古く話の世界たち
山鳥 雷鳥
青い瞳の少女 前編
赤い目は神の血を引き継いでおり吸血鬼の瞳、金の目は神の瞳。
なら青い瞳は一体何なのか?
ただの人の目? それとも色彩の誤確認?
不思議なことに、誰もそのようなことに気づきはしない。
いや、気づきはしないのではない。誰も考えないのが正しいのかもしれない。
なぜなら、興味がないから。
日本人はブラウンの瞳が普通だし、西洋の人だと少し薄めの青なんてのが普通。
けど、自分はそんな普通が少し飽きていた。
多くの瞳を見てきて、感じて正直、マンネリというのだろう。瞳に強い関心を呼ぶが、興味の失せたものだった。
人の顔も、においも、毛の艶も正直言うと、ただのマネキンのように感じてしまっている。
まぁ、本音を言うのなら、興味の対象外だ。
「はぁ」
興味のない人たちが今日も又、自分の前を通りすぎていく。
色鮮やかな人たちが通り過ぎているのに、自分にとっては、つまらないものだった。
ちなみにここで、自分の保身の為に言うと、自分は別に人、というものが嫌いなわけではない。けれど、興味の対象として見れないだけだ。これを無関心、とでもいうのだろうか。違う。
無関心というものは、他人の容姿など見ないし、何かを一つで見ようとしない
けれども似ているところをは通っていると自負はある。最近は徐々にあらゆることに無関心になりつつある。昔楽しかったものが今ではつまらなく、昔好きだったものが別段好きではない。途中で生まれた変な性癖さえも自分にとっては、捻じれ腐ったものだと理解している。
けれどもなぜか、思ったんだ。
青の瞳というものは一体、何を表しているのか。
『青』
基本色の一つで、主に空の色や海の色使われるあの青というものだ。他にも瑠璃などにも使われるものらの相称で「緑」としても「あお」と呼ばれることもあり分別化されなかった国がたくさんあるらしいが、別段、この際どうでもよい。
ただ、その『青』の瞳というものが言った何なのか興味が湧いていた。
自分自身、一人の人間として言ったどんな人間なのかわからないが、なぜかこのようなことだけは異様に惹きつけられた。
「何かないか」
そう言いながら自分は、今すぐにでもこのつまらない状況から抜け出したかった為に、今すぐにでも人混みの波の中を見る。
青い目、青い目、青い目、青い目、青い目、
心の中でそう呟きながら、辺りを見渡す。
茶、茶、黒、黒、茶、黒、黒、黒、茶、黒、黒、青、茶、黒、黒、黒、黒、茶、黒、
「やっぱ無いか」
そう簡単に、青い目なんて簡単に見力ないと自負していたがこうも見つからないとなると少しだけ可愛そうに思えてくる。
いや、いた。一人だけ、青い目が西洋人特有の薄い青い目でもなく、カラーコンタクトのような偽物の青でっもない、きちんとした青だ。
濃すぎず、薄すぎず、RGBが0、103、192という日本人が求めた青がそこにはあった。
そして、自分が求めた「青」の瞳があった。
「あ、えと、すみません!」
自分は人混みをかき分けて、人混みの先にいる「青」の瞳を持った人物を追いかける。
「青」の瞳を持った人物は白いワンピースのような物を着ており、黒い長髪を揺らめかせながら歩いており、自分が話しかけると、その人物は不思議そうな顔をしながら黒い髪と白いワンピースを靡かせながら振り向く。
「」
その姿はまさに妖艶、とでもいえばいいのだろうか?
「青」の瞳を持った人物、いや、女性はその瞳に負けず劣らずの容姿に顔だち、肌にひんやりとする声を持ったいた。自分はその
「……Quid factum est?」
「あ、えと」
なんと、その「青」の瞳を持った女性が外国人だったらしく、急に流暢な英語で話しかけてくる。
話しかけたのはいいのだが、英語、となると少しだけ話すのが難しく、自分自身、英語が話せない。
こうなるのなら、もう少しまともに英語の勉強を受けたほうがよかった。
「わ、わっと、いず、ゆあ、ねーむ?」
記憶の中にある単語を並べ、朧気になりながらも必死に目の前にいる「青」の瞳の彼女に向って話しかける。
「?」
だが必死な英語の会話でも彼女何言っているんだ、とでも言いそうな程の顔で見てくる。
その顔を見た瞬間、あ、伝わっていないと理解し、さらに自分の戸惑いが酷くなる。
つ、伝わっていない。いったいどうすれば……。
戸惑い、困惑し、混迷する。
「どうかしましたか?」
「え、え?」
すると、急に目の前の「青」の瞳の彼女は、綺麗な日本語で再び私に話しかけてくる。
え、急に、なに?
日本人の私よりも綺麗に日本語うまく操り私に対して話しかけてくる。
その状態に私は戸惑い、頭の中が混乱する。
「あの、大丈夫でしょうか?」
「あ、はい!」
「そうですか」
「青」の瞳の彼女はどこか、ほっとした気持ちをしていると、私のことをじっと見つめる。
「それに何でしょうか?」
不思議そうな顔で私のことを見てくる彼女は、そういいながら私に向ってさらに顔を近づける。
あ、あぁ、表情が固まる。心の中にある何かが高く強く固まり、私の血流をさらに早くなる。これ以上、私と彼女の顔が近づくと、今ここで私は熱中症と同じように倒れてしまう。
だが必死にそのような気持ちを抑え、彼女に向って話しかける
「あ、えっと、『青』い瞳の貴女に聞きたい!」
「?」
「あなたの名前は何でしょうか!?」
まるでイタリアの男性のように、熱く恥ずかしい言葉を吐きながら、必死に赤らめる顔を抑える。
「……」
「……」
沈黙が流れる。
恥ずかしい。
「あ、なたの、名前をお聞きになってよろしいでしょうか?」
再び恥ずかしながらも、「青」の瞳の彼女に向って話しかけてみる。
真っ赤になった顔を隠すように、必死になりながらも手を差し出す。
「ナンパ、というものかしら?」
「……」
だが先ほどから不思議そうな顔をしながら見てくる彼女は興味深そうな顔で私のことを見てくる。
「いいわね! ナンパ、いい響きだわ」
「え?」
「ナンパ、ナンパ、本当にいい響きだわ。惚れてしまいそう」
「えっ、えっ」
彼女の意外な反応に私は戸惑っていると、彼女は何知らず顔でその『ナンパ』という言葉に浸っていた。
「あ、そういえば、お名前を聞きたいのかしらね?」
「あ、え、はい」
「そうね、こんな場所だと少し目立ってしまうから近くの喫茶店でも行きましょうか」
「は、はぁ」
「青」の瞳を持つ彼女の意外なコメントに困惑していると、私は彼女の言われるがまま、彼女についていくと近くにある涼しげな喫茶店に入っていった。
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