絵日記は拾われる、僕の手の中に

@koyamesi

第1話 あるノートと教師

ある蒸し暑い日のこと。

私は一冊一冊丁寧に生徒のノートを開いていく。

私が中学校の先生になってから3年。だいぶ夏休みのノートチェックには慣れてきた頃だった。


〜僕の夏休みノート〜


そう書かれたノートが混ざっていた。


私が出した宿題は数学。数学のワークをこのページまでやってこいと言う内容のものだった。


他の人達は、〜数学ワークノート〜など簡単なことを書いている。


私は間違って違うノートを出したのでは?と思いつつノートをパラパラとみてみる。


中は小学生が書いたかのような、絵日記であった。


今日は、友達とプールへ行った。と書いてあり、次のページにも友達とプールに行った。と短い文章が書かれていた。


私はもう読むのはやめようと思ったがなぜかそのノートを読む私の手は止まらなかった。


読み進めるほどに文章の構成、そこに書いてある絵のうまさは上がっていった。


最後のページ。


〜僕らの最高の夏休み〜


これまでの夏休みは、とても楽しかった。


みんなで一つになり、思い切り楽しんだ。そ


んな些細なことがどうしようもなく楽しかっ


た。みんなといられることが嬉しかった。


本当に最高で最悪な夏休みだった。



そう書かれていた。


そのページには、絵ではなく5人の男女が笑っている写真があった。


その中の4人は若い生徒だか、一人は先生らしい人物だった。


みんな楽しそうに笑っているが、その目には涙があった。


苦しそうな、楽しそうな、そんな顔をしていた。


先生らしき人物はやりきれなかったとでも言いそうな顔をしている。


私はそこで一つのことに気がつく。


「あれ?この先生って、、、、」

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