よわむしのカッパ
オイラは
好きなことは、人間の道具を集めること。
オイラは弱虫だ。ハチだってこわいし、カマキリもこわい。
魚をつかまえるのだって苦手だ。
あいつら、ばっちゃばっちゃはねるだろ?
びっくりするんだよなあ。
人間はこんな弱虫のオイラより、ずっと弱いんだ。
水の中で
でも人間たちは、道具っていうすごいものを作っていろいろ乗り越えるだろ。
川の流れを変えてみたり、水の流れを板で止めたり流したりしてみたり、こわい動物たちと戦う武器を作ったり。
すごいよなあ。
オイラ、人間が作るものが大好きなんだ。
それに友達もできたんだ。
人間の道具を探しに、さとに行ったとき、うっかり見つかっちゃったんだけど、全然逃げないしさわがなくて。変わったやつだった。
初めての友達だったんだ。
大好きだった。
ああ、だからさあ。
あの侍たちが許せなくって。
許せなくって許せなくって。
気付いたらオイラは、川があふれるくらい
気付いたら、オイラは、アイツのさとを
ああ、もうアイツの友達には戻れねえなあって思ったら、体がまっ黒になって、毛むくじゃらになって、こんなになっちまった。
アヤカシは、不安定なもの。
こころのゆれようで、姿かたちも、
そう言ったのは、誰だっけ?
さっき聞こえた泣き声、この声に、似てたなあ。
でも、泣いてなかった。
キリッとして、勇ましくて、どうにもあのときの侍たちに近いものを感じたっけなあ。
こんなふうに、メソメソって、オイラみてえに弱っちくなくてさあ。
おっかなかったなあ。
こんなふうに、あやまりながら、泣いたりはしなかった。
だれもかれも、オイラと一緒には泣いてくれなかった。
アイツの親も、アイツを死なせたのはオイラだって、怒ってた。
そのとおり。
オイラが、悪いんだ。
人間なんかにかかわったから。
ごめんよう。
オイラが、友達がほしいなんて、思ったから。
ごめんよう、ゆるして……
オイラを、ゆるして……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます