第9話 トンカラリンと古老
故松本清張氏が問題提起した九州の謎の遺跡、トンカラリン。松本清張氏は、邪馬台国の卑弥呼の鬼道に関係する遺跡だと主張しました。それに対して、学術調査をした大学教授から中世の用水路であるとの説が出されました。その中で、
「地域の古老に聞いたところ、用水路だと聞いている、との回答があった。作家の想像力も古老の知識には、敵わなかった。」旨がありました。
しかし、松本清張氏も、
「地域の古老に聞いたところ、何のための遺跡か、聞いたこともない、ということだった。」
と書いていますし、中世用水路説に疑問を持って、研究・調査した郷土史研究家は、
「古老達は、用水路だという話は、聞いたことがないと語っていた。」
と記しています。一体、「古老」とは誰のことだったのでしょうか?考えてみれば、私など、尋ねられて、知らないが言えなくて、つい、
「そう言えば、聞いたことがある。」
などと言ってしまいがちです。そういう方も多いのではないでしょうか?それに、記憶は嘘をつくものです。
こんな話もあります。自然研究家の調査で、老婦人が、
「最近は、蛍は全く見かけなくなりました。私の子供の頃はいっぱいいたのに。」
と語ったところ、そばで聴いていた孫娘が、
「お祖母ちゃん。この前、近所の小川の蛍の見学会に一緒に行って、蛍をいっぱい見たじゃないの!」
「あれ、そんたことがあったっけ。」
世間の話や相手を喜ばしたい、あるいは同調して、記憶が、発言が変わることは多いようです。
また、実際の子供の頃の成績よを、実際より、ずっと良い成績だったと記憶していたり等自分に都合がいいように記憶を改変している人の方が、元気で長生きという調査結果を聞いたことがあります。
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