第6話 奇跡を見る、その2~遠征軍指揮官グラン・ダニエル~
遠征軍指揮官グラン・ダニエルは困惑していた。
突然の転移魔法により、この遠征軍の要である勇者が一人大軍勢の中へと飛ばされた。
遠征軍は大軍勢を前に健闘しているが、先ほどから全く前には進めていない。
そんな時に部下から報告が入った。ちょうど遠征軍の反対側に例の冒険者パーティーがいるという情報だった。
彼らはこの遠征軍への参加要請に応じず、臆病者と誹りを受けた者達だ。
ヴィジョンという怪しげな魔法を広め、自分達の冒険する様子を一般市民に娯楽のように見せつけ、ここ最近では中央政府のやり方に批判めいた事まで言っていた者達だった。
確かリーダーの名は…
「アリシア・フィリスとか言う女だったか?そいつらがなぜここにいる?!」
「は!大賢者ユーリィの指示だったと聞いております!」
「なぜここで大賢者の名前が出てくる?!」
「は!巷の噂では大賢者こそが彼らの一連の行動の黒幕だと言われております!奇妙な魔法も大賢者が創ったのであれば不思議ではないかと愚考いたします!」
「ち、そういう事か、でその冒険者パーティーがどうしたのだ?!」
「はあ…それが、その…」
「何だ!?はっきり言え!」
「は!どうやら仲間割れをしたようだとの情報です!」
「ち、くだらん!その様な話を聞いている暇など無い!」
「は!申し訳ありません!ただ、その…現在その冒険者パーティーの中の一人が、一番勇者に近い距離にて…健闘中との事であります!」
「何?」
「は!もう一度申し上げます!冒険者パーティーの中の一人が現在勇者救出の為…一人であの軍勢の中にて奮闘しているとの情報です!」
「馬鹿な!そんな事ありえん!」
「は!同行した他の冒険者達によると、現在最も救出の可能性が高いとの報告です!ハイヴィジョンという魔法で確認せよとの申し入れがありました!」
「何を馬鹿げた事を言っている!?どこの冒険者だ?!」
「全員であります!」
「貴様、何を寝ぼけたことを言っている?!」
「いえ、小官は事実を申し上げております!閣下には何卒ご再考をお願い申し上げます!」
そんな、馬鹿々々しい。
そう思いながらもグランは部下からの言われたハイヴィジョンという魔法を唱えた。
そして驚愕する事になる。
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