小さな森のノコッタ

なんかかきたろう

小さな森のノコッタ

あるところに小さな森がありました、どれくらい小さいかというと

その大きさは学校の体育館ぐらいです。森にしては破格のサイズですね。ノコッタちゃんのいる世界は、小さい森のほかに中くらいの森、大きい大きい森があります。


 大きい大きい森の大きさはとんでもなくて、それはもう我々の世界でいう長野県くらいの大きさです。中くらいの森は小さい森と大きい大きい森のちょうど中くらいです。我々の世界でいうとどこなんでしょうね。わかりません。



小さい森は世界の片隅にひっそりあります。ノコッタちゃんは小さい森の中で楽しく元気に暮らしています。

リスのお友達と木の実を食べたり、ことりさんとお昼寝したり、一人で空を眺めたり毎日毎日忙しいのです。


そんなある日のことでした。ふわあっと大きなあくびをするノコッタちゃん。どうやらお昼寝から目覚めたようです。大きなはっぱを一枚とってきて、汗を拭いたり、目くそを取ったりしていますね。ノコッタちゃんはきれい好きのようですね。


そうしてゆっくりぼんやりしていると、森の奥から何かがずんずん近づいてきます。それは大きなくまさんとふわふわしたオオカミさんでした。


くまさんはノコッタちゃんに言います

「うちの科学者たちが小さな森の地下深くに貴重な資源が大量に眠っていることを発見した。そして今回の合同会議でその資源を中くらいの森と分け合うことがきまった。」


ノコッタちゃんは何を言われているか全く分かりませんでした。ノコッタちゃんは小さな森でのほほん暮らしていたのです。資源なんていう言葉は知りません。

ノコッタちゃんは困惑しています。初めて見る大きな獣たちも怖いみたいです。ノコッタちゃんをよーく見てみると膝が小刻みに震えているがわかります。

しびれを切らしたふわふわのオオカミさんが言いました。

「ここはもう私たちの森だ。おまえはもう自由にこの森を歩くこともできない。我々の管理のもとにくらすのだ。好き勝手して森を荒らしてもらっては困るからな」

おおかみさんがグルグルうなりながら言うので、ノコッタちゃんはそれが怖くて話も碌に聞かないでコクコクうなずきました。目には涙が浮かんでいます。


それからノコッタちゃんの生活は大きく変わりました。

小さな森の真ん中では大きな機械が大きな音を立てて地面を掘っています。

毎日毎日毎晩毎晩。その周りに大きな動物たちがとても真剣な顔をして立っています。時々大きい声で怒鳴ったりもしています。


ノコッタちゃんは小さな森の端っこにいました。ノコッタちゃんの周りは線で区切られています。畳六畳、そんな感じでしょうか。オオカミさんが線の外側に立っていて。ノコッタちゃんがそこから出ようとすると、オオカミさんがグルグルうなるります。


一日に数回木の実が与えられますが、それだけではとてもおなかが膨れません。大きな音が怖くて夜になっても眠れません。


ノコッタちゃんは狭い区切られた森の中。膝を抱えて泣いてます。


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小さな森のノコッタ なんかかきたろう @nannkakakio

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