転職天使

CHATO

1. ある日の天国 (プロローグ)

がらんと広く無機質な部屋の真ん中に置かれたこれまた無機質なパイプ椅子に

白いワンピースのすそを所作なくいじりながら座っている女。

髪は長く身体の線は細い。

見たところ成熟した女性のようでもあり

落ち着かなく周りを見渡している表情は幼女のようでもある。

彼女の名前はミキ。

苗字はない、ただのミキ。

いや本当はサトウだとかスズキだとかそういう苗字がかつてはあった。

便宜的に"現世"という地球上において、かつてひとりの人間として生きていた時に。

本人ももうはっきりとは覚えてはいない。

そんなある日。

また便宜的に"天国"というこの場所で暮らし始めて幾年かたったころである。





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