149話 宮廷道化師
王城の一室
「ならば、王女付き宮廷道化師がよかろう」
「なんですか?それ?」
王女殿下に、そもそも王宮内でクリス呼びするのは、まずいんじゃないですか?と提案した後に出た言葉だ。
「宮廷道化師とは、王族に無礼な振る舞いをしても許される者だ。王女付きなので、この場合、私限定になるな」
「…はぁ?」
言っている意味がイマイチ理解できなく、溜息のような相槌が漏れる。
「そなたでも、そんな間抜けな顔をするのだな」
クリスは楽しそうに笑う。
「要するに、絶対的な王族に、苦言を呈する者であるぞ。酔狂な王族は、ただの話し相手にするがな」
自由な振る舞いは許されるが、権力などは一切ないらしい。
そして、主に後者…つまり、ただの話し相手として雇用する方が多いそうだ。
「服装の決まりは、あるのです?」
道化師と聞いて、元の世界のピエロをイメージする。
「好きな服装にするがよい」
どんな奇抜な格好でも、道化師は受け入れられるらしい。
「ただ、私の従者として付き添うから、女性らしい服装がよかろう」
「…お任せします」
女性らしいの一言に、私は選択肢を手放した。
「任せるがよい」
満面の笑みで答えるクリス。
私の不安は大きくなり、
「私は、クリスの騎士ですよね?」
事実を確認する。
「そうであるな」
「騎士らしく剣とか鎧とか…」
「…そなたに剣は、必要ないであろう?」
そんな私の提案を、怪訝な表情でクリスは一蹴した。
「確かに剣なんて、飾りにしかなりませんが…剣も鎧もなくて、誰が私を王女殿下の騎士と信じるのです?」
「そなたが私の騎士である事は、そなたと私が知っているだけで、十分であろう」
そして、
「それに、そなたが騎士と言って、誰が信じるのだ?」
面白そうに鏡を指差すクリス。
そこには、黒髪の可愛らしいお人形さんが、映っていた。
☆クリスのイメージ
https://kakuyomu.jp/users/siina12345of/news/16817139558741156755
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます