雪と本

4seasons

第1話

雪は未だ七五三である。おしゃまな格好をしている。靴はそのままに格好である。


その靴のままにおしゃまな彼女は立ている。

「はい こっちを見て」

「はーい」


「いくよ チーズ」

懐かしいフレーズだ。お爺ちゃんとお婆ちゃんと一緒に神社に来ている。お母さんとお父さんは仕事の用事で後から来るということで急な用事だったので、お爺ちゃんとお婆ちゃんが来てくれた。


でも雪はお爺ちゃんが大好きだったから余計喜んでいた。

「カルマン竹輪部」竹輪部なんで部で終わる。部なので小口が膨らむのである。プクゥーと頬が膨らむのである。


「何やってるの 雪 顔が膨れてるよ」

「え 本当に」笑顔

お茶目で可愛い顔が全てを引き取る。笑顔で全て終了である。


「あれっ 😛靴が違うよ 雪😐」

「あっ 履き違えちゃった」


「いいよ 下を映さないから」

「じゃあ はい チーズ」

寒川神社に行った。一ノ宮である。写真を撮った。

屋代が出て行った。一風変わった外見の屋代だ。


そこにサイコロが紐に繋いで吊るされている。それに引き継がれた雪が一目散に駆けつけた。


「どうしたんだい そんなに急いでどこに行く」

「・・・」


屋代に向かって一直線である。履き慣れた靴がストップさせず、流暢に足を回転させてくれる。


どんどん離されていく。人混みの中を右に避け、左に避けて屋代の前にたどり着く。


ジッと見つめる。サイコロを

「ねぇ どうしたんだい?」

「笑顔 あれなに?」


「お嬢さん 名前はなんでいうの 親は」

「いないよ 名前は森雪」


「なんか聞いたことある名前だね」

「漫画のヒロインだよ」


「森だから雪にしようで決まったんだって」

「そうなの?」


「これ欲しいの?」

笑顔で応えた。「うーん」


「これは売り物じゃないんだよねぇ」


祖父は雪を探す視点が一箇所で止まった。屋代の前である。ゆっくりと祖母と一緒にその場所に行った。


雪は楽しげに話している。祖父母が屋代の前に着いた頃には友達かよというぐらいの親しさであった。


「それが欲しいのかい」

「これ売り物じゃないだって、本のおまけなんだって」


「その本 いくらするんだい」

「値段はついてないっていうんだよ おかしいよね」


「いくらで売ってるですか?」祖父は屋代の男に向かって話かけた。

「自費出版なんですよ 見ていたければ分かると思いますけど」


皮でできたハードカバーの本である。とても凝った本に出来上がっている。


「で何冊売れたんだい」

「そういうわけじゃないくて、ボランティアみたいなものです 一冊も 話もしたことがないです」


「いくらで売る。買う気はある」

「そこまで言うなら 1万円で」


「本当かい じゃあ買おうと財布から1万円札をだした

これで ところでどんな文章が載っているだい」

「それもわからないです 友人 亡くなった友人の肩身だから中を見るのが怖い感じがして」


「そうか まぁいいか でこれは 彼からのプレゼントみたいなものだそうです」


祖父は雪に腰を屈めてサイコロの繋がれた暇を首にかけてあげた。


雪は喜んでいた。

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