第8話 ミシェルの精霊契約
なぜか精霊王の契約者となってしまった私ですが、何はともあれここに住めるようになったので、まずは家を建てましょう。
といっても、私が何かするわけではありません。私には万能メイドがついているんですから。
「それではミシェル。家を建ててくださる?」
「いきなり無茶ぶりしますね。確かに魔法で建てられないこともないですけど、耐久性と持続性に難ありですね。人の手で建てたほうが確実にいい気がしますが」
「しかし、建築学なんて習っていませんわよ。木を切ったりするのはできるかもしれませんが。どうにかならない?」
「んー。そう言われましても……」
『何難しく考えているのよ。この森には精霊がたくさんいるのよ。ユミエラが声をかければみんなが応えてくれるのよ。なんていったって私の契約者なんだからね!』
「精霊さんに頼るのはいいですけど、私が魔法を使えるわけではないので。それに家の構想はミシェルの頭の中にありますし」
『ならミシェルにも契約してもらえばいいのよ。あら、あんた全属性適性があるのね。珍しいわね』
「あー、それは転生特典でいただいたものですね。精霊と契約できるならおそらくできますよ」
「それなら契約してもらいましょう。って、そんな簡単にいいのかしら?」
『いいのよ。精霊なんて大抵の子が暇してるんだから。気に入った子がいれば契約してもらいなさい』
なんと。精霊さんてお暇な方が多いのですね。どうしてでしょうか。
なぜかミシェルは納得したような顔をしていますが。
それよりも気になったことが一つ
「ティアもお暇だったのですか?」
『ひえっ!? あ、あたしは精霊王よ! 王様なの! 王様が暇なんて、あ、あるわけないじゃない!』
何やら目が右往左往しているのですが。
目が泳いでるってこういうことを言うのですね。
しかし、ティアがそう言うのであればそうなのでしょう。
とにかく今はミシェルと契約してくれる精霊さんをお呼びしましょう。
なんて声をかければいいのかしら? とりあえず思ったことをそのまま言ってみましょう。
「うちのメイドと契約してくれるお暇な方~? いらっしゃるなら私の下へ出てきてはいただけないでしょうか~?」
後ろでミシェルとティアが笑いをこらえている様子。
何かおかしなことでも言いましたか?
突如私の目の前に光が集まってきました。少し眩しいですね。
ミシェルが作成した「サングラス」というものを掛け遮光します。
次第に光はそれぞれ小さく分裂していきカラフルに色づいていきました。
「わぁ。こんなにも精霊さんがいらっしゃるなんて。光栄ですわ」
「お嬢様はのん気ですね。そこがとても可愛いのですが。こういうの見たら普通の人は唖然とすると思いますよ」
「あら。こんなにも美しい光景を前にしてそれはもったいないじゃない。わかっていないわね、ミシェルは」
「くぅ~。その誇らしげな顔、たまりません! ありがとうございます!!」
そんな恍惚とした顔で何を言っているのかしら。相変わらず言っていることだけが理解できないですね。有能なメイドなのですが。
だから他の侍女たちに残念美人て言われるのよ。
『あら、上級精霊が四人も来ているわよ。よかったじゃない』
『王が何やら人間と契約を交わしたようなので』
『我らも共にあろうと』
『馳せ参じた次第です』
『うんうん』
なんと火水風土の四大精霊さんがお越しになられたそうで。
ミシェルとは契約していただけるのかしら。
「それじゃ、契約してもらえますか?」
『『『『どうして我らがそのような事を』』』』
「おいしいお菓子がついてきますよ?」
『『『『仕方ないから契約してやろう』』』』
あら。餌付けで簡単に篭絡されたようです。
皆さん飴を食べながら嬉しそうにしていますわ。
ティアも物欲しそうな目で私を見るので差し上げました。その笑顔まさに女神のようですね。とてもかわいいです。
とにかくミシェルも精霊さんと契約を交わせたみたいなので、さっそく私たちの暮らす家を建てていきましょう!
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