……っ」
帆が風を捕まえる手とするのなら、こちらは空気を蹴り出す足といったところか。少女が
「ほら。
「う、うん。……ふっ、はっ」
舟を
(これ、結構きつい……)
先端に飛晶を張った
そう説明を受けた時は、
「よく、こんなの、独りで、動かせた、ね」
息も絶え絶えに感心していると、あっさりとした返事が返ってきた。
「ん? ああ。この舟、帆がメインだから。風さえ吹いてれば
「ちょっと!」
「なによ?」
「じゃ別に、今
たまらず声を荒げて抗議する少年。だが、空を生活の場とする少女の方は涼しい顔だった。無知な子供を諭すようにして笑う。
「馬鹿ね。練習よ、練習。今の内に慣れておかないと、本当に必要な時に役に立たないでしょ」
「……むう」
確かに。
もし何かアクシデントに遭遇したとき、ぶっつけ本番で
「お。やる気になったようね。よしよし」
満足そうにうなづき前を見るアヌエナ。舟を先導する朱色のカラスを探して叫ぶ。
「ちょっと左にずれてるかな……。はい、
「オ、オモカジ!?」
舟を
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