てるてるポプリ

@Yasushi0mono

てるてるポプリ

チャイムが鳴る。

梅雨の切れ目に実家から届いた荷物。

一人暮らしをするようになってからは時々、思い出したかのように食料品だとかのうち日持ちがするものが送られてくる。

レトルトのものだったり、インスタントのものだったり。

あとはお米だったり、乾麺だったり。

手間が掛からず、すぐに使わずとも何かの足しに出来るもの。

そんなものをわざわざ選別しているような意図を感じる。


私だって料理は出来るし、と一人暮らしをしているなりの意地を張ったら芋とか玉ねぎとかも送られて来るようになった。

今回もそういう類のものも入っているでろう、少しズッシリとくる段ボール箱を台所まで運ぶ。


予想通りのラインナップに加え、今回は目を引くものがあった。


新聞紙に包まれた四角いもの。

封を解いてみるとそこには密封型のタッパーに入った小袋。

白いものが見えるが、視認性は悪くそれを確認しようと開けると小気味よい音とともにふわりと薫りが辺りに広がる。


この匂いは……ポプリだ。

母さんがよく、いい匂いのハーブだとか植物を混ぜて作っていた、と思う。

恐らく匂いが移らないように厳重に密封したであろうそれを解いていく。


中にあったのはポプリが中に入っているであろう白い人形。

いや、てるてる坊主だった。


こみ上げる郷愁に私は思わずスマーフォンを手に取っていた。


「もしもし、お母さん。荷物届いたよ。それで今年の夏なんだけどね―――」

雨上がりの空気と混ざったポプリの香りは思い出の夏の匂いがした。

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