《閑話》ちびネコ・リンの「ふしぎ」

 リンだよ。

 おじいちゃんとおばあちゃんにかわれている、ブチもようのネコだよ。


 元はせまいところにいたのを、ナオが見つけてくれて、いろいろあって、ここに来ることになったんだ。

 ナオのおうちと同じくらい、今いるこのおうちはたのしいよ!


「みゃ~ん」

「ん、遊びたいのか?」


 おじいちゃんはやさしくてきびしい。


 ちかくに行くとボールやオモチャであそんでくれるけど、おうちの中のものをカジカジしたり、つめでカリカリするとすごくコワイかおで「こら!」っておこるの。

 見たらみんなビックリするとおもうよ。


「みゃあ」

「もしかしてお腹がすいたの? ほんのちょっとだけよ?」


 おばあちゃんはいつもニコニコしてる。

 おやつをくれるし、なでてくれるし、ねどこに良いにおいのタオルもしいてくれる。


 「ふゆ」っていうものがきて、どんなにさむくなった日でも、二人がいてくれたらリンはポカポカになる。

 ずっといっしょにいたいな。


 そうはなしたら、ナオがおしえてくれた。それは「好き」だよって。

 うん、リンはおじいちゃんたちが「好き」。

 二人も、リンのこと「好き」だったら良いな。



「にゃ~」


 ナオは時々あそびに来てくれる。おうちの中でひなたぼっこしたり、コタツでぬくぬくしたりする。

 それに、おそとにもつれて行ってくれるんだ。


「ナオ、よく来たな。リンを迎えに来たのか?」

「気を付けてね。ナオ、リンのことよろしくねぇ」

「にゃあ」


 おじいちゃんもおばあちゃんも、リンだけだとお出かけさせてくれないのに、ナオといっしょなら出してくれる。

 まだリンがちびだから? でも、もうナオとそんなにかわらないよ?


「ねぇ、どうして?」

「ぼくは大人だからじゃないかな」


 おとなって知ってるよ、おっきなネコでしょ? ナオは小さいのにおとななの?


 さいしょは分からなかったけど、だんだん、ナオには「ふしぎ」があるってリンにも分かってきた。

 ネコのあつまりに行くと、みんなナオのこと「ナオさん」って呼ぶんだよ。ふしぎでしょ?


 それに、ちかくのじんじゃに行ったときだって、ナオが「こんにちは」ってあいさつしたら、だれもいないのに「こんにちは」ってかえってきたんだよ。


「この子はリン。あたらしい友だち……ううん、かぞくだよ。リン、あいさつして?」

「え、うん。こんにちは……?」

「こんにちは。リン、これからよろしくね」


 やっぱりだれもいない。けど、やさしくてあたたかそうなこえだった。

 あれはだれだったのかな?


 きっとリンはまだ小さくて「子ども」だから、「ふしぎ」がいっぱいなんだ。

 もっと大きくなったら分かるはずだよね。

 うーん、はやく大きくなりたいなぁ!

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