天国は誰のためにあるのだろう
生き物たちの写真を撮り始めてから
タブレットは生き物写真でいっぱいになった
個人的には標本よりも
写真の方が虫たちが生き生きとして見える
目に光が宿っていて
今にも歩き出しそう
そんな虫たちの写真を眺めつつ思う
今までに出会って撮りためてきた虫たち
写真の中で生きている虫たち
ほとんどの子はもうとっくに亡くなっているのだろうなと
そう思いながら多くの写真を眺めると
死と生の境目が分からなくなってきて
死の世界と繋がれそうな気がする
虫たちは天国でも同じ姿をして
飛んだり鳴いたりしているのだろうか
それとも光になっていたり
全然違う姿をしているのだろうか
それともすぐに生まれ変わってまた
どこかにいる虫になっているのだろうか
魂の形ってどんなだろう
人間の天国には
殺虫剤やゴキブリホイホイがあるのかな
それとももう虫やカビや菌はいなくて
見渡す限り人間だけの楽園かな
あるいは可愛い動物たちと
美しく咲く花だけがいるのだろうか
殺虫剤やゴキブリホイホイがある天国か
多くの人が好む美しいものと
人間が認める「良い人」だけがいる天国か
ムカデやゴキブリやカビや菌も一緒に
みんな共存している天国か
どれが人類にとって理想の天国で
誰が天国へ行ける「良い人」なんだろう
花が美しいのは虫を呼ぶため
虫媒花には虫の助けが必要らしい
花が咲くのは人のためではなかった
そんなことすら忘れそうになる
天国には花が咲き乱れ
川が流れているという
花がいるなら虫もいるはず
天国の花はもう繁殖のために咲いているのではないとしても
虫たちと花は地球での暮らしを分かち合った友ではないのか
葉っぱや花を食べる虫もいるけれど
それは人間も同じ
天国にはハチもゴキブリもアブも蚊もいるはず
美しいって何だろう
善って何だろう
天国は差別主義者だろうか
完璧主義者だろうか
もし天国が差別主義者でなく完璧主義者なら
天国には人類の見たことない光景……
「本来の世界」が広がっているかもしれない
天国はニワトリや牛や豚でいっぱいかも
滅びた生き物たちの楽園かも
天国が差別主義者なら
多くの「人間」が綺麗だと思うもの
「人間」が不快な思いをしないもの
心地の良い素敵なもので溢れているだろう
天使はみんな金髪で
目の青い白人なのだろうか
美しい花々は片側であって
もう片方は虫だった
花だけ愛でるなんて不公平だな
天秤が傾いてしまう
花は虫のために咲いていて
世界には虫が必要だった
人間がいなくなっても地球は大丈夫だろうが
かえっていなくなった方が安泰かもしれないが
菌や虫がいなくなった世界は大丈夫じゃないのだろう
人間より大切な生き物を減らして
数を増やしてゆく人間って何だろう
天国って何
人間のためにあるのだろうか
それとも生き物たちのためか
これからちょっとずつ人間の敷地を
野生の生き物たちに返すのだろう
人間が連れてきた生き物
外国のカッコいい動物
品種改良された美しい花々だけじゃなくて
名もなき生き物たちに返すのだろう
外国の虎は知っているのに日本の生き物のことは知らない
となりにいる虫の名前も生態も
知らない興味がない
いつかは生き物を珍しさや美しさや知名度や人気
目立つか地味かで見ずに
最近コロナの影響で草刈りや剪定ができていないところがある
道や花壇から野草が伸びている
見たことない花
あちこちから生える草
剪定されずに伸びる植物
なんとなく嬉しそうに感じるのは気のせいだろうか
在来種も外来種も関係なく
咲き乱れる
もしも人間に何の試練もなく
すべての人が豊かで平和であれば
人間はどんな行動に出るのだろう
自然を自分たちの好みで作り替えてしまうのだろうか
そして地球は壊れるのだろうか
カッコいいからと虎を飼おうとしたものの
手に負えなくて世話を放棄する人がいるそうだ
お金があれば相手を理解する気がなくても買えてしまう
物でも動物でも
いつかすべての存在が
本当に必要とされる場所へたどり着けたら嬉しい
世界のゴミがなくなりますように
蘇って自然に帰りますように
「ゴミ」を出すのは人間だけなんだろう
自然界では誰もゴミじゃなかった
最終の行き先が埋め立て地じゃなかった
人種差別がおかしいと言われるように
生物種差別もいつかなくなるのかもしれない
未来の世界では当たり前のように人がすべての生き物を愛でていて
みんなの意識が高いのかもしれない
そうなったとき私は
その光に追いつけるだろうか
戦争中に戦争がいけないと言って非国民呼ばわりされた人は
今多くの人が平和を望む世界を見て
どんな気持ちだろうか
「すべての生き物が大切」と
当たり前のように多くの人が言って
虫や野草の暮らすエリアが多く残された世界になったら
生き物好きだった人はどんな気持ちだろうか
差別もいじめも全部
人間の生き物への態度に現れていると思う
「人間だけがここまで進化している」と他の動物を見下す限り
差別は人々の根底にあって
いじめもなくならない気がする
地球を壊してしまうかもしれない生き方をしている人間と
自然にそって大事な役割を持って生きている生き物と
どっちが世界にとって大切な存在だろうか
天国は誰のためにあるのだろう
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます