S&S!

京高

S&S!

 携帯式の高性能な端末の普及によって敷居が下がったことにより、ここ数年でeスポーツの認知と普及は爆発的な広がりをみせていた。


 そんな追い風の情勢に乗って、とある作品が公開されることになる。


 『ショットスラッシュ』。


 VR技術を併用して、プレイヤー自身が舞台となる場所を動き回ることができるという代物である。


 モードは主に三つ。


 これまでのゲームキャラと同様に物理法則を無視したような動きすらも可能となる『フィクション』。


 現実世界の法則に則りながらも育成やアイテム等によって時には非現実的な動きをすることも可能な『ゲーム』。


 そして最後に、脳波の入念な読み取りによってプレイヤーの現実そのままの能力を再現した『リアル』。


 どのモードも盛況であったのだが、『フィクション』は運営側が用意したキャラクターのみ使用できるという制限――それでも三十を超える様々な特性を持つキャラクターたちが用意されていたのだが――があり、『リアル』でもそのまま現実の能力が反映される――外見は身体バランスを除いて変更可――という側面を併せ持っていた。


 そのためか、初期状態が同じでやり込みによっては比較的簡単に格上打倒ジャイアントキリングが可能な『ゲーム』が特に盛況であった。


 内容自体はよくある対戦物で、最大八人のバトルロイヤル形式で戦うことができる個人戦に、十二人までを一チームとしたチーム戦、こちらは最大で四チームまで同時対戦が可能だ。


 そして最大百人同士の二百人がぶつかり合うことになる団体戦と、各種取り揃えられていることも人気の要因の一つだろう。


 当然ながらランキング制度もあり、希望すれば誰でも一覧に名前を掲載することができた。


 まだまだ説明が続いてしまうが勘弁して頂きたい。


 使用できる武器は主に二つ。タイトルにショットとスラッシュとあるように、銃を始めとした遠距離用の物と、剣などの近距離用武器である。


 ただし実在のメーカーからの協賛を受けている訳ではないので、あくまでもそれらしい武器という扱いとなるが。


 そもそもレーザーガンやビームソードといった光学系の武器まで取り揃えてられている――どのモードでも使用可――のだから、細かいことを言うだけ無駄である。


 そんな各種の中から気に入った近距離用と遠距離用の武器を一つずつ選ぶ――『ゲーム』モードでは内部通貨を稼いで購入する――形式となっていた。


 さて、実はプレイヤーが選択できるものとして、もう一つ重要なものが存在する。プレイヤーの補佐を行う『AI』だ。


 こちらは人工知能を研究開発する各企業との協力関係にあり、性格や容姿そして能力の組み合わせは武器の種類に劣らないのではないかと言われるほどに多くのものが用意されていたのだった。


 AIの仕事を大別すると周辺の地形や対戦相手の居場所を探るナビゲーションと、戦闘を有利に進めるためのサポートの二種となる。


 当然優れている者ほど希少性レア度が高く、加えて『ゲーム』モードでは成長度まで設定されている程の力の入れようだ。外見だけは似せたモデルガンや模造刀のような武器たちと比べると正に雲泥の差である。


 余談だが武器もAIも必須ではないので、なくとも戦闘自体は可能である。


 が、当然のごとく難易度は跳ね上がるので、同条件同士での縛り対戦でもなければまともな勝負にはならなかったりする。


 居場所が常に表示されているミニマップと、数十メートル離れた位置から狙撃できる武器を持つ相手に丸腰で挑むことを考えれば、どれだけ無謀なことなのかが理解して頂けるのではないだろうか。






~○△□◇~○△□◇~○△□◇~○△□◇~






『マスター、断れるはずなどないのですから諦めが肝心なのでは?』


 そんなAIの声がとある一室に響く。人の声と間違わんばかりのその流暢な発音は、間違いなく高性能の証である。


 対して話しかけられたプレイヤーは面白くないという感情を隠そうともせずに不機嫌そうに顔をしかめていたのだった。


『……そんなに嫌なのであれば、最初から話を蹴っていれば良かったではありませんか』


「いやだって、『リアル』だと『ゲーム』とは違って『お千代さん』のパワーアップができる機会なんてほとんどないし……」


 マスターであるプレイヤーの言い訳に、彼のAIである『お千代さん』は虚空に投影された窓の中で大きくため息を吐いた。


 VR空間内であるからこそできる芸当である。


 ちなみに、なんとも古風な名前ではあるが、右側サイドに金髪のメッシュが一房入った明るめの茶髪で、顔立ちの方も目鼻立ちがくっきりとした今時の顔つきとなっている。


 身に着けている衣装の方も着物どころか和の要素が一つも見当たらないライダースーツのようなもので、現実ではなかなかお目に掛かれないグラマラスな体形が露わとなっていた。


 まあ、大抵は首から上しか表示されないので、そのナイスバディを目にする機会はマスターである彼でさえほとんどないのであるが。


『パワーアップと言っても公平性を保つために本戦ではほとんど使用できないという話ではありませんか。そんな役に立たないもののために機嫌を損ねてまで参加するなど愚の骨頂です』


「うぐっ!?」


 ずんばらりんと真っ向から切り捨てられて、言葉に詰まるプレイヤー。身長が百七十センチに届くかどうかという中肉中背の体格――こちらは現実そのもの――な上に目立つ部分のない平均的な顔つき――こちらはわざとそうなるように手を加えている――であることとも相まって何ともみすぼらしい雰囲気を醸し出している。


 これで『リアル』の個人戦ランキングでは、時に十本の指に入ることもある実力者なのだから、世の中というのは分からないものである。


 S&Sプレイヤーであれば『KAZUカズ』という名を挙げるだけで、十人の内八人は彼のことだと思い当たるくらいのビッグネームなのだった。


 余談だが、『リアル』上位陣には何故か『COW』や『○×OX』、『MOU』に『GYUU』と牛関連の名を持つプレイヤーが連なっていたりするのだが、全くもってどうでもいい話であるので、ここではこれ以上深く掘り下げることはしない。


『ともかく、既に報酬であるパワーアップユニットを手にしているのですから、文句を言うのは筋違いですね』


 止めとばかりに淡々と事実を告げられたところで、KAZUは本格的にノックアウトされてしまった。


 そう。前払いとばかりに運営から贈られてきた参加報酬を、彼は受け取ってしまっているのである。実際のところ、これがないと始まらないという部分もあるのだが、あらかじめ報酬を先払いした運営の方が一枚上手だったと言える。


「うう……。分かってる。分かってはいるんだけどさあ……」


 それでもなお愚痴らずにはいられない、ということなのだ。


 なぜなら、彼が参加を余儀なくされているのが、『ゲーム』や『フィクション』といった他モードのプレイヤーとの対戦だからである。


 このモードの違いは基礎能力の違いに直結している。


 一つ例を上げよう。二十五歳から三十四歳の一般男性の垂直跳びの平均値は五十五センチ程であるそうだ。プレイヤー個々人にもよるが、『リアル』モードでは当然そこから大きく隔たることはない。


 ところが、他のモードとなるとその数値を軽く超えて人一人を越えるくらいであれば難なく熟してしまうのである。


 つまり、ワイヤーアクションばりの縦横無尽な立体起動を行う相手と戦うようなものなのだ。


 モチベーションが上がらないどころか、絶望してしまいたくなるくらいの圧倒的な能力差である。


 その差を少しでも縮めるために提供されることとなったのがAIのパワーアップユニットだったという訳だ。


 とはいえ、このイベントを企画した運営はともかく、それでも観衆の大半は一方的な戦いになることを楽しみにしていることだろう。


 場合によっては嬲り者にされるかもしれず、生け贄に捧げられる側からすれば溜まったものではない話である。


『しかしサービスを開始して以降、『リアル』だけは徐々に参入者を減らし続けてきていますから。このままだと廃止されてしまうのは時間の問題でしょうね。苦肉の策であることは否めませんが、運営のこの一手は決して悪いものではないと言えるでしょう』


 お千代さんの言葉通り、現在『リアル』モードはじり貧となりつつあった。


 弱者である『リアル』のプレイヤーが善戦してみせれば、大量の新規参入者を得ることだってできるかもしれず、ボコボコにされて笑いものになってしまう危険性がある反面、大きなチャンスでもあるのだ。


 お千代さんのパワーアップユニットに釣られたことも大いにあるが、圧倒的不利だと理解していたにもかかわらずKAZUが今イベントへの参加を決めたのは、『リアル』モードを廃止させたくはないという想いからだった。


「このまま悩んでいても仕方がないか。とりあえず明日に備えて今日は落ちることにするよ」


『はい。事ここに至っては多少策を弄したところで無駄でしょう。体調を万全にすることを心がけてください』


「後ろ向きなのか前向きなのか良く分からない応援、どうもありがとう」


 そう言って苦笑しながらログアウトするマスターを見送ると、お千代さんはパワーアップした己の機能を十全に発揮できるように確認を進めていくのだった。






~○△□◇~○△□◇~○△□◇~○△□◇~






 そして翌日、ついにイベントの当日がやってきた。


 内容は十二人フルメンバーによる三つ巴のチーム戦――二勝先取したモードのチームが勝ちとなる――と、一対一によるトーナメント戦の二種類である。


 KAZUはトーナメント戦にノミネートされており、しかも運の良いことに一回戦免除のシード枠に割り振られていた。


 だが、ここでまさかの波乱の展開が起きる。


 何と彼との対戦相手を決めることになる一戦の相手がどちらも『リアル』から参加したプレイヤーとなってしまったのである。


 しかも抽選を三回やり直しても同じ結果となってしまった。このため客観性を得るために運営が観衆に是非を問うたところ、満場一致でこの結果が指示されることになったのだった。


