微睡み王子はお眠り中( ˘ω˘)スヤァ
AKIRA SONJO
第1章
第1話兼プロローグ
────
────────
───────────────
取り留めのない意識が纏まり始め、心地よい夢の残滓は溶けるように消えて行く。
夢とは違う重みの感じる身体。
柔らかく手触りの良い寝具に、負担なく身体を預けながら瞼を開く。
明かり取りの窓から優しく照らす光が朝を知らせてくる。
そして朝を知らせる役目は持つのは何も太陽ばかりではない。
「おはようございますリース様。本日も良い眠りは得られましたか?」
主の心地よい寝覚めを妨げぬように、物音を立てず気配も薄いメイドが寝室へと入り朝の挨拶を行う。
美しく、ともすれば冷たいとさえ感じさせる美貌は優しげな微笑を浮かべ、真実主への敬愛をこそ感じさせる。
控え目ながら、その美貌を引き立てるメイド服に身を包み、手には適温のモーニングティー。
用意されたお茶をゆっくりと飲み下しながら、主──リースは答える。
「うん。とてもよく眠れたよ。このベッドの出来はかなり良いね」
ティーカップを片付けながら、着替えの準備を整えるメイドは答えに心底幸せそうな笑みを浮かべ、
「それは良うございました。
ではリース様。いえ、リース殿下。本日は何をなさいますか?」
と主──この国の第7王子のスケジュールを確認する。
「そうだねメア、何から始めようか」
そう返した彼は、ベッドから立ち上がり、楽しそうにリースの着替えを行うメイド──メアの揺れるヘッドドレスを見ながら、ぼんやりと思い起こしていた。
前世から持ち越したこの人格が、はっきりと目覚めた日のことを…………。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます