もうラブコメなんて求めない

とら

第1話 同じ過ちは繰り返さない


『黒歴史』、それは誰もが人生に一度は刻んだ事はあるであろう口に出すことも幅かられるダークヒストリーである。


ちなみに俺は黒歴史クリエイターのスペシャリスト(自称)であり神(自称)である。

そんな俺も今年の春で16歳になり、実家からかなり離れた高校に通うことになる。

幸いにも知り合いの居ない高校を選んだ甲斐があった。

地元の中学校では『火神かがみ 新託あらた』の名を知らない者はいなかったという……


うん、まぁ俺なんだけどね☆


ちなみに女運も悪い。

話しかけて来た女子とか俺の親友目的だったし、初めて告ってきた女子には二日後に振られるし。。。後で聞いた罰ゲームだったとか本気で引きこもろうかと思った。


俺から告ったらまぁ、振られるわ漏れなく冷たい視線と次の日の女子からの罵倒が着いてくる。

誰か俺に優しくしてくれても良いんじゃねぇの?


と、まぁこんな風に俺は辛くて辛くて辛い過去を抱いて自殺せずに生き残った希少種な訳だが。

これからの俺には関係の無い事だ。


俺の過去(ダークマター)を知っている人間など居ないのだから!


こっからは俺の挽回タイム、快進撃×∞の幕開けといこうか。



AM: 08:00


「さてさて」


身だしなみ良し。

持ち物良し。

折りたたみ傘も持った。

スニーカーを履いて……


勢いよく部屋の扉を開けて外へ飛び出した俺火神 新託は今日から始まるであろうハッピースクールdaysに心踊らせていた。


実家からの一人暮らしを許された俺は何もかもが薔薇色に見えて仕方が無く、中学校卒業までに父親から命じられた料理技術会得に血の滲む様な努力をした事すら忘れる程舞い上がっていた。

まぁ、簡単に言えばめちゃ嬉しみって事だけどね。


アパートの大家さんから授かった鍵をドアノブの下に空いた穴に差し込みぐりっと回す。


新生活感はんぱねぇ


戸締りと言う仕事を完了して貰った鍵。

帰宅後まで鞄の中で休憩して貰おう。


チャックを開けて大事に鞄の中にしまうこの動作ですら自由を自分に囁きかけているようにすら思えた。

すると、我が安住の地108号室の隣である107号室の扉が開き一人の少女が出てきた。


「あ、どうも」

俺は自然に話しかける。それも自然の王ナチュレ様も認める程の自然さを見せた。

『新託の掟』其ノ壱!視線は胸じゃなくて眉間!これ大事。覚えとかなきゃ後で死ぬから


それに彼女は「んっ」と一礼して……って


「あっ」 「あっ」

同時に声が溢れる

よく見る同じ学校の制服では無いか。


「貴方ももしかして?」

女の子が俺に話しかけて来た。

まぁ、当然の質問である。もしも彼女がこの質問をして来なかったら自分から質問していたわけだし。


「もしかする」

「そう、じゃあお隣さん、今後ともよろしく。私ちょっと前に引っ越して来たからあまりこの近所に詳しくないの。」


「奇遇だな、俺もちょっと前に引っ越して来たからぶっちゃけ大家さん以外の人と喋っていない」

「驚いた、凄い偶然ね」


「そーだな、入学初日で遅刻とか嫌だしそろそろ行くか。」

「ええ」


二人は(お隣さんと俺)は目的地である学校へ歩を進める。


「どうでも良いけどあなたの名前は?」

「どうでも良いのかよ……ゴッホン、スゥッ」


〈一時停止〉

この場合は普通に挨拶するべきか?それとも少しだけ頑張って挨拶するべきか……

迷いに迷った結果自ら命を絶つべきか。


〈再生〉

「俺の名前は『火神 新託』、どう呼んでくれても良い」

「そう、私の名前は『田畑たはた りん』」


彼女の名は『田畑 凛』結構な天然失礼と言ったところか。

隣人だし仲良くしたいな。容姿もかなり良い方だと思う。

黒くしなやかに伸びた髪の毛は肩にかかる位、

スラリと伸びた脚は男心をくすぐる……興奮などしていない。していない。シテイナイ……(エコー)

顔も大きな瞳に整った輪郭と鼻と口を付けて理想的な女性像とでも言わんばかりの白い肌

はっきり言ってトキメキかけた


「よ、宜しく頼むわ。同級生としても隣人としても」

「ええ、よろしく。私の事は『』とでも呼んでくれるかしら?」


「えっ?!」

「冗談よ、別に呼んでくれても良いのだけどね」


「流石にそのぶっ飛んだ難易度はお断りする」

「貴方のことはスタンダードに『あっちゃん』とでも呼ばせてもらうわ」

え、マジでか。どしたんこの子?キャラが安定しねぇ……普段の俺なら即効で勘違いしてたよな。

あっぶね


「あら、ツッコンではくれないのかしら?」

「あ、すまん忘れてた。」


「おかしいわね、都会の子はこう言った冗談が好きと聞いたのだけれど……」

「いんや、反応に遅れただけだ。まぁ、俺は都会人じゃ無いんだけどな?」


「何処出身なの?」

「俺は鳥取だよ。ド田舎過ぎてびっくりしたか?」

しかし彼女は田畑 凛は予想外にも驚いている


「そ、そう。私も出身は鳥取県なの」

え、


『やっば、運命感じたわ。結婚してくれ』

『気持ち悪いから死んでくれないかしら?』

その次の日俺は自宅で自ら命を絶った……


おっと、いかんいかん。とんでもないビジョンが見えてしまった。


「マジか、どの辺に住んでたんだ?」

「知らない男の人には家の事は話してはいけないと母親に聞かされているの」


「え、俺知らない男の人?ハートが砕けた音聞こえたんだが」

「冗談じゃない」


「お前みたいな清楚で真面目系女子が言ってくると本当に聞こえちゃうからね?」

「あらそう、でも貴方は私がこういう人間である事を今把握出来たわけだから次からは受け流す事ね。」

りょーかいでーす。


「そろそろ着くぞ」

「えぇ、仲良くしましょうね火神君。」


「お、おう。ドキッ」

「ドキって口で言ってしまっているじゃない」

こいつと話しているととても楽しいと感じてしまうのは自分だけだろうか……

慣れない女子との会話だったが何一つボロを出すことなく一般人らしく嗜むことが出来た。

火神 新託よ、成長したな。


「それと火神君、貴方はどうしてずっとズボンのチャックを開けていたの?」

「それはもっと早く教え下さいね?」


俺にとってこの新生活が良いものであることを心から願いたい。


俺には経験がある。ラブコメを求める事は詰みであり罪である。

目指すは一般高校生。


入学式編スタートだ。


〈続く〉

といいね笑











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