「これで『リアル』からのプレイヤーが決勝進出することが確定となった訳か……」


『優勝が二の次であるマスターたちにとっては良い流れとは言えませんね』


 KAZUたちに科せられた目標は、『リアル』プレイヤーでも他モードのプレイヤーともやり合うことができると観衆に見せつける、もしくは思わせることだ。


 しかし、この決定でその機会すら奪われることとなってしまった。


「俺たち身内同士のバトルで盛り上げると言っても限度があるだろうし……」


 いくら参戦人数が少なくなっているとはいっても、星の数ほどの対戦がこれまでに行われてきているのだ。公式や個人によって各種サイトに上げられているベストバウト動画以上の接戦が早々行えるとは思えなかった。


 更に八百長を防ぐという名目で他の出場選手に会うことは元より、控室となっている部屋から出ることや、S&S内部の公式以外にネット接続できなくなっている点も痛い。


「まさかAIのパワーアップ状況の共有すらさせてもらえないとは思わなかった」


『これは本格的に『リアル』を廃止しようとしている勢力がいると仮定しておく方が良いかもしれません』


 採算が取れない『リアル』モードを廃止させようとする流れが運営内にあるのではないか。そういう噂は以前から実しやかに囁かれていた――運営側は当然のように否定している――ことだが、明らかに自分たちの不利な展開となったことで彼らの中では途端に現実味を帯びてきてしまっていたのだった。


「何はともあれ、やれることを精一杯やるだけか」


 どう足掻いたところで彼はイベントに参加した一プレイヤーでしかない。最終的には、渡された手札でいかに全力を発揮することができるかに尽きると結論付けるのだった。


 そのためには対戦相手の情報を得ることが不可欠となる。KAZUは一回戦第一試合の映像を食い入るように観察していた。試合終了後も再度見返すつもりでいる。


 他の試合は見ない、いや、見る余裕がないという方が適当か。モードが違うために動きに全く予想がつかないということもあったが、何よりも出場することになる二回戦第一試合――準決勝第一試合でもある――を勝ち抜ける保証がどこにもなかったためだ。


 なぜなら対戦相手となるだろう二人、『GOBO』と『KMKR』はどちらもランキングではKAZUよりも上位の五位以内に常に入っている猛者だからである。


 実際過去の対戦成績でもGOBOとは一勝五敗一分け、KMKRとは二勝七敗と大幅に負け越している。どちらが勝ち上がってくるにせよ順当にいけば彼の負けはほぼ確実であり、賭けの方も前評判の段階から大穴扱いされる程だった。


 こうした地力に勝敗が大きく左右され、また想定外の展開も起こり難いということが『リアル』モードの不人気の要因の一つとなっていたのだが、これと言って用対処方法も見つかってはいないのが現状である。


 そうした評判についてはさておき、モニターの中では古今稀に見ると言って良い程の接戦が繰り広げられていた。


『お互いに手の内を知り尽くしていると言われるはずですね』


 お千代さんの言う通り二人はお互いを良く知っていた。単純にランキングが似通っているためにマッチングの機会が多く対戦経験が多いということもあるのだが、それ以上に同じギルドに所属しているためである。


 余談だが、チーム戦に出場しているのも二人と同じギルドのメンバーである。


 お互いの姿が見えた瞬間に、二人の手にしていた銃口が火を噴く。


 直後二人のほぼ中心の位置で甲高い音が鳴り火花が散る。何と互いの銃弾が命中して弾きあってしまったようだ。


 常識を無視するような他のモードであっても、滅多に発生しない珍現象に会場中から歓声が巻き起こる。


 一方で、これまでも二人のことを見続けてきたKAZUには、それが示し合わせて行われたパフォーマンスであるということが理解できてしまったのだった。


「銃弾で銃弾を打ち落とすとか、狙ってできるものじゃないぞ……」


 それでも神業の類であることに変わりはない。射線が確実に重なり合うようにすることはAIの補助さえあればできないことはないだろう。


 だが、実際にその軌道上に銃弾を放つとなると、並大抵の腕前でできることではない。


 KAZUとしても前半はパワーアップしたお千代さんのサポートがあれば可能だと思ったが、後半を再現できる自信は欠片も持ち合わせてはいなかった。


 しかも二人が使用していたのは発射時に反動を伴う実弾系のものだ。ほんの少しのズレが失敗に、最悪は同時ノックアウトになってしまう危険性すらあったのである。


 まあ、それはそれで会場を沸かすことになったのであろうが。


 その後も一進一退の攻防は四十五分の制限時間ぎりぎりまで続いた。


 結局お互いに弾切れとなって以降は強引な接近戦となり、最後はビームソードによって実在剣ごとGOBOを切り裂いたKMKRが勝利をもぎ取ることになったのだった。


 長時間に及ぶ熱戦の息吐かせぬ攻防に、観衆の評価は一変したかに見えた。しかし、それも『フィクション』対『ゲーム』の第二試合が始まったことで再びぐるりと逆転してしまう。


