嘯く(うそぶ)/Wait


怖いものはないと 嘯いてみせる

ただ世界を ただひとりで歩いてみせる

悲しいほど惨めな夜に ひとり笑ってみせる

乾いたのどを 冷たい水が癒してくれる

それだけで 何度でも生き返る


風を受け 雨に打たれ それでも倒れない

なぜなら 自分を信じているから 

なぜなら 夢をみているから

なぜなら 雨に打たれているから それでも倒れない それでも倒れない


手に入れたいものを 手に入れたと嘯いてみせる

倒したい敵を超越したって思ってみせる

好きなあの子に嫌われたって ひとり笑ってみせる

枯れ切った心を 繋ぎ止めるものは 何ですか?

ヤドリギに止まっているものは 何ですか?


選んだ道をきっちりと終える その日まで

ひもじい思いを散々したってまだ懲りず

積み上げた石ころを上から崩してみせる

まだ最初からやり直す時間はたっぷりあるから


だから

もう一度立ち上がった

風を切って歩くために

自分を誇り 相手を認めるために

そして今度こそ 誰かを愛するために

さよならをするのはいつでも出来るから


何度も何度も恥を掻いた

声は震え 足もぐらんぐらんで

心臓の音しか聞こえない

首の骨の軋む音すら聞こえてきそう

それでもまだ生きていた

呼吸をすること 忘れないで

鏡の前で数を数える

ひとつ ふたつ

それだけでいい

明日はきっといい日になるからと嘯いてみせる

世界は変わると嘯いてみせる

時が経てば傷も癒えると嘯いてみせる

何度も何度も嘯いてみせる


そしていつか知るだろう

本当の愛の意味を

日々を生きる意味を

強さの秘密を


いつの間にか雨の音が聞こえなくなって

暖かい春の日差しが 優しく頬をくすぐるように包み込んで

今まで歩いてきた道を振り返って

ひとりニコリと微笑むだろう


だからその陽が昇るまでは

ひとり嘯いてみせるんだ

それが世界で一番大事なことだって

自分は自分にだけなれるって

もう分かるだろ?

おまえのことだよ

だから

怖いものはないと 嘯いてみせる

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