ブチもようの拾いもの・前編
その日もぼくはショータと朝の散歩をしていた。
足元には落ち葉が目に付くようになり、通りのあちこちでコスモスのピンクや紫が優しく出迎えてくれる。
近寄ってかすかな匂いを楽しんでいると、ショータが隣にしゃがみこんで、「あとで
うん、お
「ナオ、どうかした?」
そんな時だった。何かが聞こえた気がして、ぼくの片耳がピクリと動いた。
どこからだろう、……あっちかな?
「えっ、待ってよ、どこ行くのー?」
30秒もしないうちに、ぼくは音の発生源を見付けた。近所の公園の草むらの奥だ。
がさがさと落ち葉をかき分けながら進む。
あわてて追いかけてきたショータにも「にゃー」と鳴いて居場所を知らせると、汗ばんだ顔を覗かせた。
「もう、急に走り出さないでってば……え、これって」
木の影には段ボールがポツンと置かれている。中では「にぃにぃ」と鳴く一匹のブチもようの毛玉――仔猫が居て、こちらを大きな瞳で見上げていた。
◇◇◇
「にぃにぃ」
「ひどいことをする人もいるものね」
ママさんはショータの腕の中の小さな命を見るなりため息をつき、ぼくに「ご苦労さま」と声をかけてくれた。
そう、ちびネコを放っておくわけにいかず、連れて帰ってきたのだ。
おまえもチビだろうって? ぼくより小さいから良いんですー。
今回が初めてのことじゃない。
ぼくはこれまでにも時々こうやって捨てネコを見付けては
「軽く体をきれいにしてからミルクをあげてくれる?」
「わかった」
ショータが神妙な顔つきでうなづいて、おフロ場にちびを運んでいく。あちこち汚れていたから、
ぼくはぼくでママさんに抱えられ、足を拭いてもらった。
ちびは汚れを拭くとだいぶキレイになった。
最初は慣れない場所への不安からオドオドしたり、おフロ場でも少し暴れたりしたみたいだけど、ミルクを出してやるとあっという間に飲み干した。
「よっぽどお腹がすいていたのね。……さてと、これからまた忙しくなるわ」
ママさんはそう言いながら、スマホを取り出して構える。画像を撮影して、貰い手を探すためのポスターに使ったりするためだ。
撮られる
その頃にはタカヤやルカも起きてきて、ちびネコを見て驚いたり、捨てた人に怒ったり、今後について話し合ったりしていた。
とりあえず、日中に動けるママさんがちびを動物病院に連れていったり、必要なものを買いに行ったりするらしい。ネコ用のごはんやグッズはあっても、ぼくは普通のネコとは色々と違うからね。
ちびはすぅすぅと寝息を立てている。早く、優しい飼い主が見付かると良いな。
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