 『フィクション』より参戦したのは同十ながらも効果力がウリのキャラクターで、面どころか空間そのものを制圧するかのような圧倒的な砲火によって『ゲーム』プレイヤーを追い詰めていった。


 そのまま押し切ることになるのでは思われたのも束の間、『ゲーム』プレイヤーがリロードの一瞬の隙を突いて姿消しのスキルを発動し、そのまま背後に回り込んで瞬殺という逆転劇をやってのけてみせたのだった。


 対して、第三試合は高機動キャラクターを操る『フィクション』プレイヤーが縦横無尽に動き回ることで終始場の主導権を握り続け、『ゲーム』プレイヤーからの反撃をいなして勝利する。


 と、どちらも『リアル』では成し得ないド派手で迫力がありつつも、時には意外性すら持ち合わせた対戦となったため、最終的に一試合目の評価は「頑張ってはいたけれどやはり地味」で落ち着いてしまったのだった。


 そんな中、KAZUは当初の予定の通り他の試合には目もくれずに第一試合の動画を繰り返し見続けていた。


 VRの特性上、肉体的疲労はないに等しい。しかしながら四十五分間を目一杯に戦ったことで精神的な疲労は大量に蓄積されていることだろう。


 KMKRはギルドメンバーであり親しい間柄でもあるGOBOを降したことで調子を上げているとも考えられるが、それは確実に残されており枷となっているはずだ。


 しかも同じ『リアル』からの参戦者とはいっても、過去に何度か対戦経験があり顔を見知っている程度の間柄でしかない。


 KAZUの方が格下なことも相まって、確実に全力で潰しにかかってくることだろう。


「お千代さん。向こうが全力で勝ちに来るとするなら、どういう戦法が考えられるかな?」


『体格を含めて全ての身体的な能力はあちらが勝っていますから、それに任せての正面突破、特に開幕直後の速攻の可能性が高いと予測されます』


 つまり、一回戦とは打って変わっての短期決戦を仕掛けてくるということだ。


「なるほど。決勝戦のことも考えて、俺との対戦はできる限り消耗を避けようとするのが道理ってことか」


 歯牙にもかけられていない扱いに思うところがない訳ではないが、これまでの対戦成績とランキングのことを考えれば妥当のような気もする。


「まあ、せっかく参加したんだし、相手が誰であろうとも一章くらいはしておきたいところだよな」


『つまり、マスターは次の試合を勝ちにいく、ということですね?』


「イエス。大変だと思うけどサポートをよろしく」


『承りました。それで、どのような作戦でいくおつもりですか?』


 お千代さんの問い掛けに、自身を鼓舞する意味も込めてあえてニヤリと不敵に笑う。


「それはもちろん、真っ向からぶつかって喰い破るのさ」






~○△□◇~○△□◇~○△□◇~○△□◇~






 二回戦第一試合はそれまでの盛り上がりが嘘のように白けた雰囲気に包まれていた。一回戦の第二、第三試合が続けて派手なものとなっていたことに加え、GOBOに比べてKAZUが格下であることが明らかにされたため、先の対戦程の好試合には成り得ないと思われていたからだ。


