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「あっ、オレ、ロッカーに夏休みの工作置いたまま忘れて来たから、一旦戻るわ。ごめん、先行っててくれ」
学校の帰り道、
「え? マジで? ああ、分かった。じゃあ……」
上田が言い終わらないうちに、相川は学校の方へと駆け出して行ってしまった。
「あれ? 転校生はどこ行ったの?」
少し先を歩いていた松岡が振り返る。
「忘れものだってさ……夏休みの工作の」
「あ? 工作のって、割りばしと爪楊枝で作った、黄緑色の恐竜のやつだろ? 確か達筆な字で名前と前の学校名まで書いてたやつ。でもあいつ、帰りの会の時に、大事そうに鞄に入れてなかったっけ?」
「え? そうだっけ?」
上田は声をかけようと、急いで後ろを振り返ったが、既に相川の姿は小さくなっていた。
「じゃあ、あいつは何を忘れたんだ?」
二人はお互いに顔を見合わせた。
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