告白

水谷一志

第1話 告白

今日、私は告白する。

「……愛してる」と。


私は彼と出会うまで、特に何かに熱を上げることなく、人生を送ってきた。

どこか、何に対しても冷めたような態度をとる自分がいた。

でも……、そんな私の人生は彼によって変わる。


彼との出会いは、突然だった。

それはたまたま私が図書館に行った時のこと。

私は特に本を探していたわけではないが、たまたまとある本を見つける。

その本は名前くらいは有名なので知っているが、内容に関しては全く知らない本。

私がその本の辺りを見ていると……。

 「本、好きなんですか?」

たまたま声をかけられる。


 その一言で、私はその本を読むようになった。

「最初は抵抗があるかもしれませんが、意外と面白いですよ。」

少し背の高いその人はとても優しそうな人。

そして私は本を借りて読み進める。

そのうち、その本の世界観にどっぷりはまっている自分がいた。

それは私の知らなかった物語。

 私はそれを楽しむと同時に、たまたま出会ったその人のことも頭をよぎり、

『彼について、もっと知りたい。』

……そんな二つの感情を持ってしまった。


それから、身長の高いその人とは何度か食事に行く仲になった。

私は昔から会話では聞き役になることが多いので、話題はいつも彼の話。

まあそうでなくても、私は自分の話はしなかったであろう。

なぜなら、私は彼のことをもっと知りたかったから。

 そして私は食事を終えて家に帰った後、また本の続きを読む。

すると不思議なことに、その瞬間彼とつながっているような気さえした。


 そして私はまたも食事に向かう。

見るからに穏やかで優しそうなその人は会話もとても上手だ。

私が相槌を打つだけで何も自分のことを話さなくても、その人は色々と話をしてくれる。

そして私は彼についてもっと詳しくなる。

……詳しくなり、もっと彼のことが好きになる。

これは、もっと深みにはまっていく、ということなのかもしれない。


 そして私は他の本も勧められる。

その本を私はどんどん読んでいく。

そしていろんなことを私は感じる。

 それらの感情は全て、大げさかもしれないが彼につながっているような気がした。


 しかしここで私の中に葛藤が生じる。

私が、『愛してる』と言ったら、びっくりするのではないだろうか?

何ならもう会ってもらえないかもしれない……。

それほど私は、今の私は自信がない。

 でも、そんな時に思い浮かぶのはあの人の笑顔。

本当に、優しそうな笑顔。

 ……そして、彼の生きざま全て。


さあ、準備は整った。

今日、私は告白する。

 そして私は【実家】に向かう。

……【私の両親】にはっきり言おう。

「私、【イエス様】を心から愛してる」

「私、【クリスチャン】になったの」


PS 図書館で勧誘されるとは思いませんでしたが。  (終)

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告白 水谷一志 @baker_km

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