「変に期待されるよりは余程マシだよ」


『そういうところマスターは大物ですね』


 そんな空気に特に苛立つようなこともなく、KAZUたちは淡々とスタート地点で試合開始の合図を待つ。


 やがて対戦者紹介のアナウンスが始まり、お情け程度の拍手と「さっさと終われ!」といったありがたい声援が飛び交う。


 もっとも、予想していた通りの反応なので特段ショックを受けることもない。


 それにこの時のKAZUは試合内容よりも勝利することに念頭を置いていた。


 仮に『リアル』の立場向上を考えてイベントを企画した者たちにバレれば、一言物申したくなること間違いなしである。


 そんな様々な思惑が行き交う中にあって、進行役は着実に自身の仕事を消化していた。そしてついに、二回戦第一試合の幕が上がる。


「お千代さん!サーチ最大!」


『サーチ最大。……対戦者はB2区画からB3区画へと移動中。真っ直ぐこちらへと向かって来るようです』


 さっそく強化されたサーチ機能を使って相手を捕捉する。


 地形はともかく対戦相手はこれまで半径二十メートル以内でしか察知することはできなかった。この先も『リアル』モード内では使用不可とされるはずである。


「了解!こちらも接近する。攻撃範囲に入る直前に仕掛けるから合図よろしく」


 その言葉通り視界の端に展開されたミニマップに従って、KAZUは一直線にKMKRの居る方へと走り始めた。


 倉庫を模したフィールドには大小様々で材質も色々な箱などの障害物が乱雑に置かれている。それら障害物を避け、時には飛び越えたりしながら真っ直ぐ近付いていく。


『マスター、もうすぐ攻撃可能範囲に入ります』


「了解!」


 お千代さんの報告に、KAZUは急制動をかけて立ち止まると、左手で左足の太腿に取り付けていたホルスターから銃を引き抜く。


「歓待するよ。受け取ってくれ!」


 構えた勢いのまま引き金を引く。バン!と破裂音を響かせて発射された弾はKMKRに命中、することはなくその手前に置かれていた障害物に当たると、発射時とは比べ物にならない轟音を発して障害物ごと破裂した。


 炸裂弾は本来ハンドガンタイプでは使用できないはずなのだが、パワーアップによりそうした制限が解除されていた。もちろんこの機能も『リアル』では使用不可のままとなる。


「ぐあっ!?」


 いきなりの先制攻撃に不意を突くことはできたようだ。


 だが、これで終わりではない。向こうの勢いを完全に止めるべく攻撃を繰り返す。衝撃に飛び上がりそうになる左腕を無理矢理固定しながら何度も続けて引き金を引き続けた。


『弾切れです』


 お千代さんからの声が聞こえると、トリガーを引いても衝撃ではなくカチッという小さな音がするだけに変わった。


「リロード。次回弾切れで徹甲弾にバレットチェンジしてリロード。それで決める」


 が、焦ることなく指示を出す。余談だが、AIによる自動リロードもバレットチェンジもパワーアップで可能となったものである。


『リロード終了です』


 この間五秒。本来であれば致命的な隙だったのだが、新機能による攻撃だったことと一回戦での精神的な疲労から回復しきっていなかったために、KMKRは適切な反撃を行うことができなかった。


 そして生き延びたKAZUの手にする銃からは再び悪魔が召喚され始め、目標周辺に破壊をまき散らしていく。


 ただし、あえて着弾する範囲を広げていたのが一回目とは異なる点だ。加えて、それと同時に少しずつ後退をしていく。


「目くらましだってことはバレているんだろうけど」


『ですが、理解できているからといって対応できるかと言えばまた別の話、ということですね』


「その通り」


 一回目とその後の反応から、KAZUとお千代さんはKMKR側がAIのイベント用パワーアップユニットをほとんど使用していないことを確信していた。


 恐らくは一回戦に続いて『リアル』プレイヤーが対戦相手だったことから、『リアル』らしい戦いを行うことでファンの裾野を広げようとしていたのだろう。


 奇しくもイベント用に解禁された派手な演出を用いて新規ファンの獲得に繋げようと画策していた運営側と、そしてその思惑に乗ったKAZUとは真っ向から対立する構図となってしまった訳である。


