さまよう鎧を装備したら世界最強の勇者になりました。〜アイテムボックスのない世界、採ったモンスターは凍らせます。〜
プラスチックたろう
第1話 オークとの戦い。①
難波 大吉、(大学2年の20歳)は三体の斧を持った豚の化物(豚化)に追われて、深く生い茂った山の中を激走していた。
「殺されちゃう!殺されちゃう!追いつかれたら殺されちゃう!」
(何故、こんな事になった?僕が一体何をした?というか何故この状況になった?)
話しを戻すと、ただ日曜の朝だという事で朝飯と運動もかねて、近所のコンビニまでバナナと適当な週刊誌を買いに歩いて家を出た。それだけの普通の事だったのに、、、
ただ、そっからコンビニ向かう途中の信号を渡っていたら青なのにもかかわらずトラックが突っ込んで来て、気づいたら森の中にいて、大きな声で助けを呼んだら、やってきたのは豚の化物(豚化)だったって、、
(そっからが劇的すぎんだろ!!バナナと漫画買いに玄関出てここまで一時間もかかってねえぞ!!)
今まで高校の3年間も帰宅部で過ごし、通っている大学でも漫画が好きという理由と楽そうだからという理由で漫画研究部に入り、それはもうグダグダな大学生活を送っていた自分にとって、今の状況はまさに青天の霹靂!
心の何処かでこの先もう二度と必死に全速力で走る事などないのではないか、とさえ思っていた。
ただ、それは僕が勝手に思っていただけだった。
何故なら、今僕は誰よりも情けないツラかまして泣きながら森の中を全速力で走りまわっている。
(死にたくない!死にたくない!こんな所で死にたくない!)
僕は走りながらチラッと豚化との距離を確認する。しかし、やはり普段の運動不足がたたっているのだろう。明らかにさっきより豚化との距離は縮まっていた。
「死んじゃう!!死んじゃう!!死んじゃう!!死んじゃう!!死んじゃう!!もう間違いない!!100パー死んじゃう!!
ごめんなさい母さん!!ごめんなさい父さん!!ごめんなさい妹よ!!ごめんなさい、まだいた事もない彼女よ!!そして何より、神さまよ!!ちゃんと真面目に生きるから!!もし夢だったらお願いだから覚めて!!」
僕はテンパリ過ぎて、自分自身でもよく分からない事を叫んでいた。
そして次の瞬間、地面に転がっている岩に足を取られ、草や枯れ葉だらけの地面に大きく倒れ込んでしまう。
急いで振り返ると、そこには斧を片手に笑いながら近づいてるくる三体のオーク。
そのうちの一番近い豚化がゆっくり斧を振り上げた。
反射で鼻水や涙やこけた時についた土で
グシャグシャな顔をしていた僕は目を閉じる。
(ああっ、どうせなら死ぬまでに1回ぐらいSEXしたかったなぁ、、、、、、、あれ来ない。なんでだろう、、普通だったら今ごろ僕の首はふっとんでいるはずなのに、、)
恐る恐る目を開ける、、
すると、首が飛んだのは僕ではなく、なんと目の前にいた豚化の首だった。
首のない豚化の体は斧を持ったまま両手がダランと垂れ下がっている。
そして首がついてた体と首との繋ぎ目からは血が噴水のように吹き出して自分の体を真っ赤に塗り上げていた。
(シャア専用か!)
後方の二体の豚化に視線を移すと、二体とも自分の仲間であった豚化を見る事もなく、後退りをしながらぼくの後方に視線をやっていた、、
(まちがいない、、後ろに何かいる、、)
一体、何がいるのだろうと恐る恐る後ろを振り向いた。
するとそこには顔のない真っ黒な鎧が大きな剣を構えて、そこには立っていた。
数多くの古い傷跡や最近出来た真新しい傷跡、それに加えて打撲痕などきっと多くの修羅場を潜ってきたであろう、そのボロボロの真っ黒な鎧は一見しただけで重厚な威厳に満ち溢れていた。
そして悠然とした動きでぼくの横を通り過ぎた。
そして二体の豚化に圧力をかけるように詰めよっていく。
そして僕は驚いていた。
(鎧だけで動いてる?中に誰もいない?)
そして鎧と豚化の少しの膠着が続き、痺れを切らしたのか豚化二体が鎧に飛びかかった。
しかし鎧は鋭い身のこなしで豚化の攻撃を避けると、いとも簡単に剣で豚化の首を切り離して見せたのだ。
その動きは正しく歴然の勇者だった。
そして、そんな鎧の後ろ姿に僕は心を奪われていた。
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