第17話 コレオス警備隊

コレオスの街、王都北方にある工業を主体とする街だ。


この街を守る警備隊は2つに分かれており街の内部の取り合いまりを行い、もう一方は街の近隣にある村々を街道の巡検を行う。

街道に現れる魔物や盗賊の盗伐も任務に含まれる。


その日の早朝、当直で隊長執務室に居たジョルジュは窓から差し込む朝日にもう少しで今日の勤務も終わりかと眠気で鈍った頭を苦い茶で誤魔化していた。


この街は王領では一番の工業街である為、内外ともにそれなりの揉め事は有るがそれなりの治安であり、特に仕事が多い訳でもなくだからと言って無い訳でもない。


街道に強力な魔物が出る事は稀であり、盗賊が出ることも少ない。

他の領地から比べれば割と暇な部署であった。


ジョルジュがもう茶をもう一口とカップを手にした時、下の詰所が騒がしい事に気が付いた。

それと同時に廊下をこちらへと足早に向かってくる足音が聞こえて来る。


「隊長、サントスです」


どうやらやって来たのは副官のサントスのようだ。


「入れ」


「はっ、入ります」


「下が騒がしい様だが何かあったか」


「はい、鉱山街よりこちらへ向かっていたオルディング商会の会頭が盗賊に襲われたとオルディング商会の者が駆け込んで参りました」


「なに、クラウス殿が?」


「はい、現在直ちに出られるよう準備をさせています」


「クラウス殿は無事なのか、盗賊の規模は?」


「はい、護衛の傭兵は全員殺された模様、幸いクラウス殿は腕を骨折するも命に別状は無いそうで、盗賊は丁度野営をしていた者が助けに入り4名を討ち取り2名を捕縛してあるとの事です」


クラウス殿は運が良いな、襲われた所に手練れが野営しているとは。

だが、何故こんな夜明け前に鉱山街を出たのか、襲った者達の半数を討ち取っているのならその手練れがクラウス殿に取り入る為の策とも考え難いか…。


「クラウス殿が何故こんな時間に街を出たのかは聞いたか?」


「はい、それが…奥方のニィーナ様が急病で倒れたとの知らせが入ったとかで、予定を変更して急ぎ戻る事になったそうです。普段同行している傭兵も夜中であった為、すぐには集まらず少数で出立したそうです」


国有数の商会主も愛妻の危急とあっては冷静ではいられなかったと言う事か。


「そうか、私はすぐに出られる者と先行する。他の者は準備出来次第現場へ向かえ。それと念の為、オルディング商会へ数名行かせて警戒させろ」


「はっ、既に向かわせました。」


「相変わらず優秀で助かるよ、ルディ。では後は任せる」


「はい、お任せ下さい閣下」


「閣下は止せ、誰が聞いているか知れたものではない。面倒事は御免だ」


「はい、失礼致しました」


全く悪びれもしないルディに苦笑いしながら詰所を出た。

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