 他にも決勝戦では他モードのプレイヤーと対戦することになるので、その際には否が応でもパワーアップユニットを使わざるを得なくなるという点もある。


 要するに、切り札はできる限り伏せておきたいと考えていたのだ。


「まあ、それ以上にランキング上位者としての意地もあったんだろうな」


 調子が良ければ一桁に滑り込めることもあるKAZUとは違って、KMKRは五指の常連だ。これまでの対戦成績でもKAZUが大きく負け越しているのは前述した通りである。


 そのため決して油断している訳ではないのだが、格上として正々堂々と戦わなくてはならないという脅迫観念じみたものがKMKRの心の内に巣くっていたのであった。


『弾切れまであと三秒』


 お千代さんの言葉に引鉄を引く指の動きは続けたまま、手近な障害物の裏へと潜りこむ。


『弾切れです。徹甲弾にバレットチェンジ。リロードを開始します』


 作業を任せて座り込み、「ふう」と一つ息を吐く。完全に無防備な状態となっているが、彼には攻撃を受けることはないという確かな自信があった。


 その根拠となっている視界の隅のミニマップには、自身と対戦者を示す青と赤二つの光点が微動だにすることなく表示されていた。


「いやはや。自分と相手の所在地が分かるだけで、難易度が天と地ほど違ってくるな」


『しかも今回に限ってはこちらだけの特権ですから、もはや別の競技の様相になってきていますね。……リロード完了しました』


「お千代さん……。色々出来るようになって楽しいのは分かるけど、雑談の合間に報告するのは勘弁して。危うく聞き逃すところだったぜ」


『あらあら。マスターには今後こうしたところにも慣れていって貰わないといけませんね。そうでなくては、せっかくのパワーアップユニットが無用の長物と化してしまいます』


「……善処いたしますです」


『マスター、対戦者に動きが!』


 見るとミニマップ内で赤い点が右に左にと、奇妙な動きを見せていた。


「分からないなら分からないなりに動いてくるということか。地力は向こうの方が格段に上だ。調子を取り戻される前に叩くぞ!」


『了解』


 弛緩していた気持ちを一瞬で張り詰めさせ、障害物の上へとよじ登る。


 静まりかえっていたフィールド内にガタタン!と大きな音が響き、聞きとがめたKMKRが顔を覗かせた。


 が、好機とばかりに銃口を向けたところで、モグラ叩きのモグラよろしくすぐさま頭を引っ込めてしまう。


「さすがの危機察知能力だ。それでもチェックメイトであることに変わりはないけどな。お千代さん、サポートよろしく」


「承りました。これより視界への射点の表示を行います」


 直後、KAZUの視界に黄色と黒で描かれた二重丸が生まれる。それは障害物の陰に身を隠したKMKRをしっかりとロックオンしたものだった。


 ゆっくりと銃の照準を二重丸に重ねると、ためらいなく何度も引鉄を引いていく。


 ターンという甲高い発射音と、ドオン!徹甲弾が障害物へと当たる重苦しい音だけが交互に繰り返し響く。


 やがて、ミニマップ上から赤い点が消失し、フィールド上部に『KAZU WIN!』の文字が踊るように表示された。


 それから少しの間をおいて、客席からの歓声が押し寄せてくる。もっとも、半分くらいは結末が理解できなかった者たちからのブーイングとなっていたのだが。


 とはいえ、何が起きたのかを説明するのは解説者たちが行うべき役割である。


 すぐ側に飛んできたカメラに向かってニヤリと不敵な笑みを浮かべると、KAZUは選手控室へと転移したのだった。






~○△□◇~○△□◇~○△□◇~○△□◇~






「やられた。まさかあんな手、徹甲弾を何度も同じ場所に撃ち込むことで障害物を貫通させるなんて離れ業を使ってくるとは思わなかったぜ」


 控室へと戻った途端に通信が入り、対戦相手だったKMKRからそんな言葉が届けられた。


 会場の方でも観衆に解説が行われたようで、KAZUは無事に決勝戦へと駒を進める運びとなったのだった。


「もしかして、その前の二回の炸裂弾による狙撃も、最後のための布石だったのか?」


 と、横合いから尋ねてきたのは同じく『リアル』からのトーナメント参加者だったGOBOである。ほぼ同時に通信が入ったので、マルチ回線を用いて三人で繋いでいるのだった。


 未だ控室となっている部屋から出ることや、S&S内部の公式以外にネット接続できなくなっている点は継続されているものの、敗戦が決まった出場者との会話に関しては認められたのだ。


 これは例え八百長をしようにも、『リアル』モードと他モードの選手との間に決定的な能力差があると認識されているためであった。


「当たりです。炸裂弾でのバラマキで足を止めさせておいて、徹甲弾で障害物ごと撃ち抜くっていうのが今回の作戦でした。ただ、どれもイベント用のパワーアップユニットありきの戦法だったから、生粋の『リアル』ファンからは邪道だとか文句を言われそうですけどね」


「今回は祭りみたいなもんだし、そのくらいは大丈夫だと思うけどな。まあ、お前が心配だって言うなら、俺たちが火消しをして回っておいてやるよ」


「あー、お願いします。面倒な仕事を頼んで申し訳ないっすね」


「なんのなんの、気にするなよ。それじゃあ俺は『リアル』の奴らが集まっている所で、今の話を広げておくぜ。決勝戦、頑張ってな」


 明らかについでといった調子で応援の言葉を述べてから、GOBOとの通信が途絶えた。


「……それで、決勝戦の勝算はあるのか?」


「分かりません」


 それまでの明るい調子とは変わって、重苦しい空気が立ち込めていく。


 本心を言えば九割九分までも勝ち目などないというところである。しかし、勝者の立場から敗者となったKMKRにそれを言ってしまうのは躊躇われてしまうのだった。


「……まあ、勝ち上がってくるのが『ゲーム』の奴にしろ『フィクション』の奴にしろ、火力も機動力も、そして装甲までも俺たち『リアル』とは桁違いだ。勝てる自信があるなんて言う方がどうかしているよな」


 本人のKAZUまで含めて、今回のイベントを企画した運営であっても誰一人として彼が勝利するなどとは思ってもいないことだろう。


「観客の話題も、どれだけあっという間に勝負がつくのか?とか、どのくらいまで粘れるのか?ということに終始しているぜ」


「あー、妥当な内容ですね」


 彼自身、どうやって無様にならないように負けられるのか?ということを一番気にしているくらいである。


 戦う前からそんな弱気でそうするのか、という叱責が飛んできそうであるが、決勝戦での対戦者との間にはいわゆる越えられない壁が厳然として存在しているのだ。


 KMKRが言ったように、勝てる自信がある方がどうかしているのである。


 実際に、同時進行で行われていたチーム戦では、無得点こそ回避できたものの『リアル』チームは他モードの二チームに大差を付けられて敗北していた。


 ちなみに『リアル』プレイヤーの誰かが決勝戦に残ることが決まった時点で、『どちらが勝つのか?』では賭けが成立しなくなっていたため、現在では決着までの時間――一応、どちらが勝者になっても同じという扱い――が賭けの対象となっていたりする。


 そして「開始から一分以内で決着」が圧倒的一番人気となっているのだった。


 結局勝利はおろか、まともな戦いにするための方策の手掛かりさえ見つけることはできずに、KMKRとの作戦会議は時間切れとなってしまった。


 準決勝第二試合が終わったのである。


「決勝に残ったのは『フィクション』のアサシンキャラ使いか……」


 正確には隠密性が優れているのと、トリッキーで高速な立体機動がウリのキャラクターなだけなのだが、いつの頃からかプレイヤーの間で、背後を取って急所を一突きして倒すという勝ち方が流行ってしまい、アサシンキャラ扱いされるようになってしまったのだった。


 しかし流行したこともあってか警戒されてしまい、成功確率が激減した結果最近ではあまり見られない勝ち方となっていた。


「対戦相手は……、ああ、同じ高機動タイプだったのか。『ゲーム』ではかなり鍛えていたプレイヤーみたいだけど、さすがに『フィクション』の超人を相手にするには力不足だったと」


 むしろ別系統の成長をさせていたプレイヤーの方が、勝機はあったのかもしれないと思う。


 連戦による参加プレイヤーの疲労を軽減させるため、決勝戦開始までに三十分間の休憩が入れられることを告げるアナウンスが流れる。


 同時に試合開始十分前にはログインしておくようにという通知が、運営から個別に送られてくる。


 KAZUにはそれが、処刑開始までの猶予期間のように感じられたのだった。






~○△□◇~○△□◇~○△□◇~○△□◇~






 戦闘フィールドの周囲に作られた特設の観客席――収容人数一万――は、臨場感を得ようと集まった観衆によって埋め尽くされていた。


 どう考えても一方的な展開ワンサイドゲームにしかならないと予想されている割には、十分以上の人の入りだと言える。


「予想はしていたけど、完璧にアウェーだな」


 ぼやくのも当然の話で、こちらへは一つの声援もないどころか、全ての応援が対戦相手に向けられていた。


『アウェーであるなら儀礼的に相手へのブーイングが起こってしかるべきです。それすらないということから、まともな対戦相手だとすら思われていないということなのでしょう』


「うぐっ……!」


 今更ながらにお千代さんから現実を突き付けられ、地味にショックを受けるKAZUである。


 当事者であるにもかかわらず強烈な疎外感に苛まれてしまい、それまで以上にがっくりと肩を落とす。観客からすればそうした態度が諦めを感じさせることになっていたのだが、彼がそのことを知ることはついぞなかったのだった。


 気が付けば試合開始まで残り数分というところになっていた。会場には司会による選手紹介や戦歴に始まり、解説者による各種モードの見所やお勧めの楽しみ方などが紹介されている。


「お千代さん、肝心のタイミングは任せるよ」


『承りました。……ですがマスター、本当にやるおつもりなのですか?』


「やる。というか、それしか方法がないし。お千代さんのシミュレーションでも勝ち筋が見えるような作戦は見つからなかったんだろう?」


『……不甲斐ない次第です』


「いやいや!そこはあっちとの基本スペックが違い過ぎるだけのことなんだから、お千代さんが気に病むことじゃないから!」


 落ち込み始めたお千代さんAIを慌ててなだめるKAZUプレイヤー。何とも妙な絵面である。


 元より試合中以外は感情の表出を最大に設定していたのだが、パワーアップユニットを接続後は、それがより顕著になっているような気がしていた。


 人工知能の個性の確立というSFじみた世界に、人類は既に片足を突っ込んでいるのかもしれない。


 残り一分。フィールドが一新されて障害物等も配置され、プレイヤーたちも所定のスタート地点へと移動させられた。


 実力が伯仲した者同士による接戦だった一回戦に、新機能を存分に用いてジャイアントキリングを成し遂げた二回戦と、『リアル』プレイヤーたちの思わぬ活躍に弱者贔屓の性質が発揮されたのか、会場はそれなりの熱気を保ち続けていた。


 それでも、大逆転の可能性があるとは誰一人として考えてはいなかった。


 それほどまでに立ちはだかる壁は大きくそして分厚い。


 試合開始までのカウントダウンが始まる。


 残り五秒。視界上部に赤いシグナルが灯される。


 三秒、シグナルが黄色に変化する。二……、一……、シグナルが青く変わった瞬間ミニマップが表示されるも、そこからは既に対戦者を示す赤い光点が消失していた。


『対戦者は隠密スキルをしたもようです』


「最初っから全力でくるとは、ありがたくて涙が出るね!」


 相手の居場所が掴めないとなると、下手に障害物がある方が身動きが取れずに危険となってしまう。


 即座にKAZUは開けた場所を目指して走り始めた。幸運にも数秒で該当する地点へと到達すると、左手に銃を右手にナイフを持ち油断なく周囲を警戒する。


 対戦者が使用した隠密のスキルは認識をし難くするものだ。よって、あらかじめ用心して気を配っておけば効果は薄くなる、はずである。


 十秒過ぎても何も見つからなかった。


 二十秒過ぎた時に視界の端に何かが写ったような気がした。ところがさらに十秒過ぎても何も起こらず、錯覚か何かだったのだろうかと不安が募る。


 四十秒が経とうとする頃には、精神的な疲労がピークに達しようとしていた。


『来ます』


 だからこそかえって無意識に反応できたのかもしれない。


 左手だけは真っ直ぐに差し出しながら飛び込み前転のように体を丸めて前方へと体を投げ出す。


『今です』


 再び脳内に響く声に促されるようにして左手のトリガーを引く。


 天地が逆になった世界で、コミカルに描かれた対戦者のキャラクターの顔が驚愕に彩られていたのが印象的だった。


 繰り返し絶え間なく左手に伝わる軽い衝撃と、視界を焼く強烈な閃光を最後に、KAZUの意識は途切れた。






~○△□◇~○△□◇~○△□◇~○△□◇~






 試合開始から四十九秒、十数発の炸裂弾爆発による両者引き分け。これが公式の記録である。


 対戦相手からすればKAZUは格下もいいところの弱者だ。更に全モード合同のイベントという大舞台。ここまでお膳立てがされているとなると、アサシンキャラと呼ばれるようになった原因であり代名詞的な「背後から急所を一突きするという勝利方法」を狙ってくるのではないか、そう考えたのである。


 この予想は見事的中し、お千代さんのサポートもあって必殺の一撃をかわすだけでなく反撃すらして見せるという大番狂わせをやってのけたのだった。


 唯一誤算だったのは、フルオートで全弾発射した炸裂弾による爆発の範囲と威力の大きさだろうか。『リアル』とは桁違いの装甲の厚さを持つ『フィクション』キャラクターを確実に倒すために仕掛けたものだったのだが、撃ち込んだ本人も一緒に爆発に巻き込まれてゲームオーバーとなってしまったのだった。


 当然ながらこの展開には多くのクレームや再試合の申し立てが殺到した。


 しかし、運営は厳正な審議を経てこの結果を支持すると発表した。


 そして観衆の大半もまたこれを受け入れた。それというのも、結果だけを見れば「開始から一分以内で決着」という賭けの一番人気の大本命の通りとなっていたからだ。


 仮に再戦となってしまうと、今度はどんな番狂わせが起きるか分からない。それならばわずかだが儲けを手にした方がいい、と多くの人々が考えたのだった。


 この場外乱闘的な騒ぎも後押しとなって、運営による『リアル』モードの人気上昇という目論見は見事に達成された。


 他モードのプレイヤーに完全な新規と参入者は増加し、廃止という最悪の未来を当面の間は回避できることとなったのである。


 また、思わぬ盛り上がりを見せたことからモード合同のイベントも定期的に開催される運びとなる。


 ただし、能力差が圧倒的過ぎるので、次回以降は状況を吟味した上で種目を蹴体することになるとのことだった。


 そしてKAZUはといえば、AIに設けられているパワーアップの制限に戸惑いながらも、これまでと似通った成績を維持し続けていた。


「ちょっ!?お千代さん!?その作戦はギリギリ過ぎるってぎゃーす!?」


『ほらほら、マスター。急いで逃げないとやられてしまいますよ』


 性格がパワーアップしたお千代さんからの叱咤激励を受けながら。



おわり





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〇垂直跳びデータの参考ページ 『http://www.mizuno.co.jp/totalfitness/report/no011/no11_3.html』




〇補足

トーナメント参加者は『フィクション』と『ゲーム』が各二名、『リアル』からは三名の計七名。リアルからの参加者の一人がシード枠に入ることはあらかじめ決定済み。




〇主人公名……赤羽一也あかはねかずや。本編未使用(笑)




〇やっぱり牛だった

 GOBOは牛蒡ごぼう、KMKRは天牛カミキリムシで、牛ギルドの所属メンバー。




〇蛇足

主人公たちのプレイヤーネームですが、一昔前のアーケードや家庭用のシューティングやパズルゲームでのハイスコアランキングをイメージしています。


面倒になると『AAAA』とか『BBBB』とか入れちゃうアレです。




ではまた次回作、もしくは連載中の作品